現在、"再生医療" の分野では、"iPS(人工多能性幹)細胞やES(胚性幹)細胞" を患部に移植するという医療アプローチが旺盛に研究されている。
そして、そこでの大きな課題の一つが、必要となる "膨大な量" の "iPS細胞(ES細胞)" が如何に効率的に準備調達されるか、であることは、よく知られている。
つまり、より効率的に "iPS細胞(ES細胞)" を作製し、それらを必要に応じて迅速に供給する、という課題なのである。以下の「国際iPS細胞バンク」計画もその課題に呼応した動向以外ではないと思われる。
◆ 参照 iPS細胞作製効率化の関連記事
○ <人工多能性幹細胞(iPS細胞)は患者自身の細胞から作製でき、さまざまな臓器や組織の細胞に変化させられるため、再生医療への応用が期待される。しかし、患者自身の細胞から、その都度作製するのは費用や時間がかかり、現実的ではない。このため、事前に拒絶反応を起こしにくい白血球型(HLA型)を持つ人の細胞から作った高品質のiPS細胞を備蓄し、治療などに活用するのが「細胞バンク」の狙いだ。/ ...... 再生医療などに使う拒絶反応を起こしにくい人工多能性幹細胞(iPS細胞)の各国の備蓄状況を一括管理し、国境を超えて使用できるようにする「国際iPS細胞バンク」計画/ 日本、米国、英国、フランス、オーストラリアなどが参加する見通し/ 実現すればiPS細胞の医療応用が大きく進展しそうだ......> ( 「国際iPS細胞バンク」計画が着手!まるでかつての"PC/AT互換機"パーツ製造国際分業?!/当誌 2014.01.18 )
今回注目する記事も、こうした必要となる "膨大な量" の "iPS細胞(ES細胞)" が如何に効率的に準備調達されるか という課題に貢献すると考えられる動向に関するものである。
下記引用サイト記事 : シャーレ使わずiPS細胞を大量生産 京大が開発/京都新聞/2014.04.25 - 08:43 は、"iPS細胞などの大量生産" を可能とする新しい方法について、下記のように報じている。
<現在は細胞をシャーレに接着させて増殖している。脊髄(せきずい)損傷や心筋梗塞の患者の再生医療では1人当たりシャーレ100枚分(10億個)のiPS、ES細胞が必要になるとされ、培養のスペースや品質維持に課題があった/ さまざまな細胞や組織になるヒトのiPS(人工多能性幹)細胞やES(胚性幹)細胞を大量生産する方法を、京都大物質―細胞統合システム拠点の中辻憲夫教授や尾辻智美研究員、日産化学工業のグループが開発した。将来、再生医療のコスト低下につながると期待され、米科学誌「ステム・セル・リポーツ」で25日に発表する/ 市販の培養液に独自に探した2種類の物質を加えることで、細胞を袋の中で増殖させることに成功。シャーレと比べてスペースを取らず、品質管理も容易/ 大きくなった細胞の塊を網目状のナイロンに通して傷つけずに細分化する方法も開発> とある。
シャーレ使わずiPS細胞を大量生産 京大が開発/京都新聞/2014.04.25 - 08:43<
さまざまな細胞や組織になるヒトのiPS(人工多能性幹)細胞やES(胚性幹)細胞を大量生産する方法を、京都大物質―細胞統合システム拠点の中辻憲夫教授や尾辻智美研究員、日産化学工業のグループが開発した。将来、再生医療のコスト低下につながると期待され、米科学誌「ステム・セル・リポーツ」で25日に発表する。
現在は細胞をシャーレに接着させて増殖している。脊髄(せきずい)損傷や心筋梗塞の患者の再生医療では1人当たりシャーレ100枚分(10億個)のiPS、ES細胞が必要になるとされ、培養のスペースや品質維持に課題があった。
グループは、市販の培養液に独自に探した2種類の物質を加えることで、細胞を袋の中で増殖させることに成功。シャーレと比べてスペースを取らず、品質管理も容易になった。
また、大きくなった細胞の塊を網目状のナイロンに通して傷つけずに細分化する方法も開発した。
中辻教授は「これらの技術の組み合わせで高品質の細胞を安価に大量生産できる。日本発の生産システムとして世界で販売できる」と話している。
"iPS細胞などの大量生産技術" が、"iPS細胞など" を活用する "最先端の再生医療" が "より低コストで、かつ迅速に" 実施されることにつながることを期待したいものである。もちろん、"高品質/安全性" については言うまでもないことであるが...... (2014.04.27)
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