免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見(愛媛大学)!迫り来る"免疫老化"の危惧!

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 "免疫(細胞)療法" というアプローチが、がん治療などにおいてもにわかに注目されている昨今だ。"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)で懸念され続けてきた "副作用" がないことから、"第4のがん治療法" とも評されている

 そうした状況下で、やはり一つ気になるのは、そもそも高齢者層は "免疫力が低下している" と指摘されている点ではないかと思われる。
 言うまでもなく、"免疫(細胞)療法" における "がん細胞駆逐" の主役は、体内に備わっている各種の "免疫細胞" だ
 最先端の "免疫(細胞)療法" では、この "免疫細胞" の "増加/強化" が目指されてはいるようだが、"高齢者層の免疫力低下状態" は好ましい条件ではないはずだ......。

 そこで、今回注目する記事は、"高齢者層" における "免疫システム老化" という問題に焦点を合わせた。

 下記引用サイト記事免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見/科学技術振興機構(JST) 愛媛大学/2014.04.02 が、この問題の現状、および今後の展望とを示している。

 <日本では高齢化社会のさらなる進行により、免疫システム老化が引き金となる慢性炎症疾患、がんや感染症などの疾患の増加が危惧されており、対策が急がれています/ 老化に伴って、特に獲得免疫の応答が低下・劣化します。この現象は「免疫老化」と呼ばれ、この免疫老化が、高齢者における慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)や発がんの増加、易感染性の誘発、ワクチン効率の低下につながる/ 獲得免疫に関わる細胞の中でも、T細胞の機能は個体の老化に大きく影響を受ける/ T細胞は胸腺でつくられますが、胸腺は加齢とともに退縮するので、老齢期においては新たなT細胞の供給が減少/ つまり、免疫老化の原因は主としてT細胞自身の過剰な分裂・増殖によって誘導される細胞老化だと考えられます/ T細胞の一種であるヘルパーT細胞は、免疫系の司令塔であり、免疫老化に伴うその機能的な劣化は、免疫システム全体の機能不全につながりますしかし、免疫老化におけるヘルパーT細胞細胞老化とそれに伴った機能異常のメカニズムはほとんど分かっていませんでした

 <山下教授らは、マウスでメニン(Menin)注3)というたんぱく質が、ヘルパーT細胞老化を制御する鍵分子として働くことを明らかにしました。次に、Meninの下流で働いて老化に伴う過剰な炎症反応の誘導を抑える分子として、バック2(Bach2)注4)というたんぱく質を同定しました。今回の研究から、ヘルパーT細胞老化に伴ってMeninの機能が弱まり、MeninBach2の発現を誘導できなくなることが、炎症状態につながる可能性が示唆されました/ 今後、この仕組みをさらに詳細に解析し、制御法を見つけることで、老化に伴う慢性炎症疾患の発症や感染症の増加の予防・治療へとつながることが期待されます> とある。

 "免疫システム老化" 解明に向けた研究は、まだ緒に就いたばかりのようではあるが、貴重な一歩が踏み出されたかに思われる......。

 免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見/科学技術振興機構(JST) 愛媛大学/2014.04.02

< 研究の背景と経緯 >

 日本では高齢化社会のさらなる進行により、免疫システム老化が引き金となる慢性炎症疾患、がんや感染症などの疾患の増加が危惧されており、対策が急がれています

 免疫機能は、自然免疫獲得免疫の大きく2つに分けることができます。老化に伴って、特に獲得免疫の応答が低下・劣化します。この現象は「免疫老化」と呼ばれ、この免疫老化が、高齢者における慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)や発がんの増加、易感染性の誘発、ワクチン効率の低下につながると考えられています。

 獲得免疫に関わる細胞の中でも、T細胞の機能は個体の老化に大きく影響を受けることが知られています。T細胞は胸腺でつくられますが、胸腺は加齢とともに退縮するので、老齢期においては新たなT細胞の供給が減少します。そのため、老化した個体では以前につくられたT細胞を増殖させることでT細胞の数を維持します。しかし、T細胞は限られた回数しか分裂・増殖することができず、限界近くまで分裂した状態である細胞老化注5)が誘導されます。さらに、慢性ウイルス感染によって誘導される過剰なT細胞増殖によっても、T細胞老化が引き起こされることが報告されています。つまり、免疫老化の原因は主としてT細胞自身の過剰な分裂・増殖によって誘導される細胞老化だと考えられます

 T細胞の一種であるヘルパーT細胞は、免疫系の司令塔であり、免疫老化に伴うその機能的な劣化は、免疫システム全体の機能不全につながりますしかし、免疫老化におけるヘルパーT細胞細胞老化とそれに伴った機能異常のメカニズムはほとんど分かっていませんでした。そこで、本研究グループは、ヘルパーT細胞細胞老化とそれに伴う機能異常のメカニズムを明らかにし、その対処法を確立することを目的に研究を行いました


< ポイント >

○ 免疫の老化は司令塔のT細胞の機能的な劣化によると考えられている
○ ヘルパーT細胞の老化を制御する経路と分子を同定
老化に伴う感染症やアレルギー、炎症疾患の発症防止や治療法確立に期待

 JST 課題達成型基礎研究の一環として、愛媛大学 大学院医学系研究科の山下 政克 教授は、同医学部附属病院 先端医療創生センターの桑原 誠 助教らと共同で、老化に伴う免疫機能異常のメカニズムの一端を明らかにしました

 老化によって、病原体などに対する獲得免疫応答注1)が著しく低下するとともに、過剰な炎症反応が引き起こされます。それにより慢性的な炎症状態が誘導され、最終的に加齢に伴う慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)の発症増加につながると考えられています。この現象は、免疫老化と呼ばれ、免疫系の司令塔であるヘルパーT細胞注2)の機能的な劣化が一因だと考えられていましたが、そのメカニズムは不明でした

 山下教授らは、マウスでメニン(Menin)注3)というたんぱく質が、ヘルパーT細胞老化を制御する鍵分子として働くことを明らかにしました。次に、Meninの下流で働いて老化に伴う過剰な炎症反応の誘導を抑える分子として、バック2(Bach2)注4)というたんぱく質を同定しました。今回の研究から、ヘルパーT細胞老化に伴ってMeninの機能が弱まり、MeninBach2の発現を誘導できなくなることが、炎症状態につながる可能性が示唆されました

 今後、この仕組みをさらに詳細に解析し、制御法を見つけることで、老化に伴う慢性炎症疾患の発症や感染症の増加の予防・治療へとつながることが期待されます
本研究は、千葉大学 大学院医学研究院の中山 俊憲 教授、かずさDNA研究所 ヒトゲノム研究部 小原 収 部長、理研 統合医科学研究センター 分化制御研究グループ 黒崎 知博 グループディレクターらのグループの協力を得て行いました。

 本研究成果は、2014年4月2日(英国時間)に英国科学誌「Nature Communications」でオンライン公開されます。

< 用語解説 >

注1) 獲得免疫応答
遭遇した抗原(病原体)に対し、特異的かつ最適な反応を誘導し記憶する免疫システム。T細胞やB細胞などのリンパ球により担われている。
注2) ヘルパーT細胞
T細胞は異物の認識機構や機能の違いから、CD4陽性のヘルパーT細胞とCD8陽性のキラーT細胞に大別される。ヘルパーT細胞は、B細胞をはじめとしたほかの免疫細胞の活性化や機能を制御できることから、免疫反応の司令塔とも呼ばれている。
注3) メニン(Menin)
腫瘍抑制因子の1つ。その遺伝子変異は、多発性内分泌腫瘍症I型(MEN1)の原因となる。
注4) バック2(Bach2)
転写調節因子の1つで、B細胞分化や末梢ヘルパーT細胞の恒常性維持への関与が報告されている。ヒトにおけるBACH2遺伝子多型は、気管支喘息や食物アレルギー、自己免疫疾患と関連しているとの報告がある。
注5) 細胞老化
身体を構成する細胞は限られた回数しか分裂・増殖することができない。限界近くまで分裂した細胞を老化細胞、その状態を細胞老化と呼ぶ。細胞老化が個体の老化と直接関係しているか否かについては、まだはっきりとした結論が出ていない。

( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)

 "老化" という誰にとっても避け難い現象が、ヒトの "免疫システム" のあり様にまで強く影響を及ぼしている事実!
 切ない思いが禁じえないところではあるが、"免疫老化/細胞老化" のメカニズムが解明されていくことで、予期せぬ展開が立ち現れる......、というのが現代医学の展開なのかもしれない...... (2014.04.05)













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このページは、yasuo hiroseが2014年4月 5日 00:01に書いたブログ記事です。

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