"認知症" は、患者ご本人=介護される人もさることながら、一般的な高齢者介護以上に "介護する人" の苦労(=重労働)が大変であることはよく知られている。
と同時に、専門的訓練を受けていない人にとっては、"何をどうしたら良いのかの基本的指針" さえも定まりかねる、そんな困惑に直面するのかもしれない。
したがって、もし "認知症の人のためのケア技術" というようなものがあるならば、是非理解しておきたい、と考えて当然なのではなかろうか。
下記引用サイト記事 : 力も道具も不要 驚くほどラクな認知症ケア/日本経済新聞 - 日経ヘルス&メディカル/2014.05.04 - 06:30 は、そうした "困惑のただ中にある介護者" にとって福音にも値するはずの "認知症ケア技術" の基本をしっかりと伝えている。
<フランス発、認知症の人のためのケア技術「ユマニチュード」が注目を浴びている。体力や道具は不要。ただ、4つのポイントを心がけるだけで、介護する人は驚くほどラクになり、介護される人は快適に、穏やかになる/ 「ユマニチュード」とは、フランス語の造語で「人であることを尊重する」という意味 認知症の人のためのケア技術/ 認知症の患者さんをあまり動かさない従来の医療現場の常識を覆し、介護者が患者さんの力を引き出しながらケアすることで、介護される人は穏やかになり、介護する人はラクになるという、いい結果を引き出す/ 4つのポイント
1.見つめる
同じ目の高さで、20センチ程度の距離で、チラ見ではなく、0.4秒以上じっと見つめる。見下ろされていると相手に感じさせず、お互いの関係が平等であることを伝える。
2.話しかける
低めのトーンで柔らかな抑揚で話す。「お元気そう」といったポジティブな内容で。また、「今、腕を拭きますよ」と、行っている動作の内容を"実況"し、頻繁に話しかけると、相手は安心する。
3.触れる
ゆっくりなでるように、広い面積をやさしく触れ続ける。腕は、上から力まかせにつかんだり、引っ張ったりせず、下から支えるようにサポートし、相手を労わっていることを伝える。
4.立つことをサポート
寝かせたままにせず、できるだけ、「立つ」「歩く」サポートを行う。最期までその人らしく、を大切にする、ユマニチュードの考え方の原点になっている> とある。
<導入後の効果> としては、<フランスでは認知症の入院患者の向精神薬の使用、攻撃的な態度が減っただけでなく、介護職員の離職率が低下した> や、<30分かかっていた着替えの介助が2分半になったり、なかなか薬を塗らせてくれなかった人がすんなり協力してくれたり、と実際のケア現場でも大きな変化> とあり、この "認知症の人のためのケア技術「ユマニチュード」" は、とかく悲観的となりがちな "認知症の介護現場" に幾筋もの光明を与えるものと思われる。
力も道具も不要 驚くほどラクな認知症ケア/日本経済新聞 - 日経ヘルス&メディカル/2014.05.04 - 06:30
フランス発、認知症の人のためのケア技術「ユマニチュード」が注目を浴びている。体力や道具は不要。ただ、4つのポイントを心がけるだけで、介護する人は驚くほどラクになり、介護される人は快適に、穏やかになる。
「ユマニチュード」とは、フランス語の造語で「人であることを尊重する」という意味。フランス人のイブ・ジネストさんと、ロゼット・マレスコッティさんという2人の体育学の専門家が生み出した、認知症の人のためのケア技術だ。
「この2人は、認知症の患者さんをあまり動かさない従来の医療現場の常識を覆し、介護者が患者さんの力を引き出しながらケアすることで、介護される人は穏やかになり、介護する人はラクになるという、いい結果を引き出すことを見出した」と話すのは、日本でのユマニチュード普及を行う国立病院機構東京医療センター総合内科医長の本田美和子さん。
具体的には150の技術があるが、ポイントは(1)見つめる、(2)話しかける、(3)触れる、(4)立つことをサポートする――の4つ(図1)。「認知症の人は、情報の入り口が狭くなる。たとえば視野は、鼻を中心に左右15度くらいに狭まる。だから、後ろや横から声をかけられても、気づきにくいし、恐怖を感じやすい。認知症の人と接するときは、まず、目の高さで正面からじっと見つめることが大切」(本田さん)。ほかに、話しかけるときはポジティブな言葉で、触れるときはなでるように、と心がける。中でも重要なのは、「立って歩く」のをサポートすることだ。立って歩くことこそが、その人らしさの原点との考え方があるからだ。
図1の4つのポイントを解説しよう。1.見つめる
同じ目の高さで、20センチ程度の距離で、チラ見ではなく、0.4秒以上じっと見つめる。見下ろされていると相手に感じさせず、お互いの関係が平等であることを伝える。
2.話しかける
低めのトーンで柔らかな抑揚で話す。「お元気そう」といったポジティブな内容で。また、「今、腕を拭きますよ」と、行っている動作の内容を"実況"し、頻繁に話しかけると、相手は安心する。
3.触れる
ゆっくりなでるように、広い面積をやさしく触れ続ける。腕は、上から力まかせにつかんだり、引っ張ったりせず、下から支えるようにサポートし、相手を労わっていることを伝える。
4.立つことをサポート
寝かせたままにせず、できるだけ、「立つ」「歩く」サポートを行う。最期までその人らしく、を大切にする、ユマニチュードの考え方の原点になっている。
導入後の効果は高い。「フランスでは認知症の入院患者の向精神薬の使用、攻撃的な態度が減っただけでなく、介護職員の離職率が低下したとの調査結果がある」(本田さん)。本田さんも「30分かかっていた着替えの介助が2分半になったり、なかなか薬を塗らせてくれなかった人がすんなり協力してくれたり、と実際のケア現場でも大きな変化が表れている」とその体験を話す。「認知症の人の家族は、やさしい気持ちがあっても、そう接することができないときにジレンマを感じるもの。でもこの技術があれば、『あなたは大切な存在だ』というメッセージが伝わりやすく、関係もスムーズになる。ぜひ、この技術を役立ててほしい」(本田さん)。解説書や解説DVDが6月上旬、医学書院から発売予定だ。
この人に聞きました
本田美和子さん
国立病院機構東京医療センター総合内科医長。筑波大学医学専門学群卒業後、老年医学やHIVを専門とし、診察を行う。2011年、フランスでユマニチュードの研修を受ける。その後、日本への導入を働きかけ、同院で研修会を開く。
(日経ヘルス 白澤淳子)
やはり関心を向けるべきは、何よりも<「ユマニチュード」とは、フランス語の造語で「人であることを尊重する」という意味> だとする "このケア技術" を支える "キー・コンセプト" ではないかと思われる...... (2014.05.06)
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