"視力を失う(失明)" という疾病の場合、"視神経(神経節細胞)" は正常で、"光を受け取る視細胞" が損なわれているケース(網膜色素変性症や加齢黄斑変性症での失明)があるのだという。
◆ 参照 <......網膜色素変性症や加齢黄斑変性症での失明は、光を受け取る視細胞が損なわれますが、脳に情報を伝える神経節細胞は正常な状態のままです。光を受け取る機能を回復できれば、見えるようになるわけです。......> ( 近視は眼病のもと~黄斑変性で世界がゆがむ ※ ちなみに、下記【 引用記事 2 】(過去の報道記事)の報道直後に掲載された記事のようです )
今回注目する下記引用サイト記事 1 : 失明ラット幅広い色感知 岩手大、藻の遺伝子注入し視覚回復/msn 産経ニュース/2014.05.13 - 18:36 は、過去に報道された【 引用記事 2 】 : 失明ラットが視覚回復 東北大、藻の遺伝子で/【共同通信】/2009.11.05 - 10:02 の "続報" に値するものだと理解される。
つまり、遡ること5年、2009年11月に、 <東北大国際高等研究教育機構の富田浩史准教授(分子生物学)らの研究グループは5日、光を感じる緑藻の遺伝子を組み込んだ失明ラットが、正常に近い視覚を回復することが分かったと発表した。4日付の米科学誌プロスワンに掲載された> とあった。
前述のように、"失明" の場合であっても <光を感じる網膜の視細胞が障害を受けてしまう網膜色素変性症などで失明した人の視力回復治療> は可能だと考えつつ研究が進められたようだ。
そして、<緑藻に光を感じる遺伝子があることに着目。この遺伝子を組み込んだラットを失明させて実験した結果、ものの動きや色の濃淡の判別などで正常なラットとほぼ同等の視覚を取り戻した> という。
ただし5年前には、"感知できる色" に "制約(青色のみ!)" があった点が "残された課題" であったようだ。
そして、この持ち越された "課題" が、今回解決されたことになる。
<幅広い色を感知できる視覚の回復に成功/ これまで感知できなかった緑、黄、赤にラットが反応した> という画期的な側面が、今回の新たな研究成果なのである。
この達成に向けては、<今回は、緑藻の一種であるボルボックスの遺伝子を哺乳類で機能するように組み換え、「アデノ随伴ウイルス」と呼ばれるウイルスに組み込んでラットの網膜細胞に注入> というイノベーションがなされたとある。
【 引用記事 1 】
失明ラット幅広い色感知 岩手大、藻の遺伝子注入し視覚回復/msn 産経ニュース/2014.05.13 - 18:36
岩手大工学部の冨田浩史教授(分子生物学)らの研究グループは13日までに、改変した緑藻の遺伝子を失明したラットに注入し、幅広い色を感知できる視覚の回復に成功したと発表した。これまでの研究では青色しか感知できなかった。12日付の海外学術誌にオンライン掲載された。
冨田教授らは今後、ヒトに近いサルを使って副作用の有無などを実験する。光を感じる視細胞が死滅してしまう網膜色素変性症などの治療に応用したいとしている。
冨田教授のグループは平成21年、緑藻に光を感じる遺伝子があることに着目し、失明したラットの視覚を回復させることに成功した。今回は、緑藻の一種であるボルボックスの遺伝子を哺乳類で機能するように組み換え、「アデノ随伴ウイルス」と呼ばれるウイルスに組み込んでラットの網膜細胞に注入。その結果、これまで感知できなかった緑、黄、赤にラットが反応した。
【 引用記事 2 】(過去の報道記事)
失明ラットが視覚回復 東北大、藻の遺伝子で/【共同通信】/2009.11.05 - 10:02
東北大国際高等研究教育機構の富田浩史准教授(分子生物学)らの研究グループは5日、光を感じる緑藻の遺伝子を組み込んだ失明ラットが、正常に近い視覚を回復することが分かったと発表した。4日付の米科学誌プロスワンに掲載された。
富田准教授は、光を感じる網膜の視細胞が障害を受けてしまう網膜色素変性症などで失明した人の視力回復治療につながる可能性があるとした。
研究グループは、緑藻に光を感じる遺伝子があることに着目。この遺伝子を組み込んだラットを失明させて実験した結果、ものの動きや色の濃淡の判別などで正常なラットとほぼ同等の視覚を取り戻したという。
研究グループによると、国内では毎年約1万6千人が難病の網膜色素変性症や加齢黄斑変性のほか、糖尿病網膜症、緑内障などで失明している。富田准教授らは人に近いサルを使った実験を進め、この遺伝子を注入して視力を回復させる治療法の確立を目指していく方針。
"藻の遺伝子" への "着眼" というブレイクスルー的な発想にただただ驚嘆させられるばかりか、その "着眼" をテコとしながら、"青単色" の視界を、まさしく "多彩なフルカラー" の視界へと向上させた粘り強い探求力には素直に頭が下がる。
まだまだ時間経過が必要となりそうではあるが、この報道は "失明" という闇の中に閉ざされた人々にとって、どんなにか希望の光明となることであろうか...... (2014.05.15)
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