今、広がる "認知症" は、悲惨な "徘徊/行方不明" という点などにおいて社会的にも懸念されている。
ただ、考えてみると、懸念されるのは "徘徊/行方不明" といった現象に限られないようである。いろいろと気になる場面もあるが、指し当たって次のようなケースはどうであろうか......。
"がんなどの重篤な病気に罹っている患者" が "認知症" を合併していて、"発見と適切な治療が遅れる" というケースだ。
深まる高齢化時代、"がん罹患率" と "認知症罹患率" の両者が上昇している中で、"合併症" が生じていても不思議ではないはず......。
だからこそ、"認知症" 罹患とその合併が、他の重篤な病気の悪化を "見過ごし隠してしまう!?" というリスクを警戒しなければならないわけであろう。
今回注目する下記引用サイト記事 : がん患者、2割に認知機能障害...読売調査/読売新聞/2014.05.17 は、所定の "がん患者" が "認知機能障害を合併" しているケースをアンケート調査によって洗い出し、その現状と実態について報じている。
<全国に整備されたがん診療連携拠点病院で、「緩和ケアチーム」が担当するがん患者の少なくとも2割が認知機能障害を合併していることが、読売新聞の全国調査で分かった/ こうした患者は、がんの発見の遅れや、意思確認の難しさで適切ながん治療を受けにくくなる懸念、治療後の受け入れ先探しの難しさなどに直面し、高齢人口の急伸に伴って激増が予想される/ 調査は4月、全国のがん診療連携拠点病院397か所にアンケートを実施。認知症を含めた精神症状を伴うがん患者に最も接する緩和ケアチームに、認知症や一時的に過度な興奮や幻視を起こす「せん妄」などの認知機能障害を合併した患者について尋ね、225病院(57%)から回答を得た/ 認知機能障害を合併していた人は計2080人(平均10人)で、担当患者全体の20・4%/ 認知機能障害はうつ病や体調不良などとして見過ごされがちで、実際にはさらに多くの合併患者がいるとみられる/ 国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の小川朝生・精神腫瘍科長は「合併患者の比率の高さに緩和ケアチームの実力が反映している。首都圏などでは高齢者数の急増が確実で、対策を急がなければ深刻な状況に陥る」と話している> とある。
専門的な知識がありようもない "患者自身とその家族だけでの判断" という心もとない現状の成り行きでは、<深刻な状況に陥る> という指摘が十分に説得力を持つ。
<緩和ケアチーム> という "不可欠な組織" の制度的充実が図られて然るべきではなかろうか。
がん患者、2割に認知機能障害...読売調査/読売新聞/2014.05.17
適切な治療の妨げにも
全国に整備されたがん診療連携拠点病院で、「緩和ケアチーム」が担当するがん患者の少なくとも2割が認知機能障害を合併していることが、読売新聞の全国調査で分かった。
こうした患者は、がんの発見の遅れや、意思確認の難しさで適切ながん治療を受けにくくなる懸念、治療後の受け入れ先探しの難しさなどに直面し、高齢人口の急伸に伴って激増が予想される。
調査は4月、全国のがん診療連携拠点病院397か所にアンケートを実施。認知症を含めた精神症状を伴うがん患者に最も接する緩和ケアチームに、認知症や一時的に過度な興奮や幻視を起こす「せん妄」などの認知機能障害を合併した患者について尋ね、225病院(57%)から回答を得た。
各病院のチームが昨年12月~今年2月の3か月間に担当した患者1万176人のうち、認知機能障害を合併していた人は計2080人(平均10人)で、担当患者全体の20・4%。
「市立札幌病院」(80人、88%)、「静岡県立静岡がんセンター」(72人、52%)、「国立がん研究センター東病院」(88人、42%)など合併患者への対応件数が多い病院がある一方で、48病院が10%未満、16病院が「0」だった。認知機能障害はうつ病や体調不良などとして見過ごされがちで、実際にはさらに多くの合併患者がいるとみられる。
体と精神を担当する別々の常勤医や経験を積んだ常勤看護師、薬剤師をチームにそろえた病院(112か所)の合併患者数は、そうでない病院(109か所)の2倍。国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の小川朝生・精神腫瘍科長は「合併患者の比率の高さに緩和ケアチームの実力が反映している。首都圏などでは高齢者数の急増が確実で、対策を急がなければ深刻な状況に陥る」と話している。
緩和ケアチーム がんによる痛みや、興奮・不安などの精神症状を和らげ、患者や家族の生活の質を支える専門チーム。医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーら多職種で構成し、主治医の依頼を受けて対応する。がん診療連携拠点病院には設置が義務づけられている。
"高齢化" を引き金として "急展開する医療現場の現状" を見つめる時、"孤立して置き去りにされたかのような患者個々人" の状況を放置したままでは、"患者個々人" はもとより、社会全体にとっての不幸は収拾し難くなるような気配だ...... (2014.05.19)
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