"認知症への薬物療法の『適応外使用』" に関して先日記載した記事で、<死亡率が2倍高まる> とされる以下の点が気になっていた。
◆ 参照 当誌過去の "抗精神病薬" 関連記事
○ <「認知症に伴う激しい症状への治療は、薬物療法が主となります。『鎮静をかけて症状を抑える』という方法を取らざるを得ず、活気を損ねず症状のみを消退させるのは、現状では困難です」/ 「抗精神病薬」「気分安定薬」という、統合失調症や気分障害に向けた薬を使って認知症の症状を治療するため、本来の治療対象とは異なる「適応外使用」......「認知症にそれらの薬を『適応外使用』すると、心疾患、脳血管障害、感染症などによって、死亡率が2倍高まると知られています。でも、使わざるを得ないのです」> ( "認知症"の凄まじい現状!八方手を尽くした先、やむにやまれず精神科病院にたどり着く/当誌 2014.06.04 )
今回注目する下記引用サイト記事 : 認知症高齢者の抗精神病薬 服用開始3~6か月、死亡リスク2倍/yomiDr. ヨミドクター/2014.06.13 は、まさにこの点への危惧が裏書きされるものと理解できる。
<認知症高齢者に、統合失調症などに用いる抗精神病薬を使う場合、飲み始めから3~6か月の間は、死亡リスクが飲まない人の2倍に高まる、との調査結果を日本老年精神医学会がまとめた/ 抗精神病薬については、米食品医薬品局(FDA)が2005年、認知症患者に使うと死亡リスクが1・6倍高まると警告した。しかし医療現場では、激しい興奮や暴力などの症状を抑えるために用いられることが珍しくない/ このため、同学会は12~13年、全国の約360医療機関で診療を受ける認知症高齢者(平均82歳)で、抗精神病薬を使う約5000人と使わない約5000人を登録。半年間追跡し、死亡率などを調査した。その結果、使う群と使わない群全体の比較では、死亡リスクに差はなかった。しかし、抗精神病薬を飲み始めたばかりの約450人を抽出すると、開始11~24週(3~6か月)の間の死亡率は3・7%で飲まない人の1・9%より高く、死亡リスクは2倍に上った。開始10週(約2か月)までは差がなかった> とある。
<激しい興奮や暴力などの症状を抑えるため> という "医療現場" のシビァな実態からすれば、"抗精神病薬" の "『適応外使用』" は避けられないともされているようなのだが......。
認知症高齢者の抗精神病薬 服用開始3~6か月、死亡リスク2倍/yomiDr. ヨミドクター/2014.06.13
認知症高齢者に、統合失調症などに用いる抗精神病薬を使う場合、飲み始めから3~6か月の間は、死亡リスクが飲まない人の2倍に高まる、との調査結果を日本老年精神医学会がまとめた。13日、都内で開かれる同学会で発表する。
抗精神病薬については、米食品医薬品局(FDA)が2005年、認知症患者に使うと死亡リスクが1・6倍高まると警告した。しかし医療現場では、激しい興奮や暴力などの症状を抑えるために用いられることが珍しくない。
このため、同学会は12~13年、全国の約360医療機関で診療を受ける認知症高齢者(平均82歳)で、抗精神病薬を使う約5000人と使わない約5000人を登録。半年間追跡し、死亡率などを調査した。その結果、使う群と使わない群全体の比較では、死亡リスクに差はなかった。しかし、抗精神病薬を飲み始めたばかりの約450人を抽出すると、開始11~24週(3~6か月)の間の死亡率は3・7%で飲まない人の1・9%より高く、死亡リスクは2倍に上った。開始10週(約2か月)までは差がなかった。
(2014年6月13日 読売新聞)
問題はやはり、現行の "抗精神病薬" を "認知症" 患者に対して使用することが『適応外使用』と認識しつつ、しかも "死亡リスク" に有意の差が生じているにもかかわらず使用し続けるという "惰性" だと言うべきか。
ともかく、公的な医療体制としては、"リスク回避" に向けた "薬剤開発" などが追及されるべきではなかろうか...... (2014.06.14)
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