"がん治療" に "漢方薬" が取り入れられる動きが広まっているという。
と言っても、がん自体に対する効能というよりも、"つらい症状" や "副作用(抗がん剤/放射線)" に対する "緩和" が目的とされているようである。
◆ 参照 当誌過去の "がん治療と漢方薬" 関連記事
○ <従来のがん治療に漢方薬を取り入れることで副作用の軽減など一定の効果が期待できるなどとして、横浜市にある「神奈川県立がんセンター」がことし4月から漢方薬を活用する治療の相談窓口を設けることになりました......> ( がんセンターに漢方相談窓口! 抗がん剤治療での副作用軽減+免疫機能を高める効果!/当誌 2014.01.06 )
今回注目する下記引用サイト記事 : 広がる「がん漢方」 症状や副作用を緩和/東京新聞/2014.06.17 もまた、"同様の目的" での対応が広がっていることを報じている。
<「がん漢方」という言葉をよく聞くようになった。全身にゆっくり作用する漢方薬を西洋医学の治療と併用することで、がんのつらい症状や抗がん剤などの副作用を緩和し、患者の生活の質(QOL)を高めようという取り組みだ。臨床の現場だけでなく、エビデンス(科学的根拠)を確かめる研究も少しずつ増えてきた。 (編集委員・安藤明夫)/ 愛知県がんセンター(名古屋市千種区)の循環器科部の外来。...... 部長の波多野潔さん(59)....../ 波多野さんは十年ほど前から、漢方薬の効果に注目し、がんのつらい症状や副作用の軽減、転移の防止などに取り入れている/ がんによる食欲不振にしばしば処方するほか、精神的な落ち込みにも使う。精神科の薬より、患者の抵抗感が少ないという利点もある/ 抗がん剤のイリノテカンによる特有の下痢、口内炎には、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などがよく効くことが確かめられている。 放射線で唾液腺がダメージを受け、口内が乾燥する場合は白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)が有効だ/ 大腸がんは肝臓、肺などに転移しやすいが、その予防に「三大補剤」と呼ばれる十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、補中益気湯(ほちゅうえききとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を、よく使う>
<がん診療に漢方薬を使う医師、病院は全国的にも増えている......国立がん研究センター研究所チームは、国内のがん治療病院などの緩和ケアに携わる医師に2010年、アンケートを実施......「がん治療に漢方薬を使っている」という人が64%に達した/ 使用する症状は、しびれ・感覚が鈍くなる、便秘、食欲不振・体重減少の順で、いずれも抗がん剤の代表的な副作用だ。使用されている漢方薬は、大建中湯(だいけんちゅうとう)(モルヒネ投与による便秘など)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)(しびれ)、六君子湯(りっくんしとう)(食欲不振)-の順で多かった/ 緩和ケアとは末期がんの治療に限らず、患者の状態を改善させ、生活の質を向上させる取り組みのこと......全身に作用する漢方薬は、がん治療の副作用や、痛み、衰弱を抑えることが期待できる......その効果を科学的に実証/ 例えば膵臓(すいぞう)がんの抗がん剤・ゲムシタビンを使用すると、食欲不振や体重減少という副作用が出る。これに対する六君子湯の効果を検証する臨床研究など、「漢方薬がなぜ効くのか、本当に効くのか?」を具体的に解明する研究だ> とある。
がん患者にとって、"つらい症状" や "副作用(抗がん剤/放射線)" が、少しでも "緩和" されることは "喜ばしいこと" であるに違いない。
ただ、特に "抗がん剤による副作用!" とその結果による "つらい症状" がことのほか強調され始めた現状にあっては、 "この側面の問題" が、同じ比重で対策される必要がありそうに思える......。
広がる「がん漢方」 症状や副作用を緩和/東京新聞/2014.06.17
「がん漢方」という言葉をよく聞くようになった。全身にゆっくり作用する漢方薬を西洋医学の治療と併用することで、がんのつらい症状や抗がん剤などの副作用を緩和し、患者の生活の質(QOL)を高めようという取り組みだ。臨床の現場だけでなく、エビデンス(科学的根拠)を確かめる研究も少しずつ増えてきた。 (編集委員・安藤明夫)
愛知県がんセンター(名古屋市千種区)の循環器科部の外来。...... 部長の波多野潔さん(59)...... 波多野さんは十年ほど前から、漢方薬の効果に注目し、がんのつらい症状や副作用の軽減、転移の防止などに取り入れている。
がんによる食欲不振にしばしば処方するほか、精神的な落ち込みにも使う。精神科の薬より、患者の抵抗感が少ないという利点もある。抗がん剤のイリノテカンによる特有の下痢、口内炎には、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などがよく効くことが確かめられている。放射線で唾液腺がダメージを受け、口内が乾燥する場合は白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)が有効だ。
大腸がんは肝臓、肺などに転移しやすいが、その予防に「三大補剤」と呼ばれる十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、補中益気湯(ほちゅうえききとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を、よく使う。
「治療の状態に合わせて、副作用を綿密にチェックしながら、使い分けたり、併用したりしている。西洋医学の薬との相性にも注意が必要。十年間、がん専門で実践してきたので、その強みがあると思う」と波多野さんは話す。
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がん診療に漢方薬を使う医師、病院は全国的にも増えている。国立がん研究センター研究所(東京都中央区)で、治療開発の分野長を務める上園保仁(やすひと)さん(55)らのチームは、国内のがん治療病院などの緩和ケアに携わる医師に2010年、アンケートを実施。その結果によると、56・7%にあたる311人が回答し、「がん治療に漢方薬を使っている」という人が64%に達した。
使用する症状は、しびれ・感覚が鈍くなる、便秘、食欲不振・体重減少の順で、いずれも抗がん剤の代表的な副作用だ。使用されている漢方薬は、大建中湯(だいけんちゅうとう)(モルヒネ投与による便秘など)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)(しびれ)、六君子湯(りっくんしとう)(食欲不振)-の順で多かった。
緩和ケアとは末期がんの治療に限らず、患者の状態を改善させ、生活の質を向上させる取り組みのこと。上園さんは「全身に作用する漢方薬は、がん治療の副作用や、痛み、衰弱を抑えることが期待できる」と話す。その効果を科学的に実証するため、10年にスタートした国の研究班の代表を務めている。
例えば膵臓(すいぞう)がんの抗がん剤・ゲムシタビンを使用すると、食欲不振や体重減少という副作用が出る。これに対する六君子湯の効果を検証する臨床研究など、「漢方薬がなぜ効くのか、本当に効くのか?」を具体的に解明する研究だ。
上園さんは「漢方薬のエビデンスを医師に伝えるキャラバンを一昨年、全国各地で開催し、とても大きな反響があった。今後は薬剤師や看護師など、医療スタッフ向けの勉強会にもつなげていきたい」と話す。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
上記記事のような "がん漢方" アプローチは、今後益々広まっていくのではないかと想定される。
当然のことながら、"つらい症状" が "緩和" されたいと望まざるを得ない患者にとって、あるいは、"がん治療" にどこまでも "望み" をつなげたい患者にとって、新しく眼に映る選択肢は魅了すると思われるからである。
しかし、そうした現実のもう片方で、"抗がん剤の副作用リスク!" の解明が遅れるならば、一体何をしているのか? という事態になりはしないかと危惧される...... (2014.06.19)
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