"がん治療" では、先ずは、最悪のケースから脱して "命を取り留めること" が主目的とされるのは当然のことだ。
ところが、手術、放射線治療、抗がん剤治療の結果でもたらされてしまった、いわゆる "がん後遺症" の問題が次第に注目されるようになっているようである。
これを、"がん治療" の "守備範囲(?)" が、医療技術の進展とともに "プラスα" の意味合いで広がっているのだと考えられなくもない。
だが、むしろ、"がん後遺症" の問題は、現状の "がん治療" のあり方への "再吟味" や "フィードバック" を迫っているのではないか? と受け留められなくもない......。
"抗がん剤治療" に対する数々の疑問(副作用)の問題が脳裏をかすめたりするわけだが、"リンパ浮腫" といった "がん後遺症" の問題が照らし出しているのは、がん克服過程での "プラスα" 的意味合いでの課題と言うよりも、"がん治療" のあり方それ自体への "反芻" を求めているように思えてならない。
もし、"リンパ浮腫" が、多くの場合が "一過性" の症状であったとするならばまだしも、現状では "ある程度改善はできても、完全に元には戻らない" と診断されているようであるため、しばしば "がん治療" の際に引き合いに出される "QOL(quality of life、生活の質)" の観点に著しく抵触すると見なされるのではなかろうか。
◆ 参照 当誌過去の "リンパ浮腫" 関連記事
○ <リンパ浮腫とは リンパ浮腫とは、がん治療によってリンパ節やリンパ管が傷つき、リンパの流れが滞るとことで起こるむくみのことです。がん治療以外でも発症する可能性がありますが、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの手術や抗がん剤治療、放射線治療後に発症する副作用の一つになります。症状については個人差があり、手術や抗がん剤治療、放射線治療の直後に現れる場合や、数年~10数年後に現れる場合もあります。リンパ浮腫は日常生活に影響を与え、腕がむくむと、ペンで文字を書いたり、料理で包丁を使うといったことが難しくなります。また、脚がむくむと、歩いたりすることが難しくなることもあります。> ( "リンパ浮腫"!"がん治療"(手術/抗がん剤/放射線)の"副作用"として発症する"むくみ"!/当誌 2014.06.20 )
今回注目する下記引用サイト記事 : がん後遺症の対処法シンポジウム/NHK NEWS WEB/2014.06.22 - 17:48 は、"リンパ浮腫" といった "がん後遺症" の問題 が、人々の視野の中にしっかりと据えられつつある最初のケースではないかと思われる。
<がんの治療を受けたあと手や足などがむくむ後遺症に苦しむ人が多いことから、対処法について知ってもらおうというシンポジウムが東京で開かれました/ このシンポジウムは、手や足などがむくむ「リンパ浮腫」といわれるがん治療の後遺症や、その対処法について知ってもらおうと、日本リンパ学会が東京・港区で開いたもので、患者や医療関係者などおよそ100人が参加/ がん研有明病院の宇津木久仁子医師が、リンパ浮腫は乳がんや前立腺がんなどの手術で転移を防ぐためにリンパ節を取った患者が発症する傾向があると説明 「体の小さな変化を見逃さず、早めに専門の医療機関に相談してほしい」と呼びかけ/ 日本人の2人に1人がかかるとされているがんは、治療で命を取り留めてもリンパ浮腫などの後遺症に苦しむ人が多いのが現状/ しかし後遺症については、医療関係者の間でも比較的関心が低く、患者に正しい知識が伝わっていない/ シンポジウムに参加した50代の女性は「7年前に乳がんの手術を受け、リンパ浮腫に悩んでいます。......」と> とある。
"リンパ浮腫" が "一過性" の症状 ではないことは、はからずも <シンポジウムに参加した50代の女性は「7年前に乳がんの手術を受け、リンパ浮腫に悩んでいます。......」> との記述からも了解できる。
がん後遺症の対処法シンポジウム/NHK NEWS WEB/2014.06.22 - 17:48<
がんの治療を受けたあと手や足などがむくむ後遺症に苦しむ人が多いことから、対処法について知ってもらおうというシンポジウムが東京で開かれました。
このシンポジウムは、手や足などがむくむ「リンパ浮腫」といわれるがん治療の後遺症や、その対処法について知ってもらおうと、日本リンパ学会が東京・港区で開いたもので、患者や医療関係者などおよそ100人が参加しました。
この中で、がん研有明病院の宇津木久仁子医師が、リンパ浮腫は乳がんや前立腺がんなどの手術で転移を防ぐためにリンパ節を取った患者が発症する傾向があると説明しました。
そのうえで宇津木医師は「体の小さな変化を見逃さず、早めに専門の医療機関に相談してほしい」と呼びかけました。
会場では、症状を和らげるのに効果的な運動も紹介され、参加者たちは手や足を回したり伸ばしたりしていました。
日本人の2人に1人がかかるとされているがんは、治療で命を取り留めてもリンパ浮腫などの後遺症に苦しむ人が多いのが現状です。
しかし後遺症については、医療関係者の間でも比較的関心が低く、患者に正しい知識が伝わっていないと指摘されています。
シンポジウムに参加した50代の女性は「7年前に乳がんの手術を受け、リンパ浮腫に悩んでいます。きょう学んだことを生かし、リンパ浮腫とうまくつきあっていきたいです」と話していました。
<がんは、治療で命を取り留めてもリンパ浮腫などの後遺症に苦しむ人が多いのが現状 しかし後遺症については、医療関係者の間でも比較的関心が低く、患者に正しい知識が伝わっていない> という点は、早期に改められる必要がありそうだ。
と同時に、"リンパ浮腫などの後遺症に苦しむ人が多い現状" に関する実情把握、"インフォームド・コンセントの一環として、後遺症としてのリンパ浮腫を説明する" ことなどの徹底が求められる...... (2014.06.24)
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