"がん治療" に随伴する "後遺症" として、"数" の上でも"辛さ" の上でも軽視できないであろう "リンパ浮腫" という症状について、昨日は着目したところだ。( "がん後遺症"(リンパ浮腫)に苦しむ人が多い現状!医療関係者の間でも比較的関心低い?!/当誌 2014.06.24 ) )
今回は、さんざんその "副作用" が懸念されてきた "抗がん剤" 治療と比べて、"延命効果" の向上と "副作用の減少" という両面で前進したとされる "分子標的治療薬"(抗がん剤の一種)の現状に目を向けてみたい。
今回注目する下記【 引用記事 1 】 : がんの分子標的治療薬に皮膚障害の副作用 皮膚科専門医参加で改善/msn 産経ニュース/2014.06.24 - 09:50 および 【 引用記事 2 】 : 分子標的治療薬の副作用(1)従来の抗がん剤にはない、分子標的治療薬に特有の皮膚症状とは?/がんナビ/2010.06.22 は、"抗がん剤治療(化学療法)" の新しい改良アプローチとも言われ、"延命効果" を持ちながら "副作用が少ない" と期待された "分子標的治療薬" を使った治療の、その現状 ―― "皮膚障害" が高率に出る "副作用" ! ―― について報じている。
【 引用記事 1 】
<がん細胞を狙い撃ちして退治する分子標的治療薬が化学療法の大きなウエートを占めるようになってきた。ところが、顔面にニキビのような皮疹が出たり、手足にやけどのような水泡ができ、痛みが走ったりするなどの皮膚障害の副作用が高率に出る。投与前からの計画的な治療や予防の対策が迫られている。(坂口至徳)/ 分子標的薬は、がん細胞が増殖したり、他の組織に入り込み転移したりする際に働く特有の分子を攻撃する。このため、正常細胞への影響は少なく、髪が抜けるなどこれまでの抗がん剤の副作用は少ないとされていた。しかし、がん細胞の表面に多く発現する特有の分子は正常な皮膚の細胞も少量持っているため、分子標的薬が作用し、症状を起こすとされる/ がん細胞同士の増殖の情報連絡を遮断するタイプの薬(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)では、ニキビのような「●瘡(ざそう)」(●=やまいだれに挫のつくり)という皮疹が皮膚一面に出る症状をはじめ、極端に皮膚が乾燥状態になり、指先やかかとの角質層がはがれ落ちるなどしてかゆみや痛みに悩まされる「乾燥性皮膚炎」、爪の周囲が赤く腫れ、重症化すると亀裂や痛み、出血で、歩行困難など生活に支障をきたす「爪囲(そうい)炎」がある/ がん細胞の増殖や進行に関わる複数の酵素を阻害するタイプの薬(マルチキナーゼ阻害薬)では、「手足症候群」という症状が出る。手足に赤みや痛みが出て重症化すると、やけどのような水泡と激しい痛みに見舞われる/ 早くから皮膚科を含めたチーム医療を展開している静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)の清原祥夫(よしお)皮膚科部長は「分子標的薬の延命効果がある患者ほど皮膚障害が出やすいというデータがある。その点を見極め、救命を優先しながらも、容貌の変化や行動の制約などにつながる皮膚障害を改善し、患者の精神状態を含めた生活の質を高める必要がある」と強調する/ 同センターにがん治療で入院した60代の女性は、分子標的薬による「乾燥性皮膚炎」になった。「しっとりした玉の肌だったのに、抗がん剤をやめたい」と落胆。しかし、清原部長らが塗り薬やスキンケアで保湿効果を高める治療を行い、元の肌質を取り戻した。その結果、分子標的薬の服用を中止することなく治療が続けられ、効果が出ている>
【 引用記事 2 】
<がんの化学療法(薬による治療)を受けるとき、心配なのは副作用だろう。ここ数年、「分子標的治療薬」という新しい種類の抗がん剤が広く使われ始めたことで、今までなかったタイプの副作用が現れるケースが増えている。特に多いのが、皮膚に現れる症状だ。セルフケアで症状を和らげることも可能なので、早い段階から対策に取り組みたい/ 「分子標的治療薬」と呼ばれる抗がん剤は、1980年代から研究が始まり、2000年前後から実際の治療で使われるようになった/ 「分子標的」という名前の通り、このタイプの薬は、がん細胞を狙い撃ちにするように設計されている。従来の抗がん剤は、体の中にあるがん細胞と正常細胞を区別できないため、正常な細胞にもダメージを与えてしまう。これに対して分子標的治療薬は、がん細胞だけに存在する分子(または非常に多い分子)をターゲットにしてダメージを与える。こんな仕組みから、がん細胞の増殖だけを抑えて、副作用が少なくなると期待されていた/ その代表例が、上皮成長因子受容体(EGFR)という分子を標的とした薬。EGFRは、細胞の表面にあるたんぱく分子で、細胞が増殖するときに重要な働きをする。正常な細胞にもあるが、がん細胞では圧倒的に過剰になっているケースが多いという/ EGFRを狙った抗がん剤が実際に使われてみると、がんに対する効果は期待通りだったが、副作用として、従来とは違うタイプの症状が現れることがわかった。皮膚に、ニキビのような皮疹や乾燥、炎症などが高率で現れるのだ。かゆみを伴うことも多いという> とある。
<救命を優先しながらも、容貌の変化や行動の制約などにつながる皮膚障害を改善し、患者の精神状態を含めた生活の質を高める必要がある> とされるのだが、顕在化する "皮膚障害" 以外に、"潜伏しつつ" 体内の他の正常細胞に悪影響を与えるという副作用リスク(?) は心配無用なのであろうか......。また、"コスト面では高額!" だとも聞くが......。
【 引用記事 1 】
がんの分子標的治療薬に皮膚障害の副作用 皮膚科専門医参加で改善/msn 産経ニュース/2014.06.24 - 09:50
がん細胞を狙い撃ちして退治する分子標的治療薬が化学療法の大きなウエートを占めるようになってきた。ところが、顔面にニキビのような皮疹が出たり、手足にやけどのような水泡ができ、痛みが走ったりするなどの皮膚障害の副作用が高率に出る。投与前からの計画的な治療や予防の対策が迫られている。(坂口至徳)
◆ 重症化すると
分子標的薬は、がん細胞が増殖したり、他の組織に入り込み転移したりする際に働く特有の分子を攻撃する。このため、正常細胞への影響は少なく、髪が抜けるなどこれまでの抗がん剤の副作用は少ないとされていた。しかし、がん細胞の表面に多く発現する特有の分子は正常な皮膚の細胞も少量持っているため、分子標的薬が作用し、症状を起こすとされる。
これまで確認された皮膚障害は、分子標的薬の種類によって異なる。
がん細胞同士の増殖の情報連絡を遮断するタイプの薬(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)では、ニキビのような「●瘡(ざそう)」(●=やまいだれに挫のつくり)という皮疹が皮膚一面に出る症状をはじめ、極端に皮膚が乾燥状態になり、指先やかかとの角質層がはがれ落ちるなどしてかゆみや痛みに悩まされる「乾燥性皮膚炎」、爪の周囲が赤く腫れ、重症化すると亀裂や痛み、出血で、歩行困難など生活に支障をきたす「爪囲(そうい)炎」がある。
がん細胞の増殖や進行に関わる複数の酵素を阻害するタイプの薬(マルチキナーゼ阻害薬)では、「手足症候群」という症状が出る。手足に赤みや痛みが出て重症化すると、やけどのような水泡と激しい痛みに見舞われる。
◆ 積極的に相談を
こうした症状は、分子標的薬の投与前から治療や予防の計画を立てておけば、的確な皮膚障害の治療薬の投与や塗り薬、スキンケアで改善できる。ところが、各地のがん専門の医療施設以外は、がんのチーム医療に皮膚科の専門医師が参加することが少ないという。
早くから皮膚科を含めたチーム医療を展開している静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)の清原祥夫(よしお)皮膚科部長は「分子標的薬の延命効果がある患者ほど皮膚障害が出やすいというデータがある。その点を見極め、救命を優先しながらも、容貌の変化や行動の制約などにつながる皮膚障害を改善し、患者の精神状態を含めた生活の質を高める必要がある」と強調する。
同センターにがん治療で入院した60代の女性は、分子標的薬による「乾燥性皮膚炎」になった。「しっとりした玉の肌だったのに、抗がん剤をやめたい」と落胆。しかし、清原部長らが塗り薬やスキンケアで保湿効果を高める治療を行い、元の肌質を取り戻した。その結果、分子標的薬の服用を中止することなく治療が続けられ、効果が出ている。
清原部長は「皮膚科の医師が、がん治療に関わり、内科など他の臨床科と協議する体制が地域ぐるみでも取られるようになりつつある。治療中の皮膚障害も改善する可能性が大きいので積極的に相談してほしい」と話している。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
【 引用記事 2 】
分子標的治療薬の副作用(1) 従来の抗がん剤にはない、分子標的治療薬に特有の皮膚症状とは?/がんナビ/2010.06.22
がんの化学療法(薬による治療)を受けるとき、心配なのは副作用だろう。ここ数年、「分子標的治療薬」という新しい種類の抗がん剤が広く使われ始めたことで、今までなかったタイプの副作用が現れるケースが増えている。特に多いのが、皮膚に現れる症状だ。セルフケアで症状を和らげることも可能なので、早い段階から対策に取り組みたい。
「分子標的治療薬」と呼ばれる抗がん剤は、1980年代から研究が始まり、2000年前後から実際の治療で使われるようになった。
「分子標的」という名前の通り、このタイプの薬は、がん細胞を狙い撃ちにするように設計されている。従来の抗がん剤は、体の中にあるがん細胞と正常細胞を区別できないため、正常な細胞にもダメージを与えてしまう。これに対して分子標的治療薬は、がん細胞だけに存在する分子(または非常に多い分子)をターゲットにしてダメージを与える。こんな仕組みから、がん細胞の増殖だけを抑えて、副作用が少なくなると期待されていた。
その代表例が、上皮成長因子受容体(EGFR)という分子を標的とした薬。EGFRは、細胞の表面にあるたんぱく分子で、細胞が増殖するときに重要な働きをする。正常な細胞にもあるが、がん細胞では圧倒的に過剰になっているケースが多いという。
そのため、EGFRを狙った抗がん剤が近年相次いで開発され、治療の現場で使われるようになってきた。
皮膚症状の強さは「薬が効いている証拠」でもある
EGFRを狙った抗がん剤が実際に使われてみると、がんに対する効果は期待通りだったが、副作用として、従来とは違うタイプの症状が現れることがわかった。皮膚に、ニキビのような皮疹や乾燥、炎症などが高率で現れるのだ。かゆみを伴うことも多いという。 ...... 以下省略 ......
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
"分子標的治療薬" であれ、"抗がん剤" 使用の "がん治療法" とは、とにかく現状の "がん細胞" を死滅させて "がん腫瘤(しゅりゅう)" を縮小させる( "根治" ではなく )治療法であると理解される。
それに向けて、"延命効果" と "副作用" との兼ね合いが勘案されるのであろうが、今ひとつ、別な可能性としての "転移/再発"( "がん幹細胞" が関与? これに対する "抗がん剤" の効果は不明/なし? )という懸念も残されることになる...... (2014.06.25)
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