<国立がん研究センターは10日、2014年に新たにがんと診断される人の数(罹患数)は88万2200人、がんで死亡する人は36万7100人との予測を公表した......> ( 今年のがん死亡37万人、初予測 国立がん研究センター/【共同通信】/2014.07.10 ) という喜べないニュースもあり、"がん" に対する国民の関心は否応なく高まっている。
"がん" への関心のほとんどは、"不安(と恐れ)" で埋め尽くされているかに思われる。 "仕事の継続" に関わる不安、"命そのもの" への不安、そして "医療費負担" ......。
治療における眼目、患者としての関心の焦点は、もちろん "どう治るのか/症状改善" の側面以外ではない。しかし、がん医療の現状はというと、これらは必ずしも保証されているわけではない。
だからこそと言うべきか、"より確かな効き目" を望む患者に対し、公的医療保険が適用外の "新薬/新治療法" が医師側から提案されるケースも生まれる。
その提案の中には、"効き目" や "延命効果" が "未知数"(承認されていないのだから当然!)でありながら、"患者負担額" は "桁外れに高額" というケースも少なくないという。
今回注目する下記引用サイト記事 : がん未承認薬6割、月100万円超 保険外なら重い負担/朝日新聞(土肥修一)/2014.07.11 - 07:19 は、こうした "未承認のがん治療薬" を使ったがん治療での "患者側の高額な負担" という実態の調査結果について報じている。
<米国や欧州で承認され、日本では未承認のがん治療薬41種類のうち、24種は薬代が円換算で月に100万円を超えるとする調査結果を国立がん研究センターがまとめた。承認されて公的医療保険が適用されないと、患者は高額な負担が必要となる例を示した/ 41種は2000年以降に欧米で承認され、14年5月末時点で日本では承認されていない抗がん剤やがんワクチン/ 月100万円を超えた24種のうち、6種は300万円を上回った。最高額は前立腺がんを対象にしたがんワクチン「シプリューセルT」で、月620万円になるという/ 公的医療保険が適用された薬であれば、自己負担は1~3割。患者の年齢や収入によって異なるものの、高額療養費制度を使えば、薬代を含めた1カ月の医療費を大幅に減額できる/ 一方、未承認のまま使う場合、公的医療保険と自由診療を組み合わせる「混合診療」は原則認められないため、薬代に加えて、本来なら保険が使える検査費や入院費なども含めて全額自己負担になる/ がんの薬物治療は数カ月かかるケースが多い。混合診療が認められても、重い薬代の負担は変わらない。......費用負担と薬の効果をよく理解したうえで、治療を選択すべきだ> とある。
患者側の「藁をもすがる」対応姿勢と、種々のインセンティブ(?)を持つ医師側姿勢とが相呼応して生み出されている "高水準新薬価格" !
これが効けば高くない、という患者側の心境は察するに余りあるとしても、果たして "どの程度、どう効くのか?" という肝心の事実はどこに......。
がん未承認薬6割、月100万円超 保険外なら重い負担/朝日新聞 (土肥修一)/2014.07.11 - 07:19
米国や欧州で承認され、日本では未承認のがん治療薬41種類のうち、24種は薬代が円換算で月に100万円を超えるとする調査結果を国立がん研究センターがまとめた。承認されて公的医療保険が適用されないと、患者は高額な負担が必要となる例を示した。
41種は2000年以降に欧米で承認され、14年5月末時点で日本では承認されていない抗がん剤やがんワクチン。この中には米国か欧州のどちらかで不承認となったり、承認申請が取り下げになったりした6種も含まれる。がんの領域別でみると、血液15種、皮膚8種、泌尿器7種、甲状腺2種などだった。
国立がん研究センターの藤原康弘・企画戦略局長らは、米国での薬価が確認できた34種について、1カ月にかかる薬代を円換算(1ドル=100円)した。使用量は、日本人の50代の平均身長や体重などをもとに、欧米での使用法から導き出した。
月100万円を超えた24種のうち、6種は300万円を上回った。最高額は前立腺がんを対象にしたがんワクチン「シプリューセルT」で、月620万円になるという。
月100万円を下回った残り10種は、月5万2千円から96万5千円だった
。公的医療保険が適用された薬であれば、自己負担は1~3割。患者の年齢や収入によって異なるものの、高額療養費制度を使えば、薬代を含めた1カ月の医療費を大幅に減額できる。
一方、未承認のまま使う場合、公的医療保険と自由診療を組み合わせる「混合診療」は原則認められないため、薬代に加えて、本来なら保険が使える検査費や入院費なども含めて全額自己負担になる。政府は混合診療の拡大を打ち出しているが、かりに混合診療が認められたとしても未承認薬の薬代は自己負担となる。
藤原氏は「がんの薬物治療は数カ月かかるケースが多い。混合診療が認められても、重い薬代の負担は変わらない。また、欧米では使える対象の患者を限定しており、同じ領域の患者すべてに使えるわけではない。費用負担と薬の効果をよく理解したうえで、治療を選択すべきだ」と話す。(土肥修一)
◆ 参照記事
<医師たちが高価な抗がん剤を処方する金銭的インセンティブをなくすことを目的とした注目の研究は、全般的な治療費が減る一方で、医薬品の費用が増えるという相反する結果となった。......> ( がん治療の費用を減らす研究、不透明な結果/THE WALL STREET JOURNAL./2014.07.09 ) )
"がん治療の新薬"(抗がん剤、分子標的薬など)が、大変な増加比率で医療現場に投入されている実情は、米国でも際立っているようである。( 上記の◆ 参照記事 )
こうした "新薬" の動向も気になると同時に、既に "承認済み" で、現に使われている "がん治療薬"(抗がん剤、分子標的薬など)自体の、その "効き目" は、額面どおり奏功しているのかどうか、その点が気になる昨今である...... (2014.07.12)
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