昨日、"アルツハイマー病" と "糖尿病" 治療薬の "インスリン" との奇妙な関係について着目したばかりである。( 参照 アルツハイマー病治療にもヒント?!インスリン受容体がシナプスまで運ばれて学習成立?!/当誌 2014.07.21 )
ところが、期せずして、7月20日のTV番組 "NHKスペシャル:"認知症800万人"時代 認知症をくい止めろ ~ここまで来た!世界の最前線~" では、"認知症/アルツハイマー病" が、"糖尿病治療薬:インスリン" の投与によって、さらに "脳梗塞再発予防薬:シロスタゾール" の服用によって、症状がくい止められた! と放映し、大反響を呼んでいたのである。
"認知症/アルツハイマー病" とは無縁と考えられていた "糖尿病" や "脳梗塞" 向けの "既存薬" が、"認知機能低下" を想定外にくい止めている! というのである。
ちなみに、この "脳梗塞再発予防薬:シロスタゾール" が "認知症" に効くという事実についても、当誌ではこれまでに以下のようにフォローしてきている。
◆ 参照 当誌過去の "シロスタゾール" 関連記事
( 1 ) <国立循環器病研究センター(略称:国循)は、脳梗塞再発予防薬として広く用いられている抗血小板薬「シロスタゾール」が認知症の進行予防にも有効であることを明らかにしました/ 認知症は、いくつかの対症療法は存在しますが、認知機能の低下そのものを根本的に食い止める手法はまだ見つかっていません/ アルツハイマー型認知症の認知症症状の進行抑制に用いられるドネペジル塩酸塩という薬剤を内服している洲本伊月病院の患者を対象に、シロスタゾール内服者と非内服者年間の認知機能低下率をミニメンタルステート検査(MMSE)により比較したところ、シロスタゾールを内服していた患者では年間の認知機能低下が有意に抑制されていることが分かりました。シロスタゾールを内服していた患者では、特に記憶の再生や自分の置かれている状況を正確に把握する能力(見当識)の低下が阻止されていました/ シロスタゾールがアルツハイマー病のような神経変性症にも有効である可能性を示唆している> ( (再) 脳梗塞予防の既存薬「シロスタゾール」!アルツハイマー型認知症の進行を抑制!/当誌 2014.03.12 )
( 2 ) <血液が固まるのを防ぎ、脳梗塞予防などに用いられる薬「シロスタゾール」に、認知症の進行を抑える効果のあることが、国立循環器病研究センターなどの研究で分かった/ 認知症患者は血管の病気を併発しやすく、シロスタゾールを服用することがある。研究グループは、アルツハイマー型認知症で治療中の人を、シロスタゾールを内服したグループとしなかったグループに分け、認知機能の変化を比較した。 その結果、軽度認知症の患者では、内服した人の認知機能の年間低下率は、しなかった人の約8割に抑えられた。また、記憶したり、自分のいる場所を正確に把握したりする能力も改善した> ( アルツハイマー型認知症の進行を既存薬(脳梗塞予防薬「シロスタゾール」)内服で抑制!/当誌 2014.02.28 )
なお、上記のTV番組の番組紹介サイト : "認知症800万人"時代 認知症をくい止めろ ~ここまで来た!世界の最前線~/NHK ONLINE - NHKスペシャル/2014.07.20 は、その番組内容を次のように解説している。
<これまで認知症は、ひとたび発症すれば決してくい止めることのできない"宿命の病"とされ、いつできるとも知れぬ画期的新薬の登場に望みがかけられてきた。
しかし今、世界各国の認知症対策の最前線では、全く違うアプローチに注目が集まっている。認知症とは何の関係も無いと思われていた"糖尿病"や"高血圧"などの既存薬を投与したところ、発症直後の患者の記憶力の低下がくい止められたという医学的な報告が相次いでいる。
更に、症状が進行した患者でも、"脳の残存機能に働きかける介護法"で、症状を改善できることもわかってきた。最新の脳科学の知見を手がかりにしたこれらの方法を、認知症人口の爆発直前の今、広めることができれば、破綻も回避可能との見方も出始めている。
番組では、日米欧のホットな対策の現場を緊急報告。スタジオではそれをもとに、認知症の進行度合いに応じて、私たち自身、そして日本の医療・介護の現場が、今すぐに出来ることは何かについて、徹底的に議論してゆく>
これら "既存薬" の効き目については、上記のとおり、<発症直後の患者の記憶力の低下がくい止められた> とあり、"限定的" であり、すべての認知症患者に該当するものではないようだ。
また、"既存薬" とはいえども、"素人療法" で対処することは、"副作用" 問題が伴うため禁物だと思われる。
"認知症800万人"時代 認知症をくい止めろ ~ここまで来た!世界の最前線~/NHK ONLINE - NHKスペシャル/2014.07.20
これまで認知症は、ひとたび発症すれば決してくい止めることのできない"宿命の病"とされ、いつできるとも知れぬ画期的新薬の登場に望みがかけられてきた。
しかし今、世界各国の認知症対策の最前線では、全く違うアプローチに注目が集まっている。認知症とは何の関係も無いと思われていた"糖尿病"や"高血圧"などの既存薬を投与したところ、発症直後の患者の記憶力の低下がくい止められたという医学的な報告が相次いでいる。
更に、症状が進行した患者でも、"脳の残存機能に働きかける介護法"で、症状を改善できることもわかってきた。最新の脳科学の知見を手がかりにしたこれらの方法を、認知症人口の爆発直前の今、広めることができれば、破綻も回避可能との見方も出始めている。
番組では、日米欧のホットな対策の現場を緊急報告。スタジオではそれをもとに、認知症の進行度合いに応じて、私たち自身、そして日本の医療・介護の現場が、今すぐに出来ることは何かについて、徹底的に議論してゆく。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
"既存薬" といえども、"適用用途" 拡大変更に向けては、"新薬" ほどではないにせよ、当然それ相応の "臨床試験" が必要となろうかと思われる。また、販売上の処理課題も生まれるやもしれない......。
ただ、"認知症/アルツハイマー病" は、まさに国民的課題の病気であるため、薬事行政では十分に配慮されるべきかと...... (2014.07.22)
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