認知症の中でも "アルツハイマー型認知症/アルツハイマー病" は高い比率を占めている。
また、"アルツハイマー病" は、その顕著な症状である記憶力低下が表面化する "ずっと以前から" 脳内での変異( 脳内ベータアミロイド・タンパク質の蓄積 )が進行していると診られており、その点から、もし、"早期発見=早期治療" で臨めるならば、症状の進行を大幅に遅れさせることができる、と考えられている。
したがって、いかに早く "アルツハイマー病" の "前兆" を掴むか、が勝負どころだと見なされている。
といっても、大掛かりな診断検査となって被験者に大きな負担をかけるようであっては奏功しない。いわゆる "簡単で侵襲性の少ない診断検査" こそが求められているわけなのである。
こうした脈絡から、かねてより "アルツハイマー病" の症状進行を反映する "バイオマーカー" として、"嗅覚機能の低下" に目星がつけられていた。
◆ 参照 当誌過去の "アルツハイマー病 と 嗅覚" 関連記事
(1) "正常な老化過程における細胞死"について、ハエの嗅覚神経細胞老化で究明(東京大学)!/当誌 2014.07.01
(2) "血液検査"でアルツハイマー予見、精度90%超!(米大学) 予防/早期治療に結びつくか?!/当誌 2014.03.11
(3) アロマセラピー!"香りの力"で認知症を予防する!アルツハイマー型認知症と嗅覚障害!/当誌 2014.03.04
(4) "においビジネス"/においと記憶の密接な関係/嗅覚だけはほぼダイレクトに脳へ/当誌 2010.05.20
今回注目する下記引用サイト記事 : 嗅覚と目の検査でアルツハイマー病早期発見の可能性も/Impress Watch/2014.07.14 では、"アルツハイマー病" の "前兆" を掴む方法として、"簡単で侵襲性の少ない診断検査" である "嗅覚機能と目の検査" に着目している研究成果が紹介されている。
<アルツハイマー病の新しいバイオマーカー/ コペンハーゲンで開かれたAlzheimer's Association International Conference(登録商標)2014(AAIC 2014)で13日に報告された4つの研究試験の結果によると、においをかぎ分ける能力の低下は認知機能障害とアルツハイマー病の発症を示唆するものかもしれず、また目の検査でアルツハイマー病に関連するベータアミロイド・タンパク質の脳内蓄積を示せるかもしれない/ このうち2つの研究では、においをかぎ分ける能力の低下は脳細胞機能の喪失、アルツハイマー病への進行と著しい関係があった。ほかの2つの研究では、目の中で検出されたベータアミロイドのレベルが (a)脳内のベータアミロイドの負荷量と著しい相互関連があり、(b)研究者たちは研究中にアルツハイマー病の人を正確に特定することができた/ ベータアミロイド・タンパク質はアルツハイマー病の特徴である粘着質の脳「プラーク」に見られる主な物質である。記憶喪失など認知問題の典型的なアルツハイマー病の症状より何年も前に脳内に蓄積されることが知られている/ Alzheimer's Association(アルツハイマー病協会)のヘザー・スナイダー医学・科学事業担当理事は「世界的なアルツハイマー病の広がりに直面して、アルツハイマー病のずっと早い段階でこの病気のリスクを発見する簡単で侵襲性の少ない診断検査が緊急に必要とされている。アルツハイマー病研究者たちは病気の初期段階での治療、予防試験に動いている......」と語っている/ 臨床的には現在、アルツハイマー病を発見できるのは発症の後期段階で脳の著しい損傷がすでに生じてからにすぎない。アルツハイマー病のバイオマーカーはより早い段階で発見できる。例えば、脳PET画像をベータアミロイド・タンパク質と結合する特殊化学物質と併用すれば、プラークとしてのタンパク質の脳内蓄積は症状の出現より何年も前に明らかにできる。こうしたスキャンは経費がかかり、どこでも利用できるものではない。>
< ▽ 認知機能が正常な高齢者における嗅覚機能悪化に伴うより大きな神経変性 においを正しくかぎ分ける能力の低下は認知機能障害の前兆、アルツハイマー病の初期臨床特性であるという証拠が増えている。この病気は脳細胞を殺すことで始まり、これには嗅覚にとって重要な細胞が含まれることが多い ハーバード大学医学部、ハーバード大学公共保健学部採用希望者のマシュー・E・グロードン博士 と同僚は、...... この研究対象者グループで小さな海馬と薄い嗅内皮質は低いかぎ分け能力、低い記憶力と関連していたと報告した。また科学者たちは、研究参加者のうち脳内アミロイドのレベルが高いサブグループでは、嗅内皮質が薄いことで示されているように多くの脳細胞死が(年齢、性、推定認知的予備力を含む変数調整後で)嗅覚機能の低下と著しい関連があることを発見した>
< ▽ 軽度認知障害からアルツハイマー病への移行に関連するにおいかぎ分け能力低下 コロンビア大学医療センターのダバンゲレ・デバナンド精神科教授(神経学、セルギエフスキ・センター)と同僚は平均年齢80.7歳のニューヨーク市民1037人の認知症のない高齢者の多人種サンプル(白人34%、アフリカ系米国人30%、ヒスパニック36%)を調査し、...... 追跡調査された757人の中に、UPSITで低い嗅覚識別スコアを示した被験者が、人口動態、認識、機能測定、言語の管理能力、アポリポタンパクE遺伝子型について調整した後、認知症とアルツハイマー病への移行と大いに関係があったと報告した。UPSITで計算されてそれぞれの点数が低かった被験者については、アルツハイマー病にかかるリスクが10%増加した。さらにUPSITスコアが低い基準値だが、言語記憶の測定値でないものは、基準値の認識機能障害のない被験者の認識低下に大きな関連性があった>
< ▽ ベータアミロイドに対する目の検査は、脳内レベルと相関関係があり、アルツハイマー病にかかった人を判定する 最近の研究は、アルツハイマー病にかかった人の網膜にベータアミロイドプラーク(斑)を識別した。これは脳内に見いだすプラークと相似しており、早期発見の単純かつ非侵襲的方法になる可能性を示唆している。...... 予備的研究の結果によると、網膜で見つかったアミロイド水準はPET画像検査で示された脳内アミロイド水準とかなりの相関関係があった。網膜アミロイドのテストはまた、それぞれ100%と80.6%の感度でアルツハイマーおよび非アルツハイマー対象者を差別化した>
< ▽ 目の水晶体で検知されたアミロイドは、脳内で検知されたアミロイド水準と強い相関関係がある AAIC 2014でCognoptix, Inc.のポール・D・ハートゥング社長兼最高経営責任者(修士号取得)と同僚は、アミロイドとレーザースキャナーと結びつけた局所適用軟膏を使って、水晶体のベータアミロイドを検知する新しい蛍光リガンド眼球スキャニング(FLES)システムによる研究結果を報告した 研究者たちは軽度の症例や20歳にマッチした健康的なボラティアを含めて、おそらくアルツハイマー病にかかった20人を調べた。そのすべての被験者のアルツハイマーの状況は観察者に伏せられた。 蛍光画像処理から得られた結果を利用して、研究者は高い感度(85%)と特定性(95%)による健康管理からアルツハイマー病にかかった人を差別化することができた。さらに目の水晶体テストに基づくアミロイド水準は、PET脳内画像処理を通じて得られた結果と大いに関連性があった。> とある。
【 引用記事(抜粋)】
嗅覚と目の検査でアルツハイマー病早期発見の可能性も /Impress Watch/2014.07.14
AsiaNet 57323
共同JBN 0772 (2014.7.14)【コペンハーゲン(デンマーク)2014年7月13日PRN=共同JBN】
* アルツハイマー病の新しいバイオマーカーの結果がAlzheimer's Association International Conference(国際アルツハイマー病会議)2014で報告されたコペンハーゲンで開かれたAlzheimer's Association International Conference(登録商標)2014(AAIC 2014)で13日に報告された4つの研究試験の結果によると、においをかぎ分ける能力の低下は認知機能障害とアルツハイマー病の発症を示唆するものかもしれず、また目の検査でアルツハイマー病に関連するベータアミロイド・タンパク質の脳内蓄積を示せるかもしれない。
このうち2つの研究では、においをかぎ分ける能力の低下は脳細胞機能の喪失、アルツハイマー病への進行と著しい関係があった。ほかの2つの研究では、目の中で検出されたベータアミロイドのレベルが (a)脳内のベータアミロイドの負荷量と著しい相互関連があり、(b)研究者たちは研究中にアルツハイマー病の人を正確に特定することができた。
ベータアミロイド・タンパク質はアルツハイマー病の特徴である粘着質の脳「プラーク」に見られる主な物質である。記憶喪失など認知問題の典型的なアルツハイマー病の症状より何年も前に脳内に蓄積されることが知られている。
Alzheimer's Association(アルツハイマー病協会)のヘザー・スナイダー医学・科学事業担当理事は「世界的なアルツハイマー病の広がりに直面して、アルツハイマー病のずっと早い段階でこの病気のリスクを発見する簡単で侵襲性の少ない診断検査が緊急に必要とされている。アルツハイマー病研究者たちは病気の初期段階での治療、予防試験に動いているので、この点は特に真実である」と語っている。
臨床的には現在、アルツハイマー病を発見できるのは発症の後期段階で脳の著しい損傷がすでに生じてからにすぎない。アルツハイマー病のバイオマーカーはより早い段階で発見できる。例えば、脳PET画像をベータアミロイド・タンパク質と結合する特殊化学物質と併用すれば、プラークとしてのタンパク質の脳内蓄積は症状の出現より何年も前に明らかにできる。こうしたスキャンは経費がかかり、どこでも利用できるものではない。アミロイドも、背中下部の(脊椎の)2つの骨の間に針を刺して脳、脊髄の周囲の液体サンプルを取り出す腰椎穿刺を通じて脳脊髄液中で発見することができる。
▽ 認知機能が正常な高齢者における嗅覚機能悪化に伴うより大きな神経変性
においを正しくかぎ分ける能力の低下は認知機能障害の前兆、アルツハイマー病の初期臨床特性であるという証拠が増えている。この病気は脳細胞を殺すことで始まり、これには嗅覚にとって重要な細胞が含まれることが多い。
ハーバード大学医学部、ハーバード大学公共保健学部採用希望者のマシュー・E・グロードン博士 と同僚は、...... この研究対象者グループで小さな海馬と薄い嗅内皮質は低いかぎ分け能力、低い記憶力と関連していたと報告した。また科学者たちは、研究参加者のうち脳内アミロイドのレベルが高いサブグループでは、嗅内皮質が薄いことで示されているように多くの脳細胞死が(年齢、性、推定認知的予備力を含む変数調整後で)嗅覚機能の低下と著しい関連があることを発見した。
▽ 軽度認知障害からアルツハイマー病への移行に関連するにおいかぎ分け能力低下
コロンビア大学医療センターのダバンゲレ・デバナンド精神科教授(神経学、セルギエフスキ・センター)と同僚は平均年齢80.7歳のニューヨーク市民1037人の認知症のない高齢者の多人種サンプル(白人34%、アフリカ系米国人30%、ヒスパニック36%)を調査し、3回(2004-2006年、2006-2008年、2008-2010年)にわたりさまざまなやり方で評価した。UPSITは2004年から2006年までの間に英語とスペイン語で行われた。フォローアップ期間中に109人が認知症(うち101人がアルツハイマー病)になり、270人が死亡した。
AAIC 2014でデバナンド教授は、追跡調査された757人の中に、UPSITで低い嗅覚識別スコアを示した被験者が、人口動態、認識、機能測定、言語の管理能力、アポリポタンパクE遺伝子型について調整した後、認知症とアルツハイマー病への移行と大いに関係があったと報告した。UPSITで計算されてそれぞれの点数が低かった被験者については、アルツハイマー病にかかるリスクが10%増加した。さらにUPSITスコアが低い基準値だが、言語記憶の測定値でないものは、基準値の認識機能障害のない被験者の認識低下に大きな関連性があった。......
▽ ベータアミロイドに対する目の検査は、脳内レベルと相関関係があり、アルツハイマー病にかかった人を判定する
最近の研究は、アルツハイマー病にかかった人の網膜にベータアミロイドプラーク(斑)を識別した。これは脳内に見いだすプラークと相似しており、早期発見の単純かつ非侵襲的方法になる可能性を示唆している。......
予備的研究の結果によると、網膜で見つかったアミロイド水準はPET画像検査で示された脳内アミロイド水準とかなりの相関関係があった。網膜アミロイドのテストはまた、それぞれ100%と80.6%の感度でアルツハイマーおよび非アルツハイマー対象者を差別化した。......
▽ 目の水晶体で検知されたアミロイドは、脳内で検知されたアミロイド水準と強い相関関係がある
AAIC 2014でCognoptix, Inc.のポール・D・ハートゥング社長兼最高経営責任者(修士号取得)と同僚は、アミロイドとレーザースキャナーと結びつけた局所適用軟膏を使って、水晶体のベータアミロイドを検知する新しい蛍光リガンド眼球スキャニング(FLES)システムによる研究結果を報告した。
研究者たちは軽度の症例や20歳にマッチした健康的なボラティアを含めて、おそらくアルツハイマー病にかかった20人を調べた。そのすべての被験者のアルツハイマーの状況は観察者に伏せられた。軟膏は測定の1日前に、被験者の下部マブタ(眼瞼)の中に適用された。レーザースキャニングが特定の蛍光処方の存在によって目の中のベータアミロイドを検出した。脳内アミロイドPETスキャニングは、脳内のアミロイドプラーク密度を推定するためすべての被験者で実施された。
蛍光画像処理から得られた結果を利用して、研究者は高い感度(85%)と特定性(95%)による健康管理からアルツハイマー病にかかった人を差別化することができた。さらに目の水晶体テストに基づくアミロイド水準は、PET脳内画像処理を通じて得られた結果と大いに関連性があった。研究陣によると、重大な有害事象は報告されなかった>。
米フェニックスにあるBanner Alzheimer's Instituteのピエール・N・タリオット所長(医博)は「アルツハイマー病の早期診断と管理には、迅速かつ信頼でき、低コストかつ容易に利用できるテストが決定的に必要である」と語った。......
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して抜粋しています。)
"アルツハイマー病" と "嗅覚機能低下" との相関関係で思い至る点は二点。
一点目は、"食品の腐敗異臭" や "ガスの臭い" が感知しにくくなるという "生活上の安全性" に関わるもの。
もう一点は、"匂い" こそが、それと密着した "芳しい過去の記憶" を喚起させるトリガー! だと思われるのだが、このチャンネルが閉ざされていくとなると、記憶は尚のこと低迷するのではないか......、という点である...... (2014.07.16)
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