"大腸がん" の手術法/治療法として長らく "当然視" されてきた "人工肛門" は、昨今ではあたかも "第二義的な選択肢" と見なされつつあるのかもしれない。
<"人工肛門"避け、手術しても"肛門機能"を残す新手法登場!> のお陰である。
◆ 参照 当誌過去の "人工肛門" 関連記事
(1) "人工肛門"回避の可能性拡大!"直腸がん"に究極の手術"ISR"!肛門括約筋を一部温存!/当誌 2014.10.21
(2) 直腸がん:"人工肛門"避け、手術しても"肛門機能"を残す新手法登場!高くない再発率!/当誌 2013.11.04
今回注目する下記引用サイト記事 : 大腸がん、肛門残す手術法 2年後の排便「とても良い」3割 自分で排泄、満足感/朝日新聞/2014.11.11 - 05:00 は、次第に一般化しつつある "肛門を残す試み" である "新しい方法" について、体験患者の感想や、多くの体験者たちの評価を交えて実情を紹介している。
<大腸がんの手術で、新しい方法が広がりつつある。肛門(こうもん)近くのがんは、これまで人工肛門が選択されてきたが、筋肉の一部を切り取って肛門を残す試みだ。ただ、排便機能が落ちる場合もあり、手術後の生活への影響を考えて選ぶ必要がある。/ 千葉県柏市の女性(36)は2012年4月、ひどい貧血と腹痛で県内の病院を受診した。夏に大腸がんの一種の直腸がんと診断された。直腸の筋肉に及ぶ進行がんで、肛門から4センチの位置にあった。 がんが肛門から約5センチ以内にあった場合、手術で直腸と肛門を一緒に切り取るのが一般的。術後は腸の一部を脇腹から出して人工肛門をつくり、小さな袋を常時つけてそこに排泄(はいせつ)する。 女性は、医師から「肛門を残せる手術がある」と言われ、柏市内にある国立がん研究センター東病院を紹介された。3カ月の抗がん剤治療の後、括約筋間直腸切除術(ISR)という手術を受けた。 肛門には便がもれないようにしている括約筋がある。腸に近い内側にある「内肛門括約筋」は自分の意思でコントロールできないが、外側の「外肛門括約筋」はできる。 新しい手術法では、内外の二つの括約筋の間にメスを入れ、外肛門括約筋を残してがんを切り取る。腸の状態が落ち着くまで手術から数カ月ほど人工肛門にする必要があるが、再手術で閉じれば、残った括約筋を使って自分の肛門から排泄できる。内肛門括約筋を切り取る範囲はがんの位置や深さなどによって違い、この手術法ができないことがある。 女性も人工肛門を約半年間経験した後、再手術を受けて再び自分の肛門で排泄できるようになった。「肛門を残せてよかった」 この手術法は、日本では2000年ごろから実施され始めた。直腸や肛門は骨盤の奥にあり、手術の際に見えづらい。神経を傷つけずに外肛門括約筋を残しながらがんを取り切るには、高い技術が求められる。 東病院では、がんの再発率が肛門ごと摘出した場合とほとんど変わらなかったという。伊藤雅昭・大腸外科医長は「自分の肛門から排泄を望む患者の満足感につながる」と話す。/ ■ 便漏れ起きる場合も 肛門を残す手術法でも、排便機能は術前とまったく同じとはいかない。筋肉や直腸が減った分、便漏れは起きやすくなってしまう。便をためておけずに、排便の回数が極端に増えることがある。排便障害に困って、再び人工肛門をつくる人もいる。 東病院など全国7施設では、2005~08年にこの手術を受けた110人を対象に経過を調べた。便漏れの頻度や便漏れ用パッドの使用頻度などから排便機能を評価する指標でみると、「とても良い」と判定された患者の割合は、人工肛門を閉じる手術の3カ月後では14%だったが、2年後には30%に増えていた。一方、「とても悪い」とされた患者は3カ月後の時点で24%おり、2年後でも7%いたという。 (福宮智代)> とある。
大腸がん、肛門残す手術法 2年後の排便「とても良い」3割 自分で排泄、満足感/朝日新聞/2014.11.11 - 05:00
大腸がんの手術で、新しい方法が広がりつつある。肛門(こうもん)近くのがんは、これまで人工肛門が選択されてきたが、筋肉の一部を切り取って肛門を残す試みだ。ただ、排便機能が落ちる場合もあり、手術後の生活への影響を考えて選ぶ必要がある。
千葉県柏市の女性(36)は2012年4月、ひどい貧血と腹痛で県内の病院を受診した。夏に大腸がんの一種の直腸がんと診断された。直腸の筋肉に及ぶ進行がんで、肛門から4センチの位置にあった。
がんが肛門から約5センチ以内にあった場合、手術で直腸と肛門を一緒に切り取るのが一般的。術後は腸の一部を脇腹から出して人工肛門をつくり、小さな袋を常時つけてそこに排泄(はいせつ)する。
女性は、医師から「肛門を残せる手術がある」と言われ、柏市内にある国立がん研究センター東病院を紹介された。3カ月の抗がん剤治療の後、括約筋間直腸切除術(ISR)という手術を受けた。
肛門には便がもれないようにしている括約筋がある。腸に近い内側にある「内肛門括約筋」は自分の意思でコントロールできないが、外側の「外肛門括約筋」はできる。
新しい手術法では、内外の二つの括約筋の間にメスを入れ、外肛門括約筋を残してがんを切り取る。腸の状態が落ち着くまで手術から数カ月ほど人工肛門にする必要があるが、再手術で閉じれば、残った括約筋を使って自分の肛門から排泄できる。内肛門括約筋を切り取る範囲はがんの位置や深さなどによって違い、この手術法ができないことがある。
女性も人工肛門を約半年間経験した後、再手術を受けて再び自分の肛門で排泄できるようになった。「肛門を残せてよかった」
この手術法は、日本では2000年ごろから実施され始めた。直腸や肛門は骨盤の奥にあり、手術の際に見えづらい。神経を傷つけずに外肛門括約筋を残しながらがんを取り切るには、高い技術が求められる。
東病院では、がんの再発率が肛門ごと摘出した場合とほとんど変わらなかったという。伊藤雅昭・大腸外科医長は「自分の肛門から排泄を望む患者の満足感につながる」と話す。
■ 便漏れ起きる場合も
肛門を残す手術法でも、排便機能は術前とまったく同じとはいかない。筋肉や直腸が減った分、便漏れは起きやすくなってしまう。便をためておけずに、排便の回数が極端に増えることがある。排便障害に困って、再び人工肛門をつくる人もいる。
東病院など全国7施設では、2005~08年にこの手術を受けた110人を対象に経過を調べた。便漏れの頻度や便漏れ用パッドの使用頻度などから排便機能を評価する指標でみると、「とても良い」と判定された患者の割合は、人工肛門を閉じる手術の3カ月後では14%だったが、2年後には30%に増えていた。一方、「とても悪い」とされた患者は3カ月後の時点で24%おり、2年後でも7%いたという。 ―― 以下略 ――
(福宮智代)
こうした手術は、他のいろいろな選択と比べても、いわば "取り返しがつかない" 選択であるだけに、"体験患者" さんたちの評価や感想が極めて重要な判断材料となりそうである...... (2014.11.15)
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