他に多く発生しているグローバルな問題と同様に、今回の "エボラ出血熱の大規模感染" という事態についても、日本は他国と同様に国際社会の一員としての適切な対応が求められている。現状の感染拡大状況は予断を許さない状況であり、取り返しのつかない事態にもなりかねない......。
◆ 参照 当誌過去の "エボラ出血熱" 関連記事
(1) エボラウイルス検出されず!リベリア滞在で発熱の男性 引続き3日程度入院で経過観察!/当誌 2014.10.29
(2) エボラ出血熱への警戒が尚一層強まる!ニューヨークの医師(MSF)感染判明とその情勢!/当誌 2014.10.27
今回注目する下記引用サイト記事 : エボラ熱「人道の危機」 ウイルス発見の博士に聞く/朝日新聞 - 江木慎吾/2014.10.31 - 08:22 は、"エボラウイルス発見者の一人" でもある "ロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長のピーター・ピオット博士" が、日本に対して以下のように語った、と伝えている。
強調された点は、<西アフリカの状況を人道危機ととらえ、日本が得意な支援を生かすべきだ> という点がひとつ。 また、"水際対策" よりも、<「ウイルスが入ってくる準備を医療機関が整えることが大事だ」> という点になりそうである。
<エボラウイルス発見者の一人で、国連エイズ計画(UNAIDS)事務局長としてエイズ対策を主導したロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長のピーター・ピオット博士(65)が30日、都内で講演した。講演の質疑や朝日新聞とのインタビューで、いまのエボラ熱の大規模感染は「日本の一般大衆にとって直接の脅威にはなってはいない」としつつ、西アフリカの状況を人道危機ととらえ、日本が得意な支援を生かすべきだと語った。/ ピオット氏は「ウイルスが入ってくる準備を医療機関が整えることが大事だ」とし、水際対策について「空港での体温検査は、教育や注意喚起はともかく、科学的にあまり効果はない」と話した。ニューヨーク州などが西アフリカで感染者と接触した医師らに3週間の隔離措置を導入したことについても、感染地に赴く医師らの熱意をくじくとして知事に撤回を申し入れたという。 国境封鎖などで感染地を孤立化させれば、支援を困難にし、感染克服を阻害すると指摘する。「経済活動は止まり、貧困は拡大し、国が普通の機能を失ってしまう。保健衛生の問題ではなく、もはや人道危機だ」と話した。保健予算をエボラ対策に振り向ければ、エイズ、結核やマラリアなどその他の病気で死者が増えるだけになると分析した。/ 米英は災害支援に経験豊富な軍を現地に送り込み、感染者の収容施設づくりなどに力を注いでいる。「人道援助に豊富な経験を持つ日本も、この方面で支援できる」と話した。 エボラ出血熱は、1人の感染者からでも大規模感染につながる。「感染が減少に向かっていたギニアで1人の葬儀に集まった人たちから再び拡大したことがわかっている。最後の1人まで気が抜けない」としながら、各国の支援や、現地で死者の埋葬方法を見直す動きが出てリベリアでは感染拡大がにぶっているとした。「クリスマスまでにすべての地域で感染が減少に転ずる可能性がある」と楽観的な見方を示した。 エボラウイルスに接触する危険性は、感染して死亡した人の遺体が最も高い。ものに付着したウイルスは数時間程度しかもたない。「難しい問題は医療関係者らが防護服を脱ぐ時だ。国境なき医師団(MSF)では、脱衣を監督するようにしている」と話した。 エボラウイルスが変異して感染力が強まった可能性について「変異したという証拠は何もない」と否定した。「変わったのはウイルスではなく、人の対応だ」として、過去に例を見ない今回の大規模感染は初動の遅れに原因があるとした。 感染者が快復しても社会に受け入れられない状態が続いていると指摘した。免疫のついた快復者を、感染者のケアにあてることによって社会復帰をはかることを提案した。(江木慎吾)> とある。
エボラ熱「人道の危機」 ウイルス発見の博士に聞く/朝日新聞 - 江木慎吾/2014.10.31 - 08:22
エボラウイルス発見者の一人で、国連エイズ計画(UNAIDS)事務局長としてエイズ対策を主導したロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長のピーター・ピオット博士(65)が30日、都内で講演した。講演の質疑や朝日新聞とのインタビューで、いまのエボラ熱の大規模感染は「日本の一般大衆にとって直接の脅威にはなってはいない」としつつ、西アフリカの状況を人道危機ととらえ、日本が得意な支援を生かすべきだと語った。
ピオット氏は「ウイルスが入ってくる準備を医療機関が整えることが大事だ」とし、水際対策について「空港での体温検査は、教育や注意喚起はともかく、科学的にあまり効果はない」と話した。ニューヨーク州などが西アフリカで感染者と接触した医師らに3週間の隔離措置を導入したことについても、感染地に赴く医師らの熱意をくじくとして知事に撤回を申し入れたという。
国境封鎖などで感染地を孤立化させれば、支援を困難にし、感染克服を阻害すると指摘する。「経済活動は止まり、貧困は拡大し、国が普通の機能を失ってしまう。保健衛生の問題ではなく、もはや人道危機だ」と話した。保健予算をエボラ対策に振り向ければ、エイズ、結核やマラリアなどその他の病気で死者が増えるだけになると分析した。
米英は災害支援に経験豊富な軍を現地に送り込み、感染者の収容施設づくりなどに力を注いでいる。「人道援助に豊富な経験を持つ日本も、この方面で支援できる」と話した。
エボラ出血熱は、1人の感染者からでも大規模感染につながる。「感染が減少に向かっていたギニアで1人の葬儀に集まった人たちから再び拡大したことがわかっている。最後の1人まで気が抜けない」としながら、各国の支援や、現地で死者の埋葬方法を見直す動きが出てリベリアでは感染拡大がにぶっているとした。「クリスマスまでにすべての地域で感染が減少に転ずる可能性がある」と楽観的な見方を示した。
エボラウイルスに接触する危険性は、感染して死亡した人の遺体が最も高い。ものに付着したウイルスは数時間程度しかもたない。「難しい問題は医療関係者らが防護服を脱ぐ時だ。国境なき医師団(MSF)では、脱衣を監督するようにしている」と話した。
エボラウイルスが変異して感染力が強まった可能性について「変異したという証拠は何もない」と否定した。「変わったのはウイルスではなく、人の対応だ」として、過去に例を見ない今回の大規模感染は初動の遅れに原因があるとした。
感染者が快復しても社会に受け入れられない状態が続いていると指摘した。免疫のついた快復者を、感染者のケアにあてることによって社会復帰をはかることを提案した。(江木慎吾)
◇ 《 ピーター・ピオット 氏 》 ベルギー生まれ。1976年にアフリカのコンゴ(当時ザイール)で発生した感染症で、後にエボラと名付けられた未知のウイルスを確認、現地で治療に当たった。95年から2008年まで国連エイズ計画(UNAIDS)の初代事務局長。世界保健機関(WHO)エボラ科学委員会の座長も務める。日本のグローバルヘルス技術振興(GHIT)基金理事。第2回野口英世アフリカ賞受賞。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
<水際対策について「空港での体温検査は、教育や注意喚起はともかく、科学的にあまり効果はない」> と判断して、<「ウイルスが入ってくる準備を医療機関が整えることが大事だ」> と "抜本策" を推奨している点にリアルな説得力がある...... (2014.11.01)
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