"がん" という、自身の生命/延命に関わる病気における選択に当っては、やはり「賢くありたい!」はず。 いくら "センセイ" に勧められているからといって、あたかも "思考停止" 状態さながらに "治療方法の選択" をしてしまうわけにはいかない。
米国での「賢い選択」(Choosing Wisely=チュージング・ワイズリー)運動の基本的な発想は、そんなところにありそうである。
◆ 参照 当誌過去の "チュージング・ワイズリー" 関連記事
○ 米医療界、日本で当たり前に行われている医療を"無駄"と!チュージング・ワイズリー!/当誌 2014.10.15
今回注目する下記引用サイト記事 : 【最新「死に方」事典】前立腺がん、切り急ぐな/zakzak/2014.12.14 は、今、日本でも急増している "前立腺がん" に対する "手術" に関して、「なるべくやめたほうがいいでしょう」というのが、「賢い選択」(Choosing Wisely=チュージング・ワイズリー)である、と推奨している。
<「前立腺がんと診断され、手術を受けるように言われましたが、どうすべきでしょうか」 こう聞かれることがしばしばある。最近は、ネットで最新の医療情報を検索できるので、医者の言うことを疑う人が多くなった。それで、こう聞いてくるのだ。 私の答えは簡単、「なるべくやめたほうがいいでしょう」である。とくに前立腺がんの場合、手術は好ましくない。しかし、そう言うと、「なかなか言い出せません。断ると先生の機嫌を害し、次の治療が受けられないので...」と困った表情になるが、私は「それでも断るべきです」と続ける。そうしないと、寿命を縮めかねないからだ。 がんだからといってなんでもかんでも手術する時代ではない。日本の医療はこれまで、どちらかと言うと「医者優先」で「患者優先」ではなかった。医者はセンセイで、患者はセンセイの言うことに素直に従ってきた。しかし、これを続けると、結果的に、無駄な検査や手術を受けさせられてしまう。 医療先進国アメリカでは、いま「患者優先」の医療の大転換が起きている。医者の言うことをそのまま受け入れず、「賢い選択」(Choosing Wisely=チュージング・ワイズリー)をしようという運動が、全米中に広まっている。 この運動は、2011年に米国内科専門医認定機構(ABIM)財団というNPOが始めたもので、いまや70以上の医学会や団体が参加している。その象徴的な例の1つが、「前立腺がんの早期手術は避ける」なのだ。 前立腺がんは、血液検査で「前立腺特異抗原」(PSA)という物質の値を測定して、数値が高いと前立腺に針を刺す精密検査が行われる。そして、がんが判明する。 しかし、前立腺がんは他のがんに比べると、命にかかわることが少ないことが判明している。しかも進行が遅い。それなのに、日本の医者はすぐ手術したがるのである。厚生労働省は不必要としたが、日本泌尿器科学会はこれに反対しているというのが現状である。 しかし、アメリカでは、「PSA検査はほとんど無意味」とされるうえ、たとえがんが見つかってもすぐ手術しないで検査を続ける「アクティブ・サーベイランス」という考え方が一般化している。つまり、手術が必要になったと判断したときにだけ行うわけだ。 「賢い選択」運動は、医療のあらゆる分野に広がり、「無駄な検査、医療を止めよう」ということで、現在、300項目近くがやり玉に挙げられている。 たとえば、「肺がんのCT検査は、ほとんど無意味」「4歳以下の子供の風邪に薬を使ってはいけない」「リウマチの関節炎でMRI検査をするのは無駄」「ピルをもらうのに膣内診は不要」「中耳炎で抗菌薬を飲むな」「頭痛で脳波を調べるのは無駄」「大腸の内視鏡検査は10年に1度で十分」などだ。 これらはすべて、インターネット上で無料公開されているので、アクセスしてみることをお勧めする。もちろん、英語だが、できない人はできる人に頼んででもチェックしてもらうべきだ。 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。> とある。
【最新「死に方」事典】 前立腺がん、切り急ぐな/zakzak/2014.12.14
「前立腺がんと診断され、手術を受けるように言われましたが、どうすべきでしょうか」
こう聞かれることがしばしばある。最近は、ネットで最新の医療情報を検索できるので、医者の言うことを疑う人が多くなった。それで、こう聞いてくるのだ。
私の答えは簡単、「なるべくやめたほうがいいでしょう」である。とくに前立腺がんの場合、手術は好ましくない。しかし、そう言うと、「なかなか言い出せません。断ると先生の機嫌を害し、次の治療が受けられないので...」と困った表情になるが、私は「それでも断るべきです」と続ける。そうしないと、寿命を縮めかねないからだ。
がんだからといってなんでもかんでも手術する時代ではない。日本の医療はこれまで、どちらかと言うと「医者優先」で「患者優先」ではなかった。医者はセンセイで、患者はセンセイの言うことに素直に従ってきた。しかし、これを続けると、結果的に、無駄な検査や手術を受けさせられてしまう。
医療先進国アメリカでは、いま「患者優先」の医療の大転換が起きている。医者の言うことをそのまま受け入れず、「賢い選択」(Choosing Wisely=チュージング・ワイズリー)をしようという運動が、全米中に広まっている。
この運動は、2011年に米国内科専門医認定機構(ABIM)財団というNPOが始めたもので、いまや70以上の医学会や団体が参加している。その象徴的な例の1つが、「前立腺がんの早期手術は避ける」なのだ。
前立腺がんは、血液検査で「前立腺特異抗原」(PSA)という物質の値を測定して、数値が高いと前立腺に針を刺す精密検査が行われる。そして、がんが判明する。
しかし、前立腺がんは他のがんに比べると、命にかかわることが少ないことが判明している。しかも進行が遅い。それなのに、日本の医者はすぐ手術したがるのである。厚生労働省は不必要としたが、日本泌尿器科学会はこれに反対しているというのが現状である。
しかし、アメリカでは、「PSA検査はほとんど無意味」とされるうえ、たとえがんが見つかってもすぐ手術しないで検査を続ける「アクティブ・サーベイランス」という考え方が一般化している。つまり、手術が必要になったと判断したときにだけ行うわけだ。
「賢い選択」運動は、医療のあらゆる分野に広がり、「無駄な検査、医療を止めよう」ということで、現在、300項目近くがやり玉に挙げられている。
たとえば、「肺がんのCT検査は、ほとんど無意味」「4歳以下の子供の風邪に薬を使ってはいけない」「リウマチの関節炎でMRI検査をするのは無駄」「ピルをもらうのに膣内診は不要」「中耳炎で抗菌薬を飲むな」「頭痛で脳波を調べるのは無駄」「大腸の内視鏡検査は10年に1度で十分」などだ。
これらはすべて、インターネット上で無料公開されているので、アクセスしてみることをお勧めする。もちろん、英語だが、できない人はできる人に頼んででもチェックしてもらうべきだ。
■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。
「賢い選択」(Choosing Wisely=チュージング・ワイズリー)運動とは、従来からある "インフォームド・コンセント(説明と同意)" というコンセプトを、さらに数段進めたものと考えられる。
<がんだからといってなんでもかんでも手術する時代ではない。日本の医療はこれまで、どちらかと言うと「医者優先」で「患者優先」ではなかった。医者はセンセイで、患者はセンセイの言うことに素直に従ってきた。しかし、これを続けると、結果的に、無駄な検査や手術を受けさせられてしまう。> というこれまでの貧しい現実を見つめ直したいものだ...... (2014.12.16)
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