"群馬大病院での腹くう鏡手術死亡事故問題" については、"学会調査" によって新たに真相が究明され、この種の問題は "群馬大病院" に限定されそうにない模様......。
◆ 参照 当誌過去の "腹腔鏡手術" 関連記事
(1) 群馬大病院"腹くう鏡手術死亡率"が、平均の18倍(日本肝胆膵外科学会実施の全国調査)!/当誌 2015.03.25
(2) 医療事故調査 "医療団体の反対"もあり "あいまい決着"!厚労省4月決定の運用指針通知/当誌 2015.03.21
(3) "腹腔鏡"手術、術後患者8人死亡の問題!「全例で過失」があったと群馬大病院認める!/当誌 2014.03.04
今回注目する下記引用サイト記事 : 腹腔鏡の波紋(上)...実験的手術「他病院でも」/yomiDr. ヨミドクター/2015.03.25 は、"患者側にとっては不安材料!" 以外ではない、そんな現状、<学会の調査などから全国の病院で同様の問題があることが判明。安全性が確認されていない新しい手術が、なし崩し的に広がる現状と背景> が縷々報じられている。
<群馬大学病院(前橋市)で腹腔鏡(ふくくうきょう)を使う肝臓手術を受けた8人が死亡した問題で、保険適用外の高難度手術が倫理審査もなしに行われていた事実が明るみに出た。それをきっかけに、学会の調査などから全国の病院で同様の問題があることが判明。安全性が確認されていない新しい手術が、なし崩し的に広がる現状と背景を追った。 「患者に説明」徹底されず 「先生、そんなことやっていいんですか」 国内で開かれた外科系学会で、腹腔鏡手術に積極的に取り組む男性医師が発表している途中、進行役の別の医師が、そう尋ねた。非常に難易度が高い手術だったため、思わず出た質問のように聞こえた。居合わせたある外科医は、2、3年前のその情景が今も印象に残っている。 男性医師が発表したのは、進行がんに対し、膵頭(すいとう)十二指腸切除という手術方法で治療を試みたケース。開腹でも難しく、腹腔鏡手術としては保険適用外だ。 この外科医は「学会では多くの適用外手術が発表されているが、中には難しすぎる手術をやろうとする医師も目につく」と話す。 ◎ 日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会が23日に発表した腹腔鏡手術の実態調査によると、保険適用外手術の実施件数は、過去4年間で、肝臓が1587人、膵臓が651人に上っていた。しかし、この調査では、回答した病院診療科の55%が、群馬大と同様、病院の倫理委員会から承認を受けないまま、本来は臨床研究として行うべき試験段階の手術をしていたこともわかった。
同学会理事長の宮崎勝・千葉大教授は「保険適用外の腹腔鏡手術は慎重にすべきだ。まして半分が倫理審査も通していないとなると、手術前の検証が十分だったのか疑問だ」と懸念を示した。 保険適用されるということは、一定の安全性や有効性が確認され、全国の病院で幅広く行われても問題ない標準診療として「お墨付き」を得たことを意味する。肝臓や膵臓の腹腔鏡手術は、比較的難易度が低い切除方法に限り保険診療となっているが、それ以外は標準とするには時期尚早とみなされ適用外のままだ。 「保険適用外の腹腔鏡手術は多くの病院で前から行われていたが、普通は倫理審査まで受けないし、患者にも説明しない。ほかの病院でもやっているので問題ないという感覚だ」と、東京都内の病院で腹腔鏡手術を行う消化器外科医は話す。群馬大の問題が注目され、現場も慎重な空気に変わったという。しかし、それまでは、「多くの外科医が、同様の感覚だったのではないか」と明かす。 ◎ 同学会の調査では、適用外手術はリスクが高いこともわかった。保険適用の手術に比べ適用外の手術は、死亡率が肝臓手術で5・4倍、膵臓手術で10・8倍の高リスク。患者にこうした危険性も含め十分な説明がされたのか不透明な面もある。 群馬大の死亡者の遺族も多くが「リスクが高い保険適用外の手術とは聞いていない」と口をそろえる。 2011年、肝臓がん治療のため手術を受けた男性の遺族は「高齢なので体に負担が少ないほうがいい」と腹腔鏡手術を提案された。行われた手術は、肝臓のほか、胆管も切除し、腸とつなぐ難しい方法。保険適用外の手術だと知ったのは最近になってのことだ。 遺族は「最終的には思ったより多く切ったと言われたが、通常の保険診療だとばかり思っていた」と語る。 人より早く新しい技術に挑戦し、実績を上げたいという外科医は多い。倫理審査は法的義務でもないだけに、無理な試みを抑止しきれない側面もある。 医療倫理に詳しい東京財団の●島(ぬでしま、●は「木」へんに「勝」の旧字)次郎研究員は「実験的な医療だと患者に告げず行うのは現代の医療では許されない。その点が現場で徹底されていないなら問題だ」と指摘する。 (2015年3月25日 読売新聞)> とある。
腹腔鏡の波紋(上)...実験的手術「他病院でも」/yomiDr. ヨミドクター/2015.03.25
群馬大学病院(前橋市)で腹腔鏡(ふくくうきょう)を使う肝臓手術を受けた8人が死亡した問題で、保険適用外の高難度手術が倫理審査もなしに行われていた事実が明るみに出た。それをきっかけに、学会の調査などから全国の病院で同様の問題があることが判明。安全性が確認されていない新しい手術が、なし崩し的に広がる現状と背景を追った。
「患者に説明」徹底されず
「先生、そんなことやっていいんですか」
国内で開かれた外科系学会で、腹腔鏡手術に積極的に取り組む男性医師が発表している途中、進行役の別の医師が、そう尋ねた。非常に難易度が高い手術だったため、思わず出た質問のように聞こえた。居合わせたある外科医は、2、3年前のその情景が今も印象に残っている。
男性医師が発表したのは、進行がんに対し、膵頭(すいとう)十二指腸切除という手術方法で治療を試みたケース。開腹でも難しく、腹腔鏡手術としては保険適用外だ。
この外科医は「学会では多くの適用外手術が発表されているが、中には難しすぎる手術をやろうとする医師も目につく」と話す。
◎日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会が23日に発表した腹腔鏡手術の実態調査によると、保険適用外手術の実施件数は、過去4年間で、肝臓が1587人、膵臓が651人に上っていた。しかし、この調査では、回答した病院診療科の55%が、群馬大と同様、病院の倫理委員会から承認を受けないまま、本来は臨床研究として行うべき試験段階の手術をしていたこともわかった。
同学会理事長の宮崎勝・千葉大教授は「保険適用外の腹腔鏡手術は慎重にすべきだ。まして半分が倫理審査も通していないとなると、手術前の検証が十分だったのか疑問だ」と懸念を示した。
保険適用されるということは、一定の安全性や有効性が確認され、全国の病院で幅広く行われても問題ない標準診療として「お墨付き」を得たことを意味する。肝臓や膵臓の腹腔鏡手術は、比較的難易度が低い切除方法に限り保険診療となっているが、それ以外は標準とするには時期尚早とみなされ適用外のままだ。
「保険適用外の腹腔鏡手術は多くの病院で前から行われていたが、普通は倫理審査まで受けないし、患者にも説明しない。ほかの病院でもやっているので問題ないという感覚だ」と、東京都内の病院で腹腔鏡手術を行う消化器外科医は話す。群馬大の問題が注目され、現場も慎重な空気に変わったという。しかし、それまでは、「多くの外科医が、同様の感覚だったのではないか」と明かす。
◎同学会の調査では、適用外手術はリスクが高いこともわかった。保険適用の手術に比べ適用外の手術は、死亡率が肝臓手術で5・4倍、膵臓手術で10・8倍の高リスク。患者にこうした危険性も含め十分な説明がされたのか不透明な面もある。
群馬大の死亡者の遺族も多くが「リスクが高い保険適用外の手術とは聞いていない」と口をそろえる。
2011年、肝臓がん治療のため手術を受けた男性の遺族は「高齢なので体に負担が少ないほうがいい」と腹腔鏡手術を提案された。行われた手術は、肝臓のほか、胆管も切除し、腸とつなぐ難しい方法。保険適用外の手術だと知ったのは最近になってのことだ。
遺族は「最終的には思ったより多く切ったと言われたが、通常の保険診療だとばかり思っていた」と語る。人より早く新しい技術に挑戦し、実績を上げたいという外科医は多い。倫理審査は法的義務でもないだけに、無理な試みを抑止しきれない側面もある。
医療倫理に詳しい東京財団の●島(ぬでしま、●は「木」へんに「勝」の旧字)次郎研究員は「実験的な医療だと患者に告げず行うのは現代の医療では許されない。その点が現場で徹底されていないなら問題だ」と指摘する。(2015年3月25日 読売新聞)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
昨今の医療業界での風潮を概観する時、<人より早く新しい技術に挑戦し、実績を上げたいという外科医は多い。倫理審査は法的義務でもないだけに、無理な試みを抑止しきれない側面もある。......実験的な医療だと患者に告げず行うのは現代の医療では許されない。その点が現場で徹底されていないなら問題だ> という指摘に重みを感ぜざるを得ない...... (2015.03.26)
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