"大腸がん" と "腸の炎症" との関係が浅からぬ事情は、しばしば指摘されてきた。
◆ 参照 当誌過去の "大腸がん" 関連記事
(1) <金沢大学は2月16日、モデルマウスを用いた研究で、慢性炎症反応による大腸がん悪性化の仕組みを解明したと発表......> ( "慢性炎症"を抑えることで "がんの悪性化"制御の可能性!その仕組みを解明! 金沢大/当誌 2015.02.18 )
(2) <アスピリンは、常用することで大腸がんや、食道がん、肺がん、前立腺がんのリスクを減らせることがさまざまな研究で報告されており、......> ( 既存薬"アスピリン"の低用量常用/長期間服用で"膵臓がん"リスク抑制という研究成果!/当誌 2014.07.03 )
(3) <大腸癌は日本人が最も多く発症する癌の1つである。大腸癌のリスクは、炎症性の消化器疾患や、生活習慣に由来する慢性的な腸の炎症によって大きく上がる。慢性的な腸の炎症から大腸癌の発症へとつながるメカニズムは、炎症に反応して組織に浸潤してくる免疫細胞が各種の生理活性物質を産生し、これらの物質が炎症部位の細胞の異常な増殖(がん化)を刺激するためと考えられている。つまり、炎症のもととなる疾患の治療や炎症の慢性化を防止すれば、大腸癌の発症を抑えられる可能性が高い......> ( "大腸がん"を抑制する新たな免疫細胞関連物質 "PGD2"を発見(東京大学)!予防薬期待!/当誌 2014.06.07 )
今回注目する下記引用サイト記事 : 大腸がん発症の仕組み解明 京大グループ、炎症分子を特定/京都新聞/2015.06.22 - 22:40 は、 <大腸がんが発症するメカニズムの一端を、京都大医学研究科の成宮周特任教授、青木友浩准教授らのグループが解明し、22日発表した。炎症に関係する分子を特定し、この分子の阻害剤で発がんを抑えられるという。 グループは、炎症物質プロスタグランジンE2と、それと結合する受容体EP2が、大腸がんの発症に大きく関与していることを突き止めた。マウスを使った実験で、EP2をなくしたり、EP2との結合をブロックする薬剤を投与したりすると、がんの発症が大幅に抑えられることを確認した。> と報じている。
<大腸がんが発症するメカニズムの一端を、京都大医学研究科の成宮周特任教授、青木友浩准教授らのグループが解明し、22日発表した。炎症に関係する分子を特定し、この分子の阻害剤で発がんを抑えられるという。 国内で毎年11万人が発症している大腸がんは、腸の炎症が発がんを促すことが分かっている。アスピリンなどの抗炎症薬の服用が発症予防になるが、消化管からの出血など副作用が問題となっている。 グループは、炎症物質プロスタグランジンE2と、それと結合する受容体EP2が、大腸がんの発症に大きく関与していることを突き止めた。マウスを使った実験で、EP2をなくしたり、EP2との結合をブロックする薬剤を投与したりすると、がんの発症が大幅に抑えられることを確認した。EP2は主に哺乳類の受精時に働くため、生まれた後では完全に阻害しても目立った副作用はないという。EP2の安全な阻害剤は現在開発中。成宮特任教授は「アスピリンはEP2以外にも働くので副作用がある。EP2だけの阻害剤を日常的に服用することで、安全に大腸がんの発症リスクを大幅に下げることが期待できる」と話している。> とある。
大腸がん発症の仕組み解明 京大グループ、炎症分子を特定/京都新聞/2015.06.22 - 22:40
大腸がんが発症するメカニズムの一端を、京都大医学研究科の成宮周特任教授、青木友浩准教授らのグループが解明し、22日発表した。炎症に関係する分子を特定し、この分子の阻害剤で発がんを抑えられるという。
国内で毎年11万人が発症している大腸がんは、腸の炎症が発がんを促すことが分かっている。アスピリンなどの抗炎症薬の服用が発症予防になるが、消化管からの出血など副作用が問題となっている。
グループは、炎症物質プロスタグランジンE2と、それと結合する受容体EP2が、大腸がんの発症に大きく関与していることを突き止めた。マウスを使った実験で、EP2をなくしたり、EP2との結合をブロックする薬剤を投与したりすると、がんの発症が大幅に抑えられることを確認した。EP2は主に哺乳類の受精時に働くため、生まれた後では完全に阻害しても目立った副作用はないという。EP2の安全な阻害剤は現在開発中。成宮特任教授は「アスピリンはEP2以外にも働くので副作用がある。EP2だけの阻害剤を日常的に服用することで、安全に大腸がんの発症リスクを大幅に下げることが期待できる」と話している。
◆ 参照 関連記事
○ 大腸がん形成を促進する炎症因子として プロスタグランジンE2-EP2受容体経路を発見 ―EP2を標的とした大腸がんの予防・進展抑制薬の開発に期待―/京都大学 科学技術振興機構(JST)/2015.06.22
"アスピリン" などの "非ステロイド性抗炎症薬" の服用が "大腸がんの罹患リスク" を低下させることは、冒頭の関連記事のように知られている。 とともに、"アスピリン" の長期的服用が "副作用"(胃腸管障害など)をもたらすこともまたよく知れ渡っている。
上記記事の研究成果は、こうした "アスピリン" の悩ましさに代わる薬剤開発への期待が背景にあると言えようか...... (2015.06.25)
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