"胆管がん(胆管腫瘍)" は、がんの種類の中でもどちらかと言えば馴染みが薄い病名なのかもしれない。
筆者も、昨年知人がこの病で "急逝" するまでは、この病名や死亡率の高さに関する認識については疎い方であった。
◆ 参照 当誌過去の "胆管がん" 関連記事
(1) 千葉県がんセンターの腹腔鏡手術複数死亡問題!群馬大病院と類似点が浮かび上がる!/当誌 2015.03.27
(2) 印刷会社従業員などが相次いで発症の"胆管がん問題"で、初の研究拠点!(大阪市立大)/当誌 2015.03.09
今回注目する下記引用サイト記事 : 働き盛りの命奪う「胆管がん」の厳しい現実/毎日新聞 医療プレミア 奥野敦史 / 毎日新聞 医療プレミア編集長/2015.07.14 は、 <消化器がんの専門医は、胆管がんについて「難しいがん」と口をそろえる。三嶋秀行・愛知医科大臨床腫瘍センター教授(消化器外科、がん化学療法)は「見つけにくく、有効な薬も少なく、治癒は困難なことが多い」と話す。その最大の特徴は、早期の段階ではほとんど症状が出ないことだ。佐野病院(神戸市)の小高雅人・消化器がんセンター長(消化器外科)は「がんが進行して、胆管が詰まってしまうと黄疸(おうだん)が出るが、その時にはすでにがんはかなり進行していて、治療が間に合わないことが多い」と指摘する。両医師とも「膵臓(すいぞう)がんと並んでもっとも難治性のがんだ」との見解で一致する。 胆道がん(胆管がんと胆のうがん、胆管が十二指腸につながる部分の乳頭部がんの合計)の罹患数(2011年)は男女計で約2万3600人。一方、死亡数(13年)は男女計約1万8200人に達する。大腸がん(罹患数約15万8000例、死亡数約4万7600人)と比べると、胆道がんはその罹患数と死亡数に大きな差がないこと( 注.高い死亡率!)が目につく。......> と解説している。
働き盛りの命奪う「胆管がん」の厳しい現実/毎日新聞 医療プレミア 奥野敦史 / 毎日新聞 医療プレミア編集長/2015.07.14
11日死去した任天堂の岩田聡社長(55)は、昨年6月に胆管腫瘍の手術を受け、その後闘病を続けてきた。しかし数日前に急変し亡くなったという。1月に同じ病気で亡くなった柔道家、斉藤仁さんも同世代の54歳だった。働き盛りの命を奪った胆管腫瘍(胆管がん)とはどんな病気なのか。【編集部・奥野敦史】
膵臓と並んで「もっとも難治性」
消化器がんの専門医は、胆管がんについて「難しいがん」と口をそろえる。三嶋秀行・愛知医科大臨床腫瘍センター教授(消化器外科、がん化学療法)は「見つけにくく、有効な薬も少なく、治癒は困難なことが多い」と話す。その最大の特徴は、早期の段階ではほとんど症状が出ないことだ。佐野病院(神戸市)の小高雅人・消化器がんセンター長(消化器外科)は「がんが進行して、胆管が詰まってしまうと黄疸(おうだん)が出るが、その時にはすでにがんはかなり進行していて、治療が間に合わないことが多い」と指摘する。両医師とも「膵臓(すいぞう)がんと並んでもっとも難治性のがんだ」との見解で一致する。
国立がん研究センターがん情報サービスによると、胆道がん(胆管がんと胆のうがん、胆管が十二指腸につながる部分の乳頭部がんの合計)の罹患数(2011年)は男女計で約2万3600人。一方、死亡数(13年)は男女計約1万8200人に達する。大腸がん(罹患数約15万8000例、死亡数約4万7600人)と比べると、胆道がんはその罹患数と死亡数に大きな差がないことが目につく。
難しい早期発見
治療法は手術が第一選択だが、進行してから見つかることが多いため、「早期の段階で手術できれば治るが、手術で取り切れても他の部位に再発しやすく、進行していて手術ができないことも多い」(三嶋教授)という状況だ。また効果が確認されている抗がん剤はゲムシタビン、S1、シスプラチンのみで「約10年前までは(06年にゲムシタビンが国内承認)、使える薬がゼロで本当にどうしようもなかった。そのころに比べれば薬は増えたが依然打つ手が少なすぎる」(小高センター長)という。
では胃・大腸がんや乳がんなどのように、検診での早期発見に期待したいところだ。しかし簡単で有効な検診方法が確立しているとは言えない。日本肝胆膵外科学会の「胆道癌(がん)診療ガイドライン」によると、胆道がん診断の第一は腹部超音波(エコー)検査および血液検査とされている。超音波検査で精密に胆管を調べていけばがんが見つかることもあるが、すでに進行している例が多く、「非常に手間がかかるうえ精度も高いとは言えない」(小高センター長)ため、一般検診で行うことは難しい。血液検査は胆道がんに伴う肝機能障害を見つけるもので、胆道がんに特異的な検査は存在しない。
第二の診断方法はCTだが、早期では写らないことが多い。より高精度な検査としては、胆管内にチューブを入れて胆汁に含まれるがん細胞を調べる「胆管細胞診」や、胆管を直接ファイバースコープで見る「胆道鏡」がある。しかし三嶋教授は「胆管がんと胆のうがんの手術例のうち、約半数は胆汁細胞診では陰性になる。胆道鏡も胆管の幅の広い部分にしか使えず限界があるし、一般検診では使いやすいものではない」と言う。
望まれるブレイクスルー
予防に役立つ危険因子の研究も、患者の絶対数が少ないため限界があり、明確になっていない。小高センター長は「偶然、運良く早期発見できたケース以外は、現在の医療技術では治療が難しいがん」と話し、三嶋教授も「胃がん、大腸がん、乳がんなどはきちんと検診を受ければ怖がらなくてもいいがんになってきたが、胆道がんや膵臓がんは人類がまだ克服できていないがんの代表格だ」と言う。「体内でがん細胞が生まれているかどうかを血液で調べるなど、既存の技術を越えたブレイクスルーが起きないとこのがんの制圧は難しい」(三嶋教授)というのが、厳しい現実のようだ。
この「胆管がん」に対する見立ては、<既存の技術を越えたブレイクスルーが起きないとこのがんの制圧は難しい> という "厳しい!" ものであり、「膵臓がん」の "難治性" と並んでいる。
他の多くのがんも、以前は "難治性" の塊であったはずだから、今後の研究に期待したい...... (2015.07.17)
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