"膀胱がん" に対しては、"膀胱全体を摘出" してしまう "全摘手術" という治療法が "標準治療" だとされているようである。
◆ 参照 当誌過去の "膀胱がん" 関連記事
(1) 膀胱がん、男性ホルモンの分泌を抑えることで、がんの再発が抑えられるとの研究結果!/当誌 2015.03.31
(2) <菅原文太さんは2007年にぼうこうがんを発症。ステージ2と宣告され、10人医者がいたら9人が「ぼうこうの全摘出が必要」と診断するまでに進行していたという。だが、文太さんはどうしてもぼうこうを摘出することが許せなかった。 「尿意を自分で感じて排出する行為にこそ、人間らしさがあるという考えでした。ぼうこうを全摘した場合、体に人工ぼうこうの袋を取り付けなければないないのですが、菅原さんは『あんなもの、ぶら下げれるわけないだろ!』と拒絶し続けていました」とは文太さんを知る医療関係者。摘出手術を断った文太さんは、知人を通じてぼうこう温存療法を推奨する医師を紹介してもらった。これは読んで字のごとく、抗がん剤や陽子線治療で「切らずに治す」治療法のことだ。......> ( 文太さん、セカンドオピニオンの重要性訴えた!"膀胱全摘"判断に傾く日本の医療現場!/当誌 2014.12.04 )
今回注目する下記引用サイト記事 : (患者を生きる:2867) がん 膀胱取らずに治す:5 情報編 特殊な化学療法で温存も/朝日新聞/2015.08.22 - 05:00 は、 <がんが筋層まで進み、転移がなければ、膀胱を取る全摘手術が標準治療> となる "膀胱がん" 治療の現状にあって、<全摘手術が標準治療になる患者でも、手術できない場合や膀胱の温存を希望した場合には、温存療法が選択肢になる> とし、<膀胱のすぐ上流の動脈を風船でふさいで血流を止め、高濃度の抗がん剤を直接流し込む「バルーン塞栓(そくせん)動脈内抗がん剤投与法(BOAI)」> という "特殊な化学療法" の "温存療法" を紹介している。
<高濃度の抗がん剤が全身に回らないよう透析装置を使って取り除くので、副作用は少ない> とあり、"10年後の生存率" は、<BOAIに放射線療法などを組み合わせた温存療法の163人では約80%と高かった> という。
<膀胱(ぼうこう)がんは膀胱内側の表面にある粘膜にでき、その下の筋層、しょう膜と外側に向かって進む。 がんが粘膜にとどまっている早期は、尿道から内視鏡を通して削り取る方法で治る。がんが筋層まで進み、転移がなければ、膀胱を取る全摘手術が標準治療だ。だが、全摘しても、再発や転移などで約半数が亡くなるという。 大阪医科大の東治人教授(52)は全摘でも再発するのは「転移が見つからなくても実際にはがん細胞が膀胱以外に広がっているから」と説明する。また、連載で紹介した有川勝己さん(41)のようにリンパ節などに転移がある場合は手術せず、化学療法や放射線療法が原則だ。 全摘手術が標準治療になる患者でも、手術できない場合や膀胱の温存を希望した場合には、温存療法が選択肢になる。大阪医科大や筑波大などがそれぞれの特殊な技術で実施している。ただし、がんの状態によって温存療法ができないこともある。 通常の化学療法は、抗がん剤の点滴薬を静脈から入れる。抗がん剤は心臓を通って全身の動脈に回るため、膀胱に達するのは全体の一部だ。そこで、東さんらは膀胱のすぐ上流の動脈を風船でふさいで血流を止め、高濃度の抗がん剤を直接流し込む「バルーン塞栓(そくせん)動脈内抗がん剤投与法(BOAI)」を開発した。高濃度の抗がん剤が全身に回らないよう透析装置を使って取り除くので、副作用は少ない。 膀胱がんは、この方法に都合のいい条件がそろっている。膀胱は動脈の下流にあるので、血流を止めてもほかの臓器に損傷を与えない。膀胱がんは抗がん剤の効果が高く、また膀胱自体が原始的な臓器で激しいダメージを受けても機能は戻る。 全摘手術の138人では10年後の生存率が約50%だったのが、BOAIに放射線療法などを組み合わせた温存療法の163人では約80%と高かったという。 だが、保険で認められている抗がん剤の使用法は静脈から。適用外のBOAIはこの治療だけで約100万円が自費負担になる。保険適用の申請には治験が必要で、製薬企業に利益がないため、実現は難しいという。 (鍛治信太郎)> とある。
(患者を生きる:2867) がん 膀胱取らずに治す:5 情報編 特殊な化学療法で温存も/朝日新聞/2015.08.22 - 05:00
膀胱(ぼうこう)がんは膀胱内側の表面にある粘膜にでき、その下の筋層、しょう膜と外側に向かって進む。
がんが粘膜にとどまっている早期は、尿道から内視鏡を通して削り取る方法で治る。がんが筋層まで進み、転移がなければ、膀胱を取る全摘手術が標準治療だ。だが、全摘しても、再発や転移などで約半数が亡くなるという。
大阪医科大の東治人教授(52)は全摘でも再発するのは「転移が見つからなくても実際にはがん細胞が膀胱以外に広がっているから」と説明する。また、連載で紹介した有川勝己さん(41)のようにリンパ節などに転移がある場合は手術せず、化学療法や放射線療法が原則だ。
全摘手術が標準治療になる患者でも、手術できない場合や膀胱の温存を希望した場合には、温存療法が選択肢になる。大阪医科大や筑波大などがそれぞれの特殊な技術で実施している。ただし、がんの状態によって温存療法ができないこともある。
通常の化学療法は、抗がん剤の点滴薬を静脈から入れる。抗がん剤は心臓を通って全身の動脈に回るため、膀胱に達するのは全体の一部だ。そこで、東さんらは膀胱のすぐ上流の動脈を風船でふさいで血流を止め、高濃度の抗がん剤を直接流し込む「バルーン塞栓(そくせん)動脈内抗がん剤投与法(BOAI)」を開発した。高濃度の抗がん剤が全身に回らないよう透析装置を使って取り除くので、副作用は少ない。
膀胱がんは、この方法に都合のいい条件がそろっている。膀胱は動脈の下流にあるので、血流を止めてもほかの臓器に損傷を与えない。膀胱がんは抗がん剤の効果が高く、また膀胱自体が原始的な臓器で激しいダメージを受けても機能は戻る。
全摘手術の138人では10年後の生存率が約50%だったのが、BOAIに放射線療法などを組み合わせた温存療法の163人では約80%と高かったという。
だが、保険で認められている抗がん剤の使用法は静脈から。適用外のBOAIはこの治療だけで約100万円が自費負担になる。保険適用の申請には治験が必要で、製薬企業に利益がないため、実現は難しいという。
(鍛治信太郎)
がんに対する近年の治療は、やはり "(臓器)温存療法" へと傾き始めていそうだ。 いわゆる "QOL(Quality of Lifeクオリティ・オブ・ライフ)" への注目度が高まっている昨今の趨勢からすれば当然のことなのかもしれない。
しかも、"膀胱がん" の場合、<だが、全摘しても、再発や転移などで約半数が亡くなる> というのが現状だとすれば、"温存療法" という選択肢はますます濃厚とならざるを得ない...... (2015.08.25)
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