「見つけにくく、有効な薬も少なく、治癒は困難なことが多い」という意味で "難治" と称される "胆管がん" の恐さについては、これまでにも注意を向けてきた。( 下記の関連記事参照 )
◆ 参照 当誌過去の "胆管がん" 関連記事
(1) 難治の"胆道がん(胆管がん、胆のうがん)"!"遺伝子異常"を特定! (国立がんセンター)/当誌 2015.08.13
(2) <消化器がんの専門医は、胆管がんについて「難しいがん」と口をそろえる。三嶋秀行・愛知医科大臨床腫瘍センター教授(消化器外科、がん化学療法)は「見つけにくく、有効な薬も少なく、治癒は困難なことが多い」と話す。その最大の特徴は、早期の段階ではほとんど症状が出ないことだ。佐野病院(神戸市)の小高雅人・消化器がんセンター長(消化器外科)は「がんが進行して、胆管が詰まってしまうと黄疸(おうだん)が出るが、その時にはすでにがんはかなり進行していて、治療が間に合わないことが多い」と指摘する。両医師とも「膵臓(すいぞう)がんと並んでもっとも難治性のがんだ」との見解で一致する。> ( 働き盛りの命奪う「胆管がん」の厳しい現実!難しい早期発見!有効薬少、治癒は困難!/当誌 2015.07.16 )
今回注目する下記引用サイト記事 : は、その "胆管がん" について、"幸運" にも "早期発見" というチャンスに恵まれ、<手術を受けたジャーナリストの大谷昭宏さん(69)に体験を聞き、早期発見と治療の方法を探った> というレポートを報じている。
< 今年5月、詩人の長田弘さんが胆管がんで亡くなった(享年75)。1月には柔道家の斉藤仁さんが54歳の若さで肝内胆管がんに命を奪われている。胆管がんとはどのような病気か。手術を受けたジャーナリストの大谷昭宏さん(69)に体験を聞き、早期発見と治療の方法を探った。(医療ライター・福島安紀) ジャーナリストの大谷昭宏さんは昨年5月、人間ドックで「肝内胆管がんの疑い」と診断された。自覚症状は全くなかったが、血液検査で肝臓の機能を表すγ(ガンマ)−GTPが異常な数値を示し、全身コンピューター断層撮影(CT)検査の画像で、肝臓内の胆管に腫瘍が見つかったのだ。 胆管は、肝臓で作られる消化液である胆汁の通り道(図)。肝臓の中を通っている部分にできるがんを肝内胆管がんと呼ぶ。昨年、女優の川島なお美さんも、この病気で手術を受けた。専門的には、肝内胆管がんは肝臓がんの一種に分類されるが、治療法は、肝臓を出て膵臓(すいぞう)の近くを通る肝外胆管のがんと共通しており、医学的に一緒に扱われることも多い。ここではまとめて胆管がんとすることをお断りしておく。 「聞き慣れない病名ですし、がんかもしれないと言われたときにはびっくりしました。でも、調べたら非常に初期のがんで、リンパ節や他の臓器には広がっていませんでした。診断した医師にも、その後、精密検査と治療を受けた大学病院の担当医にも、見つかったのは幸運だと何度も言われたので、定期的に人間ドックを受けていてよかったです」 ...... 大谷さんは昨年8月末、肝臓の約3割を切除する手術を受けた。2週間入院し、9月末には仕事に復帰している。その後、再発予防治療法を開発するための臨床試験に参加し、半年間、飲み薬の抗がん剤を服用したものの、特に生活に支障はなかったそうだ。がんの告知をきっかけに禁煙もした。 胆管がんは、胆のうがんと併せて胆道がんとも呼ばれ、男女合わせると、がんの中で6番目に死亡者が多い。欧米ではまれだが、なぜか日本を含む東アジアに患者が多く、高齢化が進むとともに徐々に増えているのが特徴だ。手術ができない段階で見つかる人も多いため、治癒の目安となる5年生存率は全体で21%と、膵臓がんの次に治りにくいがんとされる。 ...... 「たばこがすべてのがんのリスクを増やすことは確かですが、胆管がんと飲酒との関係はないとされています。分かっているのは、C型ウイルス性肝炎と多少の関連があり、肝内結石症、胆管炎、膵臓と胆管が合流しているところに異常がある人は、胆管がんになるリスクが高いこと。他の多くのがんと同じように原因が不明の人も多いのが実態です」。胆管がんが専門の杏林大学医学部付属病院腫瘍内科教授、古瀬純司さんはそう説明する。 大谷さんのような肝内胆管がんは初期には症状が出にくく、みぞおちや右脇腹に鈍い痛み、食欲不振、全身倦怠(けんたい)感といった症状が出たときには手遅れのケースもある。しかし、肝外胆管がんでは早い段階で黄だんが出るので、初期に発見されるケースも少なくない。黄だんが出るのは、胆管にがんができると胆汁がせき止められ、行き場のなくなった胆汁が血液中にあふれ出るからだ。「尿の色が濃い、灰白色便などの症状に気づいたら放置せず、できるだけ早く消化器内科を受診しましょう」と古瀬さんは強調する。症状は上の表を見てほしい。 治療には、手術と薬物療法がある。完治が期待できるのは手術でがんが取り切れたときだ。同じ胆管がんでも、手術法は病巣ができた場所によって異なる。大谷さんは肝臓の一部を切除するだけで済んだものの、胆のうと十二指腸、膵臓の一部を切除し、胆管と食べ物の通り道を再建する大がかりな手術が必要になる場合もある。 さらに古瀬さんは、薬物療法についてこう語る。「胆管がんは、以前は薬が効かないと言われていましたが、効果の高い抗がん剤が出てきています。見つかった段階では進行していて手術ができない状態でも、抗がん剤治療でがんが小さくなれば手術ができるケースもあります。手術ができないと言われても諦めないでください」 「早く見つけてたたけば、がんは怖くない」と大谷さんは言う。胆管がんの早期発見法はあるのだろうか。「今のところ、大谷さんが受けた全身CT検査も含め、死亡率を減らす効果が科学的に証明された方法はありません。50歳以上の人は、人間ドックで腹部超音波検査を受ければ、初期の段階で見つかる可能性があります。また、職場や自治体の健康診断で定期的に受けている血液検査で肝機能の状態が悪いようなら、精密検査を受けてください」と古瀬さん。肝臓の病気の恐れもあるわけだが、大谷さんも、がんが発見される半年前の人間ドックで、肝臓の機能を表すγ−GTPが高いことを指摘されていた。 日本人に多いだけに、早期発見法の確立と、さらなる薬の開発が望まれる。 (毎日新聞2015年7月2日掲載)> とある。
肝機能の異常、放置は禁物 意外に多い「胆管がん」/毎日新聞 - 医療プレミア/2015.07.02
今年5月、詩人の長田弘さんが胆管がんで亡くなった(享年75)。1月には柔道家の斉藤仁さんが54歳の若さで肝内胆管がんに命を奪われている。胆管がんとはどのような病気か。手術を受けたジャーナリストの大谷昭宏さん(69)に体験を聞き、早期発見と治療の方法を探った。(医療ライター・福島安紀)
ジャーナリストの大谷昭宏さんは昨年5月、人間ドックで「肝内胆管がんの疑い」と診断された。自覚症状は全くなかったが、血液検査で肝臓の機能を表すγ(ガンマ)−GTPが異常な数値を示し、全身コンピューター断層撮影(CT)検査の画像で、肝臓内の胆管に腫瘍が見つかったのだ。
胆管は、肝臓で作られる消化液である胆汁の通り道(図)。肝臓の中を通っている部分にできるがんを肝内胆管がんと呼ぶ。昨年、女優の川島なお美さんも、この病気で手術を受けた。専門的には、肝内胆管がんは肝臓がんの一種に分類されるが、治療法は、肝臓を出て膵臓(すいぞう)の近くを通る肝外胆管のがんと共通しており、医学的に一緒に扱われることも多い。ここではまとめて胆管がんとすることをお断りしておく。
「聞き慣れない病名ですし、がんかもしれないと言われたときにはびっくりしました。でも、調べたら非常に初期のがんで、リンパ節や他の臓器には広がっていませんでした。診断した医師にも、その後、精密検査と治療を受けた大学病院の担当医にも、見つかったのは幸運だと何度も言われたので、定期的に人間ドックを受けていてよかったです」 ......
大谷さんは昨年8月末、肝臓の約3割を切除する手術を受けた。2週間入院し、9月末には仕事に復帰している。その後、再発予防治療法を開発するための臨床試験に参加し、半年間、飲み薬の抗がん剤を服用したものの、特に生活に支障はなかったそうだ。がんの告知をきっかけに禁煙もした。
胆管がんは、胆のうがんと併せて胆道がんとも呼ばれ、男女合わせると、がんの中で6番目に死亡者が多い。欧米ではまれだが、なぜか日本を含む東アジアに患者が多く、高齢化が進むとともに徐々に増えているのが特徴だ。手術ができない段階で見つかる人も多いため、治癒の目安となる5年生存率は全体で21%と、膵臓がんの次に治りにくいがんとされる。 ......
「たばこがすべてのがんのリスクを増やすことは確かですが、胆管がんと飲酒との関係はないとされています。分かっているのは、C型ウイルス性肝炎と多少の関連があり、肝内結石症、胆管炎、膵臓と胆管が合流しているところに異常がある人は、胆管がんになるリスクが高いこと。他の多くのがんと同じように原因が不明の人も多いのが実態です」。胆管がんが専門の杏林大学医学部付属病院腫瘍内科教授、古瀬純司さんはそう説明する。
大谷さんのような肝内胆管がんは初期には症状が出にくく、みぞおちや右脇腹に鈍い痛み、食欲不振、全身倦怠(けんたい)感といった症状が出たときには手遅れのケースもある。しかし、肝外胆管がんでは早い段階で黄だんが出るので、初期に発見されるケースも少なくない。黄だんが出るのは、胆管にがんができると胆汁がせき止められ、行き場のなくなった胆汁が血液中にあふれ出るからだ。「尿の色が濃い、灰白色便などの症状に気づいたら放置せず、できるだけ早く消化器内科を受診しましょう」と古瀬さんは強調する。症状は上の表を見てほしい。
治療には、手術と薬物療法がある。完治が期待できるのは手術でがんが取り切れたときだ。同じ胆管がんでも、手術法は病巣ができた場所によって異なる。大谷さんは肝臓の一部を切除するだけで済んだものの、胆のうと十二指腸、膵臓の一部を切除し、胆管と食べ物の通り道を再建する大がかりな手術が必要になる場合もある。
さらに古瀬さんは、薬物療法についてこう語る。「胆管がんは、以前は薬が効かないと言われていましたが、効果の高い抗がん剤が出てきています。見つかった段階では進行していて手術ができない状態でも、抗がん剤治療でがんが小さくなれば手術ができるケースもあります。手術ができないと言われても諦めないでください」
「早く見つけてたたけば、がんは怖くない」と大谷さんは言う。胆管がんの早期発見法はあるのだろうか。「今のところ、大谷さんが受けた全身CT検査も含め、死亡率を減らす効果が科学的に証明された方法はありません。50歳以上の人は、人間ドックで腹部超音波検査を受ければ、初期の段階で見つかる可能性があります。また、職場や自治体の健康診断で定期的に受けている血液検査で肝機能の状態が悪いようなら、精密検査を受けてください」と古瀬さん。肝臓の病気の恐れもあるわけだが、大谷さんも、がんが発見される半年前の人間ドックで、肝臓の機能を表すγ−GTPが高いことを指摘されていた。
日本人に多いだけに、早期発見法の確立と、さらなる薬の開発が望まれる。
(毎日新聞2015年7月2日掲載)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
<胆管がんの早期発見法> として完璧なものはなさそうだが、<腹部超音波検査を受ければ、初期の段階で見つかる可能性> があり、<血液検査で肝機能の状態が悪いようなら、精密検査> を受けるという次善策が勧められている...... (2015.09.07)
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