"がんと遺伝子" との深い関係については、いまや周知の事実となっている。 一方で、"遺伝子異常" が様々ながんを発症させるとともに、がんを抑止する機能を発揮するのも "遺伝子" だと考えられている。
今回注目する下記引用サイト記事 : (がん新時代:75)がんの個性、調べて治療 遺伝子解析、薬選びの参考に/apital/2015.09.22 は、"がんと遺伝子" との密接な関係を解きほぐして解説している。 がんの発症原因・抑止・個性的症状・治療薬などの全局面にわたって "遺伝子" が関与しているとの事実が説明されている。
< がんは遺伝子の異常な働きが原因で起きる。遺伝子異常のタイプは薬の効き目にも大きく影響する。がん組織を調べると、たくさんの遺伝子で異常が起きていることもわかってきた。あらかじめ遺伝情報を調べて薬の選択に役立てようとする試みも始まっている。 ■ 同じがんでも効き目に差 千葉県船橋市の主婦(77)は、2008年、市のがん検診で大腸がんが見つかった。手術で腫瘍(しゅよう)を取ったが、肺への転移が判明した。病気の進行度合いを示すステージは最も高い4。幸い抗がん剤が効いたが、肺に再発を繰り返した。 13年に国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で、がん組織から五つの遺伝子を調べたところ、BRAFと呼ばれる遺伝子に変異が見つかった。この遺伝子の変異は大腸がん患者の約5%にみられるが、確立した治療法はまだない。 同病院では今年から、BRAF遺伝子に変異のある患者に対し、新しい分子標的薬の安全性を確かめる臨床試験(治験)が始まり、女性も参加を決めた。 従来の抗がん剤が、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃するのに対し、分子標的薬は、特定のたんぱく質や遺伝子の異常な働きを阻害するように設計されている=表。 治療開始直後、女性は激しい吐き気や食欲不振に悩まされた。ただ、肺の腫瘍が徐々に小さくなることが、画像で目に見えてわかったという。同病院消化管内科の吉野孝之科長は「同じ大腸がんでも、どの遺伝子に変異があるかによって、薬の効き目に大きな違いがある。患者ごとにがんの個性を調べて、その人に適した治療ができれば、より高い効果が得られるようになるはずだ」と話す。 (宮島祐美)
■ 原因遺伝子100種類超 細胞増殖にかかわる遺伝子の働きが異常になり、細胞が制限なく増えてしまうのががんだ。異常が起きる原因にはたばこに含まれる発がん物質や放射線など様々あるが、大部分は次世代に遺伝しない。生まれつきの遺伝子異常で、高い確率でがんになる「遺伝性のがん」は、全体の5%程度とされる。 がん化にかかわる遺伝子は、大きく分けて2タイプある。ひとつは車のアクセル役に当たる「がん遺伝子」で、働きが過剰になるとがん化につながる。突然変異のほか遺伝子の数が増える「増幅」などがある。船橋市の主婦で異常がみつかったBRAF遺伝子もがん遺伝子のひとつだ。 もう一つは、遺伝子の傷の修復や、細胞を死に導いて異常な増殖を抑える「がん抑制遺伝子」で、ブレーキ役に相当する。こうしたがんの原因となる遺伝子は100種以上ある。> とある。
(がん新時代:75) がんの個性、調べて治療 遺伝子解析、薬選びの参考に がんを知ろう/apital/2015.09.22
がんは遺伝子の異常な働きが原因で起きる。遺伝子異常のタイプは薬の効き目にも大きく影響する。がん組織を調べると、たくさんの遺伝子で異常が起きていることもわかってきた。あらかじめ遺伝情報を調べて薬の選択に役立てようとする試みも始まっている。
■ 同じがんでも効き目に差
千葉県船橋市の主婦(77)は、2008年、市のがん検診で大腸がんが見つかった。手術で腫瘍(しゅよう)を取ったが、肺への転移が判明した。病気の進行度合いを示すステージは最も高い4。幸い抗がん剤が効いたが、肺に再発を繰り返した。
13年に国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で、がん組織から五つの遺伝子を調べたところ、BRAFと呼ばれる遺伝子に変異が見つかった。この遺伝子の変異は大腸がん患者の約5%にみられるが、確立した治療法はまだない。
同病院では今年から、BRAF遺伝子に変異のある患者に対し、新しい分子標的薬の安全性を確かめる臨床試験(治験)が始まり、女性も参加を決めた。
従来の抗がん剤が、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃するのに対し、分子標的薬は、特定のたんぱく質や遺伝子の異常な働きを阻害するように設計されている=表。
治療開始直後、女性は激しい吐き気や食欲不振に悩まされた。ただ、肺の腫瘍が徐々に小さくなることが、画像で目に見えてわかったという。同病院消化管内科の吉野孝之科長は「同じ大腸がんでも、どの遺伝子に変異があるかによって、薬の効き目に大きな違いがある。患者ごとにがんの個性を調べて、その人に適した治療ができれば、より高い効果が得られるようになるはずだ」と話す。
(宮島祐美)
■ 原因遺伝子100種類超
細胞増殖にかかわる遺伝子の働きが異常になり、細胞が制限なく増えてしまうのががんだ。異常が起きる原因にはたばこに含まれる発がん物質や放射線など様々あるが、大部分は次世代に遺伝しない。生まれつきの遺伝子異常で、高い確率でがんになる「遺伝性のがん」は、全体の5%程度とされる。
がん化にかかわる遺伝子は、大きく分けて2タイプある。ひとつは車のアクセル役に当たる「がん遺伝子」で、働きが過剰になるとがん化につながる。突然変異のほか遺伝子の数が増える「増幅」などがある。船橋市の主婦で異常がみつかったBRAF遺伝子もがん遺伝子のひとつだ。
もう一つは、遺伝子の傷の修復や、細胞を死に導いて異常な増殖を抑える「がん抑制遺伝子」で、ブレーキ役に相当する。こうしたがんの原因となる遺伝子は100種以上ある。
昨今、"がんの個性" ということばを目にするようになった。
<「同じ大腸がんでも、どの遺伝子に変異があるかによって、薬の効き目に大きな違いがある。患者ごとにがんの個性を調べて、その人に適した治療ができれば、より高い効果が得られるようになるはずだ」> とあるように、<薬の効き目> につながっているだけになおざりにはできない...... (2015.09.24)
コメントする