がん治療法の "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)で懸念され続けてきた "副作用" がないことから、"第4のがん治療法" とも評されている "がん免疫療法" というアプローチが、期待を背負い続けている。 また、このアプローチは、"免疫細胞によるがん細胞攻撃への効果" を高めるために種々の新手法が試みられている。
◆ 参照 当誌過去の "がん免疫療法" 関連記事
(1) "がん免疫療法(第4の治療法)"の一種:"がんペプチドワクチン療法"!臨床試験進展中!/当誌 2014.04.03
(2) 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13
(3) 自己免疫を強化させることでがん細胞と戦わせる"免疫療法"薬、初の"医療保険対象"か!/当誌 2014.02.25
(4) <相手を正確に見分けて適切な攻撃を加えるリンパ球/ T細胞/ 大量の外敵が体内に侵入して自然免疫では手に負えなくなると、この外敵だけ攻撃する能力を持ったT細胞が億単位まで急激に増加、一斉攻撃を開始/ T細胞は、別のリンパ球「B細胞」に情報を渡す。B細胞は外敵の動きを封じる「抗体」と呼ばれるたんぱく質を作り出す/ 麻疹(はしか)などの病気に2回以上かかりにくくなる理由だ/ 予防接種・獲得免疫/ 免疫が戦うのは「外敵」だけではない/ がん細胞/ 1日当たり新たながん細胞は約5千個もできるといわれている/ このがん細胞が「がんの芽」だ/ 増えて集まるとがんになる/ リンパ球が早い段階で、がん細胞を見つけて殺してしまうので、ほとんどの場合、がんにならずに済んでいる......> ( 1日当たり新たながん細胞は約5千個もできる?! なのに"がん"にならないワケ:免疫力!/当誌 2014.01.26 )
今回注目する下記引用サイト記事 : 改変リンパ球でがん攻撃 山口大、2年以内メド医師主導治験/日本経済新聞/2015.09.27 - 23:30 は、この "がん免疫療法" というアプローチでの新動向について伝えている。
<山口大学の玉田耕治教授らは、患者の血液から採取したリンパ球に人工遺伝子を入れて改変し、体内に戻してがんを攻撃させる新たな治療法を開発した。マウスを使った実験で、がんの縮小を確認した。2年以内をメドに、国立がん研究センターと共同で医師主導治験の実施を目指す> と報じている。
< 山口大学の玉田耕治教授らは、患者の血液から採取したリンパ球に人工遺伝子を入れて改変し、体内に戻してがんを攻撃させる新たな治療法を開発した。マウスを使った実験で、がんの縮小を確認した。2年以内をメドに、国立がん研究センターと共同で医師主導治験の実施を目指す。 新たな治療法では患者から血液をとってリンパ球を採取し、遺伝子操作技術を使って、表面に蛍光物質を捉える「キメラ抗原受容体(CAR)」を作る。がん細胞の表面たんぱく質に結合する蛍光物質を患者に投与したうえで、この改変リンパ球を患者に注射する。 患者の体内では、まず蛍光物質ががんに結合。次に改変リンパ球がその蛍光物質をとらえ、がんを攻撃するしくみだ。ヒトの膵臓(すいぞう)がんの細胞をマウスの皮下に移植して腫瘍を作り、蛍光物質と改変リンパ球を投与したところ、2週間で腫瘍が消失した。 改変リンパ球を使ったがん治療はすでに米国で臨床試験段階に入っているが、がん表面のたんぱく質を直接とらえている。蛍光物質を表面たんぱく質に結合させ、それをリンパ球が認識する二段構えの方式にすることで、複数の表面たんぱく質をとらえて攻撃できるようになった。異なるターゲットを同時に攻撃するため、がん治療で問題となる耐性が起きにくいと期待される。 リンパ球の攻撃が強すぎる場合は、がんに結合しない蛍光物質を投与すればリンパ球がそちらに向かい、ブレーキをかけることができる。> とある。
改変リンパ球でがん攻撃 山口大、2年以内メド医師主導治験 /日本経済新聞/2015.09.27 - 23:30
山口大学の玉田耕治教授らは、患者の血液から採取したリンパ球に人工遺伝子を入れて改変し、体内に戻してがんを攻撃させる新たな治療法を開発した。マウスを使った実験で、がんの縮小を確認した。2年以内をメドに、国立がん研究センターと共同で医師主導治験の実施を目指す。
新たな治療法では患者から血液をとってリンパ球を採取し、遺伝子操作技術を使って、表面に蛍光物質を捉える「キメラ抗原受容体(CAR)」を作る。がん細胞の表面たんぱく質に結合する蛍光物質を患者に投与したうえで、この改変リンパ球を患者に注射する。
患者の体内では、まず蛍光物質ががんに結合。次に改変リンパ球がその蛍光物質をとらえ、がんを攻撃するしくみだ。ヒトの膵臓(すいぞう)がんの細胞をマウスの皮下に移植して腫瘍を作り、蛍光物質と改変リンパ球を投与したところ、2週間で腫瘍が消失した。
改変リンパ球を使ったがん治療はすでに米国で臨床試験段階に入っているが、がん表面のたんぱく質を直接とらえている。蛍光物質を表面たんぱく質に結合させ、それをリンパ球が認識する二段構えの方式にすることで、複数の表面たんぱく質をとらえて攻撃できるようになった。異なるターゲットを同時に攻撃するため、がん治療で問題となる耐性が起きにくいと期待される。
リンパ球の攻撃が強すぎる場合は、がんに結合しない蛍光物質を投与すればリンパ球がそちらに向かい、ブレーキをかけることができる。
<改変リンパ球>( ← リンパ球を採取し、遺伝子操作技術を使って、表面に蛍光物質を捉える「キメラ抗原受容体(CAR)」を作る )が、<蛍光物質をとらえ、がんを攻撃する>( ← 予め、がん細胞の表面たんぱく質に結合する蛍光物質を患者に投与 しておく )という "二段構えの方式" が、注目されるべきだと説明されている。 この工夫によって "がんへの攻撃力!" 向上が期待される...... (2015.10.01))
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