"既存薬" が、"がん" などに "薬効" を発揮することは、過去何度か報じられてきた。 ただ、どちらかと言えば "偶発性/セレンディピティ(serendipity)" の色合いが強かったのかもしれない。
◆ 参照 当誌過去の "既存薬" 関連記事
(1) "不整脈の治療薬"が、"アルツハイマー病"で起こる脳の神経細胞の減少を防ぐ効果が!?/当誌 2015.12.18
(2) 解熱鎮痛薬の「アスピリン」の"大腸がん予防効果"を確かめる"7000人規模の臨床試験"!/当誌 2015.12.07
(3) "抗がん剤"効きにくくなった"前立腺がん"の患者、"肝炎薬併用"で効果復活!(慶応大)/当誌 2015.10.31
(4) "軽度認知障害"を脳梗塞再発予防薬"シロスタゾール"で食い止める臨床試験!(国循研セ)/当誌 2015.08.15
(5) 認知症予防の治験開始!軽度認知障害(MCI)に抗血小板薬"シロスタゾール"!(国循研セ)/当誌 2015.05.28
今回注目する下記引用サイト記事 : 産総研「既存薬で別治療」効率よく 前立腺がんに肝炎薬/日本経済新聞/2016.02.08 - 02:00 は、 <産業技術総合研究所は既存薬を別の病気の治療に活用する「ドラッグリポジショニング」を効率よく実現するための手法を開発した。薬の影響による遺伝子の働き方の変化を網羅的に調べたデータを利用する。この手法で抗がん剤が効きにくい前立腺がん患者に肝炎の薬が有効なことを見つけた。慶応義塾大学が3月にも臨床試験(治験)を始める。新薬開発が難しさを増す中、効き目の高い薬を低コストで見つけるのに役立てる> と報じている。
<......新技術は産総研創薬分子プロファイリング研究センターの堀本勝久副研究センター長らが開発した。米マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が設立したブロード研究所などが公開する既存薬のデータベースを活用。がん細胞などさまざまな細胞に既存薬を投与した際の遺伝子の働き方を網羅的に調べたデータを使い、解析に生かす。 解析では対象とする病気の患者と健康な人の細胞をもとに、さまざまな遺伝子の働き方を網羅的に調べる。これまでの研究報告なども参考にし、病気に関係がありそうな遺伝子群を抽出する。 この遺伝子群の働き方を、逆転させるような機能を持つ物質が新薬候補になる。それを既存薬の公開データベースの中から見つけ出す仕組みだ。解析は数日で済む。産総研は、公開データに自前で集めた薬剤のデータなどを加えた解析ソフトウエアも開発した。 慶応大学の大家基嗣教授らは、産総研と協力して見つけた候補物質の治験を始める。抗がん剤「ドセタキセル」が効きにくくなった前立腺がん患者に対し、肝炎治療で使う「リバビリン」を併用する。 これによってドセタキセルが効くようになる作用が期待されている。対象の病気や投与法などが異なると、従来とは違った副作用が出る可能性もあるため、詳しく調べる。 産総研は東京大学と共同で、乳がんで既存薬「パクリタキセル」に耐性を持つようになった患者に効く薬の探索にも取り組んだ。見つけた3つの候補物質は細胞実験で薬効が出た。そのうち2つで動物実験を進めている。 さらに、産総研はノーベルファーマ(東京・中央)と複数の希少疾患に関する研究も始めた。同社はこれまで主に海外で開発された薬を国内に導入してきたが、産総研の技術を活用し新薬開発を強化する。さまざまな遺伝子変異が影響し合って起こる希少疾患の新薬候補物質を探すのに役立つと期待している。> とある。
産総研「既存薬で別治療」効率よく 前立腺がんに肝炎薬 /日本経済新聞/2016.02.08 - 02:00
産業技術総合研究所は既存薬を別の病気の治療に活用する「ドラッグリポジショニング」を効率よく実現するための手法を開発した。薬の影響による遺伝子の働き方の変化を網羅的に調べたデータを利用する。この手法で抗がん剤が効きにくい前立腺がん患者に肝炎の薬が有効なことを見つけた。慶応義塾大学が3月にも臨床試験(治験)を始める。新薬開発が難しさを増す中、効き目の高い薬を低コストで見つけるのに役立てる。
新技術は産総研創薬分子プロファイリング研究センターの堀本勝久副研究センター長らが開発した。米マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が設立したブロード研究所などが公開する既存薬のデータベースを活用。がん細胞などさまざまな細胞に既存薬を投与した際の遺伝子の働き方を網羅的に調べたデータを使い、解析に生かす。
解析では対象とする病気の患者と健康な人の細胞をもとに、さまざまな遺伝子の働き方を網羅的に調べる。これまでの研究報告なども参考にし、病気に関係がありそうな遺伝子群を抽出する。
この遺伝子群の働き方を、逆転させるような機能を持つ物質が新薬候補になる。それを既存薬の公開データベースの中から見つけ出す仕組みだ。解析は数日で済む。産総研は、公開データに自前で集めた薬剤のデータなどを加えた解析ソフトウエアも開発した。
慶応大学の大家基嗣教授らは、産総研と協力して見つけた候補物質の治験を始める。抗がん剤「ドセタキセル」が効きにくくなった前立腺がん患者に対し、肝炎治療で使う「リバビリン」を併用する。
これによってドセタキセルが効くようになる作用が期待されている。対象の病気や投与法などが異なると、従来とは違った副作用が出る可能性もあるため、詳しく調べる。
産総研は東京大学と共同で、乳がんで既存薬「パクリタキセル」に耐性を持つようになった患者に効く薬の探索にも取り組んだ。見つけた3つの候補物質は細胞実験で薬効が出た。そのうち2つで動物実験を進めている。
さらに、産総研はノーベルファーマ(東京・中央)と複数の希少疾患に関する研究も始めた。同社はこれまで主に海外で開発された薬を国内に導入してきたが、産総研の技術を活用し新薬開発を強化する。さまざまな遺伝子変異が影響し合って起こる希少疾患の新薬候補物質を探すのに役立つと期待している。
上記アプローチの核心は、<既存薬を別の病気の治療に活用する「ドラッグリポジショニング」を効率よく実現するための手法を開発した。薬の影響による遺伝子の働き方の変化を網羅的に調べたデータを利用> という点にある。 <既存薬の公開データベース> の活用である。 この結果、"ドラッグリポジショニング" のメリットがますます際立つことになりそうだ...... (2016.02.09)
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