以前、<緑藻に光を感じる遺伝子がある> という事実、そして、これを応用すれば、脳に情報を伝える神経節細胞が正常な状態のままの場合には、視覚の回復が望める!という研究成果に注目したことがあった。
◆ 参照 当誌過去の "緑藻" 関連記事
○ <......網膜色素変性症や加齢黄斑変性症での失明は、光を受け取る視細胞が損なわれますが、脳に情報を伝える神経節細胞は正常な状態のままです。光を受け取る機能を回復できれば、見えるようになるわけです。......緑藻に光を感じる遺伝子があることに着目。この遺伝子を組み込んだラットを失明させて実験した結果、ものの動きや色の濃淡の判別などで正常なラットとほぼ同等の視覚を取り戻した> ( 藻の遺伝子注入での視覚回復研究/"幅広い色をも感知"できる視覚回復に成功(岩手大)!/当誌 2014.05.15 )
今回注目する下記引用サイト記事 : 「網膜の難病」薬開発へ 岩手大が治療法研究/岩手日報/2016.02.19 は、上記関連記事の延長線上の動向として、 <岩手大(岩渕明学長)は18日、冨田浩史工学部教授らが研究する失明や視力低下する難病「網膜色素変性症」治療の手法を使った臨床応用への取り組みが始まると発表した。改変した緑藻(りょくそう)の遺伝子を注入して視覚回復させる手法で、アステラス製薬(畑中好彦社長、東京都)などが遺伝子治療薬の開発、実用化を目指す> と報じている。
<......網膜色素変性症は数千人に1人の難病。視力が低下し、最終的には失明に至る。明確な効果を示す治療法は確立されていない。 冨田教授、菅野江里子准教授らは緑藻由来の光受容タンパク質を改変。失明したラットの網膜細胞に注入し、部分的な視覚回復に成功した。 同社は医工学研究事業化に関わる東北大発ベンチャー、クリノ(仙台市)と提携。安全性試験や臨床応用を経て実用化できる治療薬開発に挑む。アステラス製薬の安川健司上席執行役員は「開発を通じて眼科疾患に対する革新的な治療を提供し、患者へ一層貢献できると期待している」とコメントする。冨田教授は「まだモノクロの視力回復。カラーで見られるよう次の段階へと研究を進めたい」と意気込む。> とある。
「網膜の難病」薬開発へ 岩手大が治療法研究/岩手日報/2016.02.19
岩手大(岩渕明学長)は18日、冨田浩史工学部教授らが研究する失明や視力低下する難病「網膜色素変性症」治療の手法を使った臨床応用への取り組みが始まると発表した。改変した緑藻(りょくそう)の遺伝子を注入して視覚回復させる手法で、アステラス製薬(畑中好彦社長、東京都)などが遺伝子治療薬の開発、実用化を目指す。
網膜色素変性症は数千人に1人の難病。視力が低下し、最終的には失明に至る。明確な効果を示す治療法は確立されていない。
冨田教授、菅野江里子准教授らは緑藻由来の光受容タンパク質を改変。失明したラットの網膜細胞に注入し、部分的な視覚回復に成功した。
同社は医工学研究事業化に関わる東北大発ベンチャー、クリノ(仙台市)と提携。安全性試験や臨床応用を経て実用化できる治療薬開発に挑む。アステラス製薬の安川健司上席執行役員は「開発を通じて眼科疾患に対する革新的な治療を提供し、患者へ一層貢献できると期待している」とコメントする。冨田教授は「まだモノクロの視力回復。カラーで見られるよう次の段階へと研究を進めたい」と意気込む。
今回の動向は、既に成果が確認されている<改変した緑藻(りょくそう)の遺伝子> 注入による "視覚回復" という手法を、<臨床応用への取り組み> として着手するものだという。 是非とも、失明者に光を回復させる成果へとつながってほしい...... (2016.02.24)
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