糖尿病の抜本的治療の基本が、<インスリンを分泌する組織細胞「膵島(すいとう)」> の活性化や、あるいはその移植にあることはよく知られている。
◆ 参照 当誌過去の "膵島" 関連記事
○ <"糖尿病新治療法" として、インスリンを分泌する組織細胞「膵島(すいとう)」を、"拒絶反応" を伴わずに "皮膚の下" に移植するという点が "新しい特徴!" である、と報じられている> ( 糖尿病に"新"治療法!"膵島を皮膚下に移植"!ラット実験で成功/拒絶反応なし(京大)!/当誌 2014.06.21 )
今回注目する下記引用サイト記事 : 糖尿病、豚の細胞で改善...膵島移植し血糖値低下/yomiDr. ヨミドク/2016.03.17 は、 <大塚製薬工場(本社・徳島県鳴門市)は、糖尿病治療のため、豚の膵島(すいとう)をカプセルに封入して移植する臨床研究をアルゼンチンで患者4人に実施し、全員の血糖を下げられたことを明らかにした> と報じている。
<......同社は実用化に向け日米で研究開発を進める計画で、成果を17日から大阪市で始まる日本再生医療学会で発表する。 臨床研究を実施したのは、同社がニュージーランドのバイオベンチャーと現地に設立した合弁会社。対象は、膵臓にある膵島の細胞が破壊され、血糖を下げる働きのあるインスリンを分泌できない1型糖尿病の患者。通常、インスリンを注射する治療が行われるが、効き過ぎると、低血糖で意識障害を引き起こす危険がある。 国内では、人の脳死提供者からの膵島の移植も行われているが、提供者不足で実施は年数件にとどまる。iPS細胞(人工多能性幹細胞)からインスリンを出す細胞を作る研究は、臨床応用まで、まだ数年以上かかる見通しだ。 合弁会社は、豚の膵島から分泌されるインスリンの構造や機能が人とほぼ同じであることに着目。豚の膵臓から採取した膵島を直径0・5ミリの特殊な素材のカプセルで覆い、免疫拒絶反応を起こさず、インスリンがしみ出るように加工。これを患者4人に体重1キロあたり2万個を2回に分けて点滴で腹部に移植した。 豚のウイルスなどが人へ感染するのを防ぐため、無菌の清潔な環境で飼育した豚の間に生まれた子供の豚を移植に使った。 その結果、血糖の状態を示すヘモグロビンA1cは4人全員で下がり、平均値では2年以上にわたり糖尿病治療の目標となる7%未満を維持した。3人はインスリン注射の量を減らすことができた。重い健康被害は起きなかった。 東北大の後藤昌史教授(移植再生医学)の話「人の膵島移植の提供者が少ない中、豚の膵島が活用できるようになれば、多くの重症な糖尿病患者を救えると期待される」 (2016年3月17日 読売新聞)> とある。
糖尿病、豚の細胞で改善...膵島移植し血糖値低下/yomiDr. ヨミドク/2016.03.17
大塚製薬工場(本社・徳島県鳴門市)は、糖尿病治療のため、豚の膵島(すいとう)をカプセルに封入して移植する臨床研究をアルゼンチンで患者4人に実施し、全員の血糖を下げられたことを明らかにした。同社は実用化に向け日米で研究開発を進める計画で、成果を17日から大阪市で始まる日本再生医療学会で発表する。
臨床研究を実施したのは、同社がニュージーランドのバイオベンチャーと現地に設立した合弁会社。対象は、膵臓にある膵島の細胞が破壊され、血糖を下げる働きのあるインスリンを分泌できない1型糖尿病の患者。通常、インスリンを注射する治療が行われるが、効き過ぎると、低血糖で意識障害を引き起こす危険がある。
国内では、人の脳死提供者からの膵島の移植も行われているが、提供者不足で実施は年数件にとどまる。iPS細胞(人工多能性幹細胞)からインスリンを出す細胞を作る研究は、臨床応用まで、まだ数年以上かかる見通しだ。
合弁会社は、豚の膵島から分泌されるインスリンの構造や機能が人とほぼ同じであることに着目。豚の膵臓から採取した膵島を直径0・5ミリの特殊な素材のカプセルで覆い、免疫拒絶反応を起こさず、インスリンがしみ出るように加工。これを患者4人に体重1キロあたり2万個を2回に分けて点滴で腹部に移植した。
豚のウイルスなどが人へ感染するのを防ぐため、無菌の清潔な環境で飼育した豚の間に生まれた子供の豚を移植に使った。
その結果、血糖の状態を示すヘモグロビンA1cは4人全員で下がり、平均値では2年以上にわたり糖尿病治療の目標となる7%未満を維持した。3人はインスリン注射の量を減らすことができた。重い健康被害は起きなかった
。東北大の後藤昌史教授(移植再生医学)の話「人の膵島移植の提供者が少ない中、豚の膵島が活用できるようになれば、多くの重症な糖尿病患者を救えると期待される」
(2016年3月17日 読売新聞)
通常、本人以外からの "移植" で先ず懸念されるのは、"免疫拒絶反応" であるはずだ。この懸念に対し、上記記事のケースでは、<豚の膵臓から採取した膵島を直径0・5ミリの特殊な素材のカプセルで覆い、免疫拒絶反応を起こさず、インスリンがしみ出るように加工> といった形での "対策" が講じられることとなった。 今後の臨床研究での、更なる安全性の追求が望まれる...... (2016.03.19)
コメントする