"早期発見" → "早期治療" → "治癒" という三段論法から、盛んに "がん検診" が推奨されている。 だが、それは一つの立場だとする見解が無いわけではない。
◆ 参照 当誌過去の "がん検診" 関連記事
(1) "がん検診・検査"で受検者が不安に思うことは? 「費用」よりも多かった回答とは?/当誌 2016.05.10
(2) "不要ながん治療"が患者を殺す?"がん診断"の9割は間違い?治療やめたら治る例も!/当誌 2016.01.01
(3) 『医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて 元気に 長生きする方法』はお薦め!/当誌 2014.02.22
(4) 初期のがん、治療すべきか ― 議論促す日米の研究結果 甲状腺がんと"活発な監視療法"/当誌 2015.10.23
(5) "前立腺がん検診"は過剰医療なのか?米国での"PSAスクリーニング検査"非推奨の効果!/当誌 2015.06.29
(6) "がん検診&早期発見"は無意味? 治療で"寿命縮める"? 本当に受けるべき検診は?/当誌 2015.07.16
(7) "がん検診"のデメリットの一つ、"偽陽性"!"要精密"でも余り心配し過ぎる必要はない!/当誌 2015.06.03
今回注目する下記引用サイト記事 : 肺がんをCTで早期発見しても長生きできないかもしれない 4,104人の死亡率から/MEDLEY/2016.06.01 は、 <がんになるのではないかと心配で検診を受けても、結果につながるとは限りません。毎年CTの検査をして肺がんを早期発見しても死亡率には違いがなかったという研究結果が報告されました> と報じている。
<......この研究は、デンマークの研究班が、毎年CTの検査を行うことで肺がんが発見されるか、また死亡率に影響があるかを調べたものです。 50歳から70歳の喫煙者4,104人が対象となりました。対象者は、5年間続けて毎年CTで肺がんのスクリーニング(病気を見つけ出す検査)を受けるグループと、スクリーニングは受けないグループにランダムに分けられました。最後のスクリーニングから5年以上経過した時点で、スクリーニングを受けたグループと、受けなかったグループの死亡率が比較されました。 次の結果が得られました。 ...... スクリーニングを受けたグループのほうが、受けなかったグループよりも早期肺がんが多く発見されました。しかし、全体として死亡率に差がなく、肺がんによる死亡に限って比較しても差がありませんでした。 がんはある程度進行してから全身に強く影響するようになります。また、進行の度合いに応じた治療法が長年のうちに進歩してきています。少し大きくなってからでも発見して治療できるがんを、もっと早く見つけても結果が変わらない場合はあるかもしれません。がんが発見されることで心理的な負担が増えることや、CTで放射線を浴びてしまうことなど、悪い面も同時に考える必要があります。 前立腺がんや乳がんの検査では、結果に違いがないので早くからスクリーニングをしすぎるべきではないという意見があります。 がん検診を受けようとするときは、何を目的にするのか、どんな結果が予想できるのかをよく聞きましょう> とある。
肺がんをCTで早期発見しても長生きできないかもしれない 4,104人の死亡率から/MEDLEY/2016.06.01
がんになるのではないかと心配で検診を受けても、結果につながるとは限りません。毎年CTの検査をして肺がんを早期発見しても死亡率には違いがなかったという研究結果が報告されました。
◆ 肺がんをCTで探すかどうかで比較
この研究は、デンマークの研究班が、毎年CTの検査を行うことで肺がんが発見されるか、また死亡率に影響があるかを調べたものです。
50歳から70歳の喫煙者4,104人が対象となりました。対象者は、5年間続けて毎年CTで肺がんのスクリーニング(病気を見つけ出す検査)を受けるグループと、スクリーニングは受けないグループにランダムに分けられました。最後のスクリーニングから5年以上経過した時点で、スクリーニングを受けたグループと、受けなかったグループの死亡率が比較されました。
◆ 早期発見されたが、死亡率は変わらない
次の結果が得られました。
2群間で、肺がんによる死亡率の差(ハザード比1.03、95%信頼区間0.66-1.6、P=0.888)、全死因死亡率の差(ハザード比1.02、95%信頼区間0.82-1.27、P=0.867)は見出されなかった。 スクリーニングをしない群よりも、スクリーニング群でより多くのがんが発見され(53 vs 100、P<0.001)、特に腺がんが多かった(18 vs 58、P<0.001)。 対照群よりもスクリーニング群のほうが早期がん(ステージIおよびII、10 vs 54、P<0.001)、ステージIIIaのがん(3 vs 15、P=0.009)が多く発見された。
スクリーニングを受けたグループのほうが、受けなかったグループよりも早期肺がんが多く発見されました。しかし、全体として死亡率に差がなく、肺がんによる死亡に限って比較しても差がありませんでした。
がんはある程度進行してから全身に強く影響するようになります。また、進行の度合いに応じた治療法が長年のうちに進歩してきています。少し大きくなってからでも発見して治療できるがんを、もっと早く見つけても結果が変わらない場合はあるかもしれません。がんが発見されることで心理的な負担が増えることや、CTで放射線を浴びてしまうことなど、悪い面も同時に考える必要があります。
前立腺がんや乳がんの検査では、結果に違いがないので早くからスクリーニングをしすぎるべきではないという意見があります。
がん検診を受けようとするときは、何を目的にするのか、どんな結果が予想できるのかをよく聞きましょう。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
"早期発見" → "早期治療" → "治癒" という三段論法は、確かに "分かりやすい" に違いない。 ただ、上記の記事のような "比較" 検査は意外と実施されて来なかったようである。 しかも、"早期発見" されたがんに対して、長期的には、"副作用を積み残す!" 可能性も指摘されている "抗がん剤" や、"発がん性" も懸念されている "放射線治療での被ばく" が "継続される" ならば、"早期発見のためのがん検診" を手放しで称賛できるものであろうか...... (2016.06.04)
コメントする