がん治療法には、"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)と、加えて "第4のがん治療法" とも評される "がん免疫療法" とがある。それぞれは、個々の症状、ケースに応じて採用されている。 そして、もっとも長く実施されて来たのが "除去手術法" であり、これについては、いろいろな評価があるようだ。
今回注目する下記引用サイト記事 : 「切るしかない」にダマされるな! がんでも受けてはいけない手術 手術至上主義はおかしい/週刊現代 - 現代ビジネス/2016.06.23 は、 <■ 切ったらむしろ悪くなる 「がんは千人千様、がん細胞の性質が異なります。単純に、原発のがん(最初にできたがん)を切除できれば治るとか、長生きできると考えるのは誤りなのです。 周囲への浸潤の強いがんを無理に切除しても、散らばっている目に見えないがん細胞を全部切除することは不可能で、手術後の後遺症で苦しんでいるうちに、間もなく再発します。 高度に進行したがんに対して無理に切除手術をすると、がん細胞の遺伝子が変化して悪性度が高くなることがあるのです」 多摩がん検診センター所長などを歴任し、日の出ヶ丘病院のホスピスでがん患者の緩和ケアに携わってきた小野寺時夫医師は、こう話す> と伝えている。
<......がんは、取るしかない。患部をすべて取り切るには、やはりメスを身体に入れるのが一番だ----。 かつては、多くの医師がそんな風に考え、「もう切るしかありません」と患者に手術を勧めてきた。 だが現在では、放射線治療の技術も向上。作詞家のなかにし礼氏をがんから生還させたことで知られる陽子線治療なども登場した。さまざまな抗がん剤も開発され、治療の選択肢は大幅に増えている。 ところが、いまだに一部の医師は古い考えを捨てられず、「とにかく切りましょう」と手術を主張するのだ。 こんな実例もある。 埼玉県在住だった当時58歳の男性は、初期の膵臓がんと診断された。がんのサイズは1cm以下。担当医は「小さくてよかった。取ってしまえば治ります」と手術を勧めた。 ところが手術から半年後、男性はがんが再発したと知らされた。手術でがんを切ったことでがん細胞が全身に散り、複数の臓器に転移したのだ。多発したがんはもはや手術では取りきれないとされ、抗がん剤治療を続けたが、約1年の闘病生活後、世を去ったという。 なぜ、一部の医師はやたらと手術に固執するのか。小野寺氏はその背景をこう明かす。 「外科系の医師は『手術こそが仕事で、手術できないのは自分の敗北だ』と考えがちです。また患者のためになるかを慎重に考えるよりも、手術の症例数を増やしたいと考えたり、手術が大手術で困難なほどやりがいがあると感じたりしてしまう傾向もある。とくに若い医師は、大手術をしたい欲望が強いでしょう」 がんと長年向き合ってきた専門医たちは、そんな手術至上主義とは正反対の現実を経験している。小野寺氏はこう話す。 「ある精神科の女性医師を診たことがあります。彼女は70歳のとき、胸のしこりに気がつきました。2年後、外科医に手術を勧められたのですが、『72歳まで生きたのだし、手術はしない』と決断した。彼女はそのまま92歳まで約20年生き、老衰で亡くなった。そういうこともあるのです」 他にも食道がんで余命2~3ヵ月と言われた患者が4年生きた例など、数ヵ月の命とされた人が年単位で生きることは決して珍しくないという。 ■ 手術なしで生存率90%超 手術が最適の治療というわけでは決してない。小野寺氏は、こう話す。 「私は基本的にステージI、IIのがんは切除をするほうがよいと考えますが、頭頸部がんなら放射線治療が第一選択肢です。ステージIIIでは、大腸がんや胃がんなら手術のほうがよい場合が多いですが、肺がんや食道がんには放射線や抗がん剤による化学療法が安全です」 ―― 中略 ―― もちろん手術が最適な治療という場合もあるだろう。大腸がんや胃がんなど消化器系のがんでは、早期発見と適切な手術によって大事に至らず、再発もしない例も多い。 一方で、とくに年齢を重ねた60代以上の人の場合、手術以外の選択肢を検討したほうがよいがんもある。 ―― 中略 ―― そもそも、メスで身体を開く手術にはリスクがある上に、60代以上の身体には負担も大きい。人生の最終幕に向け、医者の言葉を鵜呑みにして取り返しのつかないことになれば、きっと後悔するだろう。医者はあなたの人生に責任など負ってくれないことを、忘れてはならない。 「週刊現代」2016年6月25日号> とある。
「切るしかない」にダマされるな! がんでも受けてはいけない手術 手術至上主義はおかしい/週刊現代 - 現代ビジネス/2016.06.23
■ 切ったらむしろ悪くなる
「がんは千人千様、がん細胞の性質が異なります。単純に、原発のがん(最初にできたがん)を切除できれば治るとか、長生きできると考えるのは誤りなのです。
周囲への浸潤の強いがんを無理に切除しても、散らばっている目に見えないがん細胞を全部切除することは不可能で、手術後の後遺症で苦しんでいるうちに、間もなく再発します。
高度に進行したがんに対して無理に切除手術をすると、がん細胞の遺伝子が変化して悪性度が高くなることがあるのです」
多摩がん検診センター所長などを歴任し、日の出ヶ丘病院のホスピスでがん患者の緩和ケアに携わってきた小野寺時夫医師は、こう話す。
がんは、取るしかない。患部をすべて取り切るには、やはりメスを身体に入れるのが一番だ----。
かつては、多くの医師がそんな風に考え、「もう切るしかありません」と患者に手術を勧めてきた
。だが現在では、放射線治療の技術も向上。作詞家のなかにし礼氏をがんから生還させたことで知られる陽子線治療なども登場した。さまざまな抗がん剤も開発され、治療の選択肢は大幅に増えている。
ところが、いまだに一部の医師は古い考えを捨てられず、「とにかく切りましょう」と手術を主張するのだ。
こんな実例もある。
埼玉県在住だった当時58歳の男性は、初期の膵臓がんと診断された。がんのサイズは1cm以下。担当医は「小さくてよかった。取ってしまえば治ります」と手術を勧めた。
ところが手術から半年後、男性はがんが再発したと知らされた。手術でがんを切ったことでがん細胞が全身に散り、複数の臓器に転移したのだ。多発したがんはもはや手術では取りきれないとされ、抗がん剤治療を続けたが、約1年の闘病生活後、世を去ったという。
なぜ、一部の医師はやたらと手術に固執するのか。小野寺氏はその背景をこう明かす。
「外科系の医師は『手術こそが仕事で、手術できないのは自分の敗北だ』と考えがちです。また患者のためになるかを慎重に考えるよりも、手術の症例数を増やしたいと考えたり、手術が大手術で困難なほどやりがいがあると感じたりしてしまう傾向もある。とくに若い医師は、大手術をしたい欲望が強いでしょう」
がんと長年向き合ってきた専門医たちは、そんな手術至上主義とは正反対の現実を経験している。小野寺氏はこう話す。
「ある精神科の女性医師を診たことがあります。彼女は70歳のとき、胸のしこりに気がつきました。2年後、外科医に手術を勧められたのですが、『72歳まで生きたのだし、手術はしない』と決断した。彼女はそのまま92歳まで約20年生き、老衰で亡くなった。そういうこともあるのです」
他にも食道がんで余命2~3ヵ月と言われた患者が4年生きた例など、数ヵ月の命とされた人が年単位で生きることは決して珍しくないという。
■ 手術なしで生存率90%超
手術が最適の治療というわけでは決してない。小野寺氏は、こう話す。
「私は基本的にステージI、IIのがんは切除をするほうがよいと考えますが、頭頸部がんなら放射線治療が第一選択肢です。ステージIIIでは、大腸がんや胃がんなら手術のほうがよい場合が多いですが、肺がんや食道がんには放射線や抗がん剤による化学療法が安全です」
―― 中略 ――
もちろん手術が最適な治療という場合もあるだろう。大腸がんや胃がんなど消化器系のがんでは、早期発見と適切な手術によって大事に至らず、再発もしない例も多い。
一方で、とくに年齢を重ねた60代以上の人の場合、手術以外の選択肢を検討したほうがよいがんもある。
―― 中略 ――
そもそも、メスで身体を開く手術にはリスクがある上に、60代以上の身体には負担も大きい。人生の最終幕に向け、医者の言葉を鵜呑みにして取り返しのつかないことになれば、きっと後悔するだろう。医者はあなたの人生に責任など負ってくれないことを、忘れてはならない。
「週刊現代」2016年6月25日号
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
結局、どんな治療法を選択するのかは、決して医者が決めるのではなく、患者個人が決めるほかない。 少なくとも、「先生に、お任せします」といった "ランチ選択方式(?!)" だけは避けなければならないはずだ。 そして、健康時から "がんに関する予備知識" に接しておく必要がありそうだ...... (2016.06.25)
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