現在、"抗がん剤" 治療に対する "理解や評価" は安定しているのであろうか? 有り体に言えば、評価は分かれると言えそうだ......。 "抗がん剤" 治療が安定しているのは当然のことと強弁し、高圧的に言明(?)することだけでは済まないであろうし、かと言って感情的反発(?)だけで対応するのも問題が残りそうだ。
今回注目する下記引用サイト記事 : 抗がん剤治療の「真のアウトカム」は? 内科医・酒井健司の医心電信/apital 朝日新聞/2016.07.18 - 06:00 は、 <がんを一時的に小さくできても、死亡を減らさなかったり、つらい副作用があったりするなら、なんのための治療かよくわかりません。抗がん剤治療を行う目的は、生存期間を延長したり、症状を緩和したりすることです。 つまり、奏効率は「代用のアウトカム」、生存期間の延長や生活の質の改善は「真のアウトカム」です。極端な話、がんが小さくならなくても、別の病気で死ぬまで大きくならずにいれば、治療は成功と言えます。> と解説している。
<......抗がん剤の治療効果の指標の一つに「奏効率」があります。一言で言うと、「抗がん剤治療を受けた患者さんの中で、腫瘍(しゅよう)が小さくなった人の割合」です。 腫瘍の大きさはCTなどの画像検査で測定できます。抗がん剤治療前後で腫瘍の大きさを比較して、腫瘍が消失したものが「完全奏功」、30%以上小さくなったものが「部分奏功」です。抗がん剤治療を受けた人の中で、完全奏功または部分奏功の人の割合が奏効率です。 もちろん、奏効率は高い方がいいのですが、奏効率だけでは抗がん剤治療の善し悪しを判断することはできません。たとえば、高い奏効率(100%)の抗がん剤Aと、低い奏効率(0%)の抗がん剤Bがあったとしましょう。奏効率だけを考えると、圧倒的に抗がん剤Aのほうが良さそうに思えます。しかし、1年後の生存率という別の指標が次のようなものだったらどうでしょう。 抗がん剤Aを使うとすべての患者さんにおいて、腫瘍が小さくなります。しかし、腫瘍の縮小は一時的なもので、1年後までに50%の患者さんでがんが増大して亡くなります(一般的に、固形がんに対して抗がん剤治療を行い、がんが小さくなったとしても、そのうち効かなくなります)。 一方で、抗がん剤Bには腫瘍を小さくする効果はありません。しかし、1年後にがんが増大して亡くなる患者さんは20%です。抗がん剤Bは、腫瘍を小さくはできないけれども大きくならないように働くのです。 抗がん剤Aと抗がん剤B、どちらの治療を受けたいですか? どちらかを選ぶのであれば、私は抗がん剤Bのほうを受けたいです。CT画像上でがんが小さくなっても1年後に死んでしまうなら、がんが小さくならなくて死なないほうがましです。...... 抗がん剤の臨床試験では、奏効率よりも「全生存期間」(臨床試験を開始して死亡するまでの期間)のほうが重視されます。全生存期間を延ばす治療が良い治療とみなされます。 生活の質を考慮した指標もありますが、死亡と比較して評価が難しいです。一般的には、生活の質の悪化は生存期間を縮めますので、全生存期間を延ばす治療は生活の質も改善させると考えられます。 「抗がん剤はかえって命を縮める」という誤った主張がしばしば見られます。その論拠の一つに「抗がん剤は奏効率だけで承認される」というものがありますが、現在では奏効率だけで承認されることはありません。もし抗がん剤を使うような病気にかかったときは、不正確な情報に惑わされず、主治医とよく相談してください。> とある。
抗がん剤治療の「真のアウトカム」は? 内科医・酒井健司の医心電信/apital 朝日新聞/2016.07.18 - 06:00
抗がん剤の治療効果の指標の一つに「奏効率」があります。一言で言うと、「抗がん剤治療を受けた患者さんの中で、腫瘍(しゅよう)が小さくなった人の割合」です。
腫瘍の大きさはCTなどの画像検査で測定できます。抗がん剤治療前後で腫瘍の大きさを比較して、腫瘍が消失したものが「完全奏功」、30%以上小さくなったものが「部分奏功」です。抗がん剤治療を受けた人の中で、完全奏功または部分奏功の人の割合が奏効率です。
もちろん、奏効率は高い方がいいのですが、奏効率だけでは抗がん剤治療の善し悪しを判断することはできません。たとえば、高い奏効率(100%)の抗がん剤Aと、低い奏効率(0%)の抗がん剤Bがあったとしましょう。奏効率だけを考えると、圧倒的に抗がん剤Aのほうが良さそうに思えます。しかし、1年後の生存率という別の指標が次のようなものだったらどうでしょう。
抗がん剤Aを使うとすべての患者さんにおいて、腫瘍が小さくなります。しかし、腫瘍の縮小は一時的なもので、1年後までに50%の患者さんでがんが増大して亡くなります(一般的に、固形がんに対して抗がん剤治療を行い、がんが小さくなったとしても、そのうち効かなくなります)。
一方で、抗がん剤Bには腫瘍を小さくする効果はありません。しかし、1年後にがんが増大して亡くなる患者さんは20%です。抗がん剤Bは、腫瘍を小さくはできないけれども大きくならないように働くのです。
抗がん剤Aと抗がん剤B、どちらの治療を受けたいですか? どちらかを選ぶのであれば、私は抗がん剤Bのほうを受けたいです。CT画像上でがんが小さくなっても1年後に死んでしまうなら、がんが小さくならなくて死なないほうがましです。
がんを一時的に小さくできても、死亡を減らさなかったり、つらい副作用があったりするなら、なんのための治療かよくわかりません。抗がん剤治療を行う目的は、生存期間を延長したり、症状を緩和したりすることです。
つまり、奏効率は「代用のアウトカム」、生存期間の延長や生活の質の改善は「真のアウトカム」です。極端な話、がんが小さくならなくても、別の病気で死ぬまで大きくならずにいれば、治療は成功と言えます。
抗がん剤の臨床試験では、奏効率よりも「全生存期間」(臨床試験を開始して死亡するまでの期間)のほうが重視されます。全生存期間を延ばす治療が良い治療とみなされます。
生活の質を考慮した指標もありますが、死亡と比較して評価が難しいです。一般的には、生活の質の悪化は生存期間を縮めますので、全生存期間を延ばす治療は生活の質も改善させると考えられます。
「抗がん剤はかえって命を縮める」という誤った主張がしばしば見られます。その論拠の一つに「抗がん剤は奏効率だけで承認される」というものがありますが、現在では奏効率だけで承認されることはありません。もし抗がん剤を使うような病気にかかったときは、不正確な情報に惑わされず、主治医とよく相談してください。
上記記事での <抗がん剤の治療効果の指標の一つに「奏効率」があります。一言で言うと、「抗がん剤治療を受けた患者さんの中で、腫瘍(しゅよう)が小さくなった人の割合」です> という点だけに、相変わらず関心を向けている "がん治療医" が少なくない、というのが現状ではなかろうか。
こうして、がん患者が、抗がん剤による "副作用" を累積させてボロボロにさせられるのが現状!
目指されるべきは、<奏効率よりも「全生存期間」(臨床試験を開始して死亡するまでの期間)のほう(であり)...... 全生存期間を延ばす治療が良い治療> ということのはず...... (2016.07.19)
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