がん治療における、"がん細胞狙い撃ち=正常細胞への副作用抑制" のための方法、アプローチが、種々研究されている。 そのひとつとして注目されて来たものが、体内における抗がん剤の搬送手段としての "微小カプセル" であろう。
◆ 参照 当誌過去の "がん,カプセル" 関連記事
(1) <......がん細胞だけに抗がん剤を送り込むDDS技術を京都薬科大学や北海道大学のチームがそれぞれ開発した。がん組織は正常な組織に比べて血管に隙間が多く、脂質の膜でできた微小カプセルを血管に注射すればがん細胞に多くが流れ着く。効き目が強い薬を封入し、がん細胞内に集中して取り込ませる。正常な細胞は傷めず、副作用を減らす......> ( "抗がん剤"を"微小カプセル"で投薬!細胞を傷めず副作用を減らす!(京都薬科大,北大)/当誌 2015.10.14 )
(2) <......ウイルスほどの大きさのカプセルに入った抗がん剤を、がん細胞までピンポイントで届ける投薬システムの臨床試験が、国内で最終段階に入っている。「ナノマシン」と呼ばれる新技術で、早ければ来年度中にも承認され、医療現場での使用が始まる見通しだ。......> ( 抗がん剤投薬システム"ナノマシン"!がん細胞を狙い撃ち!副作用減らし効果高める!/当誌 2015.08.01 )
今回注目する下記引用サイト記事 : がん治療薬を体内で生成、副作用少なく 東大や筑波大/日本経済新聞/2016.08.13 - 13:35 は、 <がんの薬を体内で作り、治療効果を高める研究を東京大学や筑波大学のチームがそれぞれ始めた。強力な薬をそのまま体に入れると正常な細胞を傷つけかねない。これまでの発想を転換し、効き目の強い薬をがんのある場所で作り出して副作用を減らす。患部だけで薬を生産する「人体製薬工場」の新技術として、動物実験で原理を確かめた。国内で年間40万人近くが亡くなるがんとの闘いで、新たな治療戦略になりそうだ> と報じている。
<......東京大学の片岡一則名誉教授、安楽泰孝助教らは、直径が1万分の1ミリメートル以下のカプセルを特別な素材でつくり、血管を通じてがんに送り込む。カプセルに封じ込めたたんぱく質の反応で薬の合成が進み、がんだけに効くしくみだ。 患者には薬の合成に使う毒性の低い物質を投与するだけで、副作用を大幅に減らせるとみる。体内でカプセルが正常に働くことを動物実験で確かめた。 筑波大学の長崎幸夫教授らは、がん細胞に多い成分と反応して抗がん作用のある物質を作る微小なカプセルを開発した。カプセルに入った鉄イオンが触媒となって殺傷能力の高い物質ができる。 この物質は活性酸素といい、がんがある場所で出続け、治療効果も高いとみている。ヒトの大腸がんを移植したマウスでがんの悪化を防げた。5年以内にも人で臨床研究を始める計画だ。 がん治療薬は免疫の働きが弱まったり、体力が衰えたりといった副作用が起きる場合がある。効き目があっても、治療が長続きしないのが問題だった。治療効果を引き上げるには新たな発想が必要になっており、国内外の研究者がアイデアを競っている> とある。
がん治療薬を体内で生成、副作用少なく 東大や筑波大 /日本経済新聞/2016.08.13 - 13:35
がんの薬を体内で作り、治療効果を高める研究を東京大学や筑波大学のチームがそれぞれ始めた。強力な薬をそのまま体に入れると正常な細胞を傷つけかねない。これまでの発想を転換し、効き目の強い薬をがんのある場所で作り出して副作用を減らす。患部だけで薬を生産する「人体製薬工場」の新技術として、動物実験で原理を確かめた。国内で年間40万人近くが亡くなるがんとの闘いで、新たな治療戦略になりそうだ。
東京大学の片岡一則名誉教授、安楽泰孝助教らは、直径が1万分の1ミリメートル以下のカプセルを特別な素材でつくり、血管を通じてがんに送り込む。カプセルに封じ込めたたんぱく質の反応で薬の合成が進み、がんだけに効くしくみだ。
患者には薬の合成に使う毒性の低い物質を投与するだけで、副作用を大幅に減らせるとみる。体内でカプセルが正常に働くことを動物実験で確かめた。
筑波大学の長崎幸夫教授らは、がん細胞に多い成分と反応して抗がん作用のある物質を作る微小なカプセルを開発した。カプセルに入った鉄イオンが触媒となって殺傷能力の高い物質ができる。
この物質は活性酸素といい、がんがある場所で出続け、治療効果も高いとみている。ヒトの大腸がんを移植したマウスでがんの悪化を防げた。5年以内にも人で臨床研究を始める計画だ。
がん治療薬は免疫の働きが弱まったり、体力が衰えたりといった副作用が起きる場合がある。効き目があっても、治療が長続きしないのが問題だった。治療効果を引き上げるには新たな発想が必要になっており、国内外の研究者がアイデアを競っている。
上記記事での研究成果としての <カプセル> は、"抗がん剤の搬送" 上での安全性という役割だけではなく、<これまでの発想を転換し、効き目の強い薬をがんのある場所で作り出して副作用を減らす。患部だけで薬を生産する「人体製薬工場」の新技術> という点が画期的なのだと思われる。 深刻であり続ける現行の "抗がん剤による副作用" の抑制・回避が、期待されている...... (2016.08.15)
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