パーキンソン病の基本的な治療法として、"iPS細胞からこの神経細胞をつくって患者の脳に移植する研究" が、臨床段階に向けて着々と進められて来ている。
◆ 参照 当誌過去の "パーキンソン病,iPS細胞" 関連記事
(1) <......パーキンソン病は、脳内でドーパミンを作る神経細胞が減るために起き、薬での治療には限界がある。海外では死亡した胎児の神経細胞を患者の脳に移植する研究が試みられたが、有効性は十分に確認されていない。移植する細胞の不足や様々な細胞の混入が理由とみられている。......> ( 脳に"iPS神経細胞"移植へ!"パーキンソン病"治療めざす臨床研究!(京大iPS細胞研究所)/当誌 2015.05.20 )
(2) <......パーキンソン病はドーパミンという神経伝達物質を作る細胞が減っていき、運動に障害がでる難病。動物実験では、重症化する前なら、神経細胞の移植で治療効果が期待できるとされている......> ( "iPS細胞"経由の"神経細胞"移植でパーキンソン病を治療! 4年後に治験の計画(京大)!/当誌 2014.08.23 )
今回注目する下記引用サイト記事 : パーキンソン病 来年度にも臨床 iPS発表10年 山中教授インタビュー/東京新聞/2016.09.16 - 朝刊 は、 <京都大の山中伸弥教授が、マウスでの人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製を発表して十年を迎えたのを機に本紙のインタビューに応じた。iPS細胞を用いて治療する二つ目の病気になる可能性があるパーキンソン病について「来年度には臨床応用に入れることを目標にやっている」と明らかにした。 パーキンソン病は、脳内の神経細胞「ドーパミン産生細胞」が機能しなくなり、脳が体に運動するよう出す指令がうまく伝わらなくなる。根本的な治療法として、iPS細胞からこの神経細胞をつくって患者の脳に移植する研究を、山中教授が所長を務める京大iPS細胞研究所の高橋淳教授らが進めている> と報じている。
<......山中教授はこの研究が「いつでも臨床応用できる状態に近い」と説明。ただ、治験を計画する京大病院で審査に入る手続きに時間がかかっているとし「いろいろな壁があるが、安全性を重視した上で、京大病院にも柔軟に対応してもらえるようお願いしている」と述べた。 iPS細胞は二〇〇六年八月に山中教授が作製を発表し、一四年には理化学研究所などが、最初の手術に網膜で成功した> とある。
パーキンソン病 来年度にも臨床 iPS発表10年 山中教授インタビュー/東京新聞/2016.09.16 - 朝刊
京都大の山中伸弥教授が、マウスでの人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製を発表して十年を迎えたのを機に本紙のインタビューに応じた。iPS細胞を用いて治療する二つ目の病気になる可能性があるパーキンソン病について「来年度には臨床応用に入れることを目標にやっている」と明らかにした。
パーキンソン病は、脳内の神経細胞「ドーパミン産生細胞」が機能しなくなり、脳が体に運動するよう出す指令がうまく伝わらなくなる。根本的な治療法として、iPS細胞からこの神経細胞をつくって患者の脳に移植する研究を、山中教授が所長を務める京大iPS細胞研究所の高橋淳教授らが進めている。
山中教授はこの研究が「いつでも臨床応用できる状態に近い」と説明。ただ、治験を計画する京大病院で審査に入る手続きに時間がかかっているとし「いろいろな壁があるが、安全性を重視した上で、京大病院にも柔軟に対応してもらえるようお願いしている」と述べた。
iPS細胞は二〇〇六年八月に山中教授が作製を発表し、一四年には理化学研究所などが、最初の手術に網膜で成功した。
<iPS細胞(人工多能性幹細胞)> 皮膚や血液などの細胞に数種類の遺伝子を導入することで、細胞が受精卵に近い状態に「初期化」される。神経、筋肉、目、骨など体のほとんどの細胞に変化できる「万能」細胞。先行して1998年に作製されたヒトES細胞(胚性幹細胞)が受精卵を壊して作製するために免れなかった倫理的な問題を解決し、再生医療の可能性を大きく広げた。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
上記記事における "iPS細胞移植" が、パーキンソン病に対する根本的な治療法として成功、確立されるならば、深刻な脳疾患の治療分野にどんなに明るい展望が生じることであろうか...... (2016.09.20)
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