"結核" は、日本では「過去の病気」と見られがちであるが、決してそうではない。 昨今では、意表を衝かれる "結核の集団感染" や、そこでの "死亡例" も報じられており、今なお、"侮れない病気" なのである。
◆ 参照 当誌過去の "結核" 関連記事
(1) 病院と高齢者施設で 21人が"結核に集団感染"!うち6人が発症!感染源男性死亡 北九州/当誌 2016.07.11
(2) 日本では「過去の病気」と見られがちな"結核"!世界で猛威 インド/中国で耐性菌拡大!/当誌 2016.05.26
(3) 佐賀県、"結核の集団感染"(計10人)確認、80代の女性死亡!佐賀県の医療機関/当誌 2016.05.17
今回注目する下記引用サイト記事 : 結核の新薬(4) 情報編 過去の病気ではない/朝日新聞 apital 石川雅彦/2016.10.14 - 06:00 は、 <結核は結核菌による感染症で、主に肺で炎症を引き起こす。患者がくしゃみやせきをして空気中に漂った結核菌を吸い込む「空気感染」で広がっていく。 世界保健機関(WHO)によると、2014年には世界中で960万人が新たに発病し、150万人が死亡した。感染症の中では死者の数が最も多い。また、世界人口の3分の1が感染しており、高齢化や低栄養、生活環境の悪化などで免疫が低下すると発病する> と報じている。
<......日本では1950年代ごろまでは年間死亡者が十数万人にのぼり、「亡国病」「国民病」と呼ばれた。40年代に実用化された抗生物質「ストレプトマイシン」などの登場で、近年、死亡数は激減している。 だが、結核はもはや過去の病気とは言い切れない。結核予防会の「結核の統計」によると、昨年に結核と診断された患者は約1万8千人で、死亡者は約2千人にのぼる。患者の約6割を70歳以上が占めるが、20、30代でも年間約1千人の患者が出ている。 結核の予防接種の「BCG」は、子どもには有効だが、予防効果は十数年のため、大人への予防効果は高くないとされる。 近年、問題となっているのが、結核菌に強い「イソニアジド」と「リファンピシン」の二つの薬に耐性を持つ「多剤耐性結核」だ。日本の結核の治癒率は8割以上だが、多剤耐性結核だけを見ると、肺の一部を切除する外科治療を受けた患者を含めても、治癒率は5割程度だ。 その「多剤耐性結核」に対する治療薬が、連載に登場した女性(31)の治療にも使われた大塚製薬の「デルティバ」だ。現在、国内約20の病院で40人前後が服用しているという。 デルティバが多剤耐性結核に効果を持つのは、従来の薬の作用とは異なり、結核菌の細胞壁を構成する「ミコール酸」という脂質の生成を妨げる仕組みで殺菌効果を発揮するためだ。 大塚製薬の抗結核プロジェクトの木下(きのした)明督(みつよし)・グローバルプロジェクトコーディネーターは「世界中に45万人の多剤耐性結核の患者がいて、年間17万人が亡くなっている。そんな人々を助けたい」と話している> とある。
結核の新薬(4) 情報編 過去の病気ではない/朝日新聞 apital 石川雅彦/2016.10.14 - 06:00
結核は結核菌による感染症で、主に肺で炎症を引き起こす。患者がくしゃみやせきをして空気中に漂った結核菌を吸い込む「空気感染」で広がっていく。
世界保健機関(WHO)によると、2014年には世界中で960万人が新たに発病し、150万人が死亡した。感染症の中では死者の数が最も多い。また、世界人口の3分の1が感染しており、高齢化や低栄養、生活環境の悪化などで免疫が低下すると発病する。
日本では1950年代ごろまでは年間死亡者が十数万人にのぼり、「亡国病」「国民病」と呼ばれた。40年代に実用化された抗生物質「ストレプトマイシン」などの登場で、近年、死亡数は激減している。
だが、結核はもはや過去の病気とは言い切れない。結核予防会の「結核の統計」によると、昨年に結核と診断された患者は約1万8千人で、死亡者は約2千人にのぼる。患者の約6割を70歳以上が占めるが、20、30代でも年間約1千人の患者が出ている。
結核の予防接種の「BCG」は、子どもには有効だが、予防効果は十数年のため、大人への予防効果は高くないとされる。
近年、問題となっているのが、結核菌に強い「イソニアジド」と「リファンピシン」の二つの薬に耐性を持つ「多剤耐性結核」だ。日本の結核の治癒率は8割以上だが、多剤耐性結核だけを見ると、肺の一部を切除する外科治療を受けた患者を含めても、治癒率は5割程度だ。
その「多剤耐性結核」に対する治療薬が、連載に登場した女性(31)の治療にも使われた大塚製薬の「デルティバ」だ。現在、国内約20の病院で40人前後が服用しているという。
デルティバが多剤耐性結核に効果を持つのは、従来の薬の作用とは異なり、結核菌の細胞壁を構成する「ミコール酸」という脂質の生成を妨げる仕組みで殺菌効果を発揮するためだ。
大塚製薬の抗結核プロジェクトの木下(きのした)明督(みつよし)・グローバルプロジェクトコーディネーターは「世界中に45万人の多剤耐性結核の患者がいて、年間17万人が亡くなっている。そんな人々を助けたい」と話している。
<アピタル:患者を生きる・感染症>
http://www.asahi.com/apital/special/ikiru (石川雅彦)
"日本での過去の結核" が鎮静化したのは、<抗生物質「ストレプトマイシン」などの登場で、......死亡数は激減> という推移からであった。 それゆえに、<近年、問題となっているのが、結核菌に強い「イソニアジド」と「リファンピシン」の二つの薬に耐性を持つ「多剤耐性結核」だ> という "逆転的な事実!" が注視されることになるわけだ...... (2016.10.16)
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