"QOL = Quality of Life" (「生活の質」) という言葉が、医療分野で注目され、重視されるようになって久しい。 そして、今、"QOD = Quality of Death(Dying)" (「質の高い死とは」) が問われる時機到来の観がありそうな気配である。
今回注目する下記引用サイト記事 : QOD 生と死を問う 第4部 [QOD 生と死を問う] 死を語る(上)一人で逝く覚悟必要 五木寛之さん/yomiDr. ヨミドクター/2017.01.23 は、 <世界で最も高齢化が進む日本で、私たちは老いや死をどう受け止めていけばよいのか。質の高い死について考えるシリーズの第4部では、識者の言葉から、やがて訪れる「多死社会」への向き合い方を探る。初回は、戦中、戦後を通して人と死を見つめてきた作家、五木寛之さんに聞いた。(聞き手・手嶋由梨)> と報じている。
<......高齢化が騒がれているけれども、その後に、650万人の団塊の世代が一斉にこの世から退場していくわけです。大量の要介護老人と、大量の死者が周囲にあふれかえる時代がくる。 まさに未曽有の事態です。これまでの歴史で経験したことがなく、今はまだ解決法もノウハウもありませんから、手探りでやっていくしかありません。 近代は、個人としての老いや死を問題にしてきましたが、これからは社会全体でどう受け止めていくかが課題になります。政治や経済の問題だけでなく、宗教のような、集団的思想がクローズアップされるんだろうと思います。 老いや死に対して、安らかな、落ち着いた境地があるというふうに想像するのは幻想でしょう。年老いるというのは、そんなにきれいなものじゃありません。身体が次第に崩壊していく中、肩身を狭くして生きていくことなのですから。昔は高齢者が少なかったから大事にされたが、若者より高齢者の方が多くなれば、そうはいかなくなる。 ...... 多くの人が、家族との絆も薄れる中で、自らの老いや死と向き合わねばならない時代です。子や孫に囲まれて、息をひきとるようなことは、もうあり得ないと思ったほうがよいのではないか。最期は、一人でこの世を去る覚悟を持たないといけない時代でしょう。 僕は、老いさらばえていく姿を、むしろ家族に見られたくない。単独死、孤独死が、悲惨だとは思いませんね。 ◇いつき・ひろゆき 作家。1932年、福岡県生まれ。『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、『青春の門 筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞を受賞。昨年刊行された「玄冬の門」(ベスト新書)では、高齢期の生き方や最期の迎え方を説いた。
■ 推計160万人超...2030年 年間死者数 日本では戦後、寿命が延び、高齢化が急速に進んだ。現在、平均寿命は男性80歳、女性87歳。人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は26.7%(2015年)と、世界で最も高い。 高齢者が増えた後には、「多死社会」がやってくる。1年間に亡くなる人の数は、1970~80年代は70万人台だったが、15年には130万人になった。人口が多い団塊の世代(1947~49年生まれ)が全員80歳以上になる30年には、160万人を超える見通しだ。
◎QOD=Quality of Death(Dying) 「死の質」の意味> とある。
QOD 生と死を問う 第4部 [QOD 生と死を問う] 死を語る(上)一人で逝く覚悟必要 /yomiDr. ヨミドクター/2017.01.23
世界で最も高齢化が進む日本で、私たちは老いや死をどう受け止めていけばよいのか。質の高い死について考えるシリーズの第4部では、識者の言葉から、やがて訪れる「多死社会」への向き合い方を探る。初回は、戦中、戦後を通して人と死を見つめてきた作家、五木寛之さんに聞いた。(聞き手・手嶋由梨)
高齢化が騒がれているけれども、その後に、650万人の団塊の世代が一斉にこの世から退場していくわけです。大量の要介護老人と、大量の死者が周囲にあふれかえる時代がくる。まさに未曽有の事態です。これまでの歴史で経験したことがなく、今はまだ解決法もノウハウもありませんから、手探りでやっていくしかありません。
近代は、個人としての老いや死を問題にしてきましたが、これからは社会全体でどう受け止めていくかが課題になります。政治や経済の問題だけでなく、宗教のような、集団的思想がクローズアップされるんだろうと思います。
老いや死に対して、安らかな、落ち着いた境地があるというふうに想像するのは幻想でしょう。年老いるというのは、そんなにきれいなものじゃありません。身体が次第に崩壊していく中、肩身を狭くして生きていくことなのですから。昔は高齢者が少なかったから大事にされたが、若者より高齢者の方が多くなれば、そうはいかなくなる。
......
多くの人が、家族との絆も薄れる中で、自らの老いや死と向き合わねばならない時代です。子や孫に囲まれて、息をひきとるようなことは、もうあり得ないと思ったほうがよいのではないか。最期は、一人でこの世を去る覚悟を持たないといけない時代でしょう。僕は、老いさらばえていく姿を、むしろ家族に見られたくない。単独死、孤独死が、悲惨だとは思いませんね。
◇いつき・ひろゆき 作家。1932年、福岡県生まれ。『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、『青春の門 筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞を受賞。昨年刊行された「玄冬の門」(ベスト新書)では、高齢期の生き方や最期の迎え方を説いた。
■ 推計160万人超...2030年 年間死者数日本では戦後、寿命が延び、高齢化が急速に進んだ。現在、平均寿命は男性80歳、女性87歳。人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は26.7%(2015年)と、世界で最も高い。
高齢者が増えた後には、「多死社会」がやってくる。1年間に亡くなる人の数は、1970~80年代は70万人台だったが、15年には130万人になった。人口が多い団塊の世代(1947~49年生まれ)が全員80歳以上になる30年には、160万人を超える見通しだ。
◎QOD=Quality of Death(Dying) 「死の質」の意味。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
"避けることができない死" を視野に入れてこその "QOL = Quality of Life" (「生活の質」) のはずである。 とすれば、今、"QOD = Quality of Death(Dying)" (「質の高い死とは」) が問われることに何の不思議もない。 そして、"生と死" を凝視して、辛口の表現に徹する五木寛之さんの言葉が光る。
「老いや死に対して、安らかな、落ち着いた境地があるというふうに想像するのは幻想でしょう。最期は、一人でこの世を去る覚悟を持たないといけない時代でしょう。僕は、老いさらばえていく姿を、むしろ家族に見られたくない。単独死、孤独死が、悲惨だとは思いませんね」...... (2017.01.24)
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