案の定(?) とでも言う流れで、"アルツハイマー病認知症" に対する治療法、治療薬、予防薬の対策は難航し続け、"延びる寿命" という喜ばしい事態が "裏目(?)" となっている。
今回注目する下記引用サイト記事 : 延びる寿命と膨らむ治療費、アルツハイマーはいまだ謎の病 Kanoko Matsuyama、Cynthia Koons/Bloomberg/2017.07.05 - 09:20 は、 <人間の寿命が延び、世界の平均寿命は2000年時点より5歳延びて71歳を超えている。だが、高齢化に伴う最大の疾患の一つであるアルツハイマー型認知症をどのように克服するかは、まだ解明されていない。脳を萎縮させるこの進行性の病は、公衆保健上世界最大の課題の一つに浮上している。研究でアルツハイマー型認知症の前兆が初めて確認されてから1世紀以上たっても、その症状の治療薬はまだ少なく、回復に向かわせる薬どころか、進行を遅らせる薬すらない。研究者は、認知症患者は世界全体で4680万人に上り、最大80%の病因がアルツハイマー型と推計している。予防や治療で医療上の突破口が見つからない限り、患者数は20年ごとに約2倍のペースで増加すると予想される。15年時点の認知症患者の治療費は約8180億ドルと推計されるが、これは世界の年経済生産の約1%に相当する> と解説している。
<......対策に取り組んでいる製薬会社は、かねてより、アルツハイマー患者の脳内に凝集するアミロイドタンパク質を標的にしてきたが、研究者は、アミロイドタンパク質がアルツハイマー型認知症を引き起こすのか、あるいは小さな誘因の一つなのかを解明していない。アミロイドタンパク質を標的にする医薬品の臨床試験結果は期待外れで、ごく軽度のアルツハイマー型認知症患者を対象とする試験に開発会社を傾かせている。その一方、新たな取り組み、特にタウタンパク質と呼ばれる異常型タンパク質に照準を合わせた取り組みへの関心が高まっている。アルツハイマー型認知症が進行するにつれ、タウタンパク質が脳内にまん延し絡み合って蓄積し、脳細胞を死滅させる。タウタンパク質を標的にした戦略の臨床試験を行っている製薬会社は、イーライリリー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、バイオジェン、アッヴィ、タウRxファーマシューティカルズなどだ。 背 景 ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマー医師が、1906年に初めて認知症と脳組織内のタンパク質の異常な蓄積を結び付けて考えた。後にアルツハイマー医師にちなんで名付けられたアルツハイマー型認知症の症状、原因、リスク因子、および治療に関する研究は、おおむねここ30年で行われているが、正確な化学構造はいまだにほとんど不明だ。通常、60代半ばになって初めて症状が現れる。ごく最近まで、特定の患者に対して医師ができるのは、アミロイドタンパク質が蓄積していないか患者の脳組織を検査することだけだった。検査時に患者は既に死亡していたため、特に役には立たなかった。ところが2012年に画期的な進展があった。米食品医薬品局(FDA)が、プラークを検出するためのスキャンで染料を使用することを認め、高い信頼性を持つ生体診断が初めて可能となった。スキャンすれば、医師は認知症の進行に伴う蓄積の増加状況を追跡調査すること、および患者の一部親族で、典型的な発症の約20年前から蓄積し始めることを観察できた。また、スキャンにより、他の型の認知症患者を医薬品の臨床試験から外して、より信頼性が高い試験結果を出すと同時に、プラークを使って医薬品の有効性を測定できた。 論 争 治療法を欠く中、20を超える国の政府が正式な認知症対策を明示している。それには、研究費の増額や在宅治療センターの開設、緩和策にすぎないという認識を高める取り組み、介護者向け倫理ガイドラインの立案などが含まれており、フランスが欧州で初めて、2001年に対策を発表した。米国も自国版を12年に発表した。アルツハイマー病対策を訴える団体は、心臓病やがんなど死亡者数がより多い他の疾患の関連団体と資源の確保で競い合っている。財源の問題は文化面の問題と重なる部分が多く、中国では、親孝行という儒教的価値観に従って、大半の患者が在宅治療を受けており、それが家族の負担になっているケースが多い。日本では、社会福祉制度の限界と高齢者介護義務が対立する事態になると懸念されている。米国では、アルツハイマー型認知症の妻をレイプしたとして夫が起訴された件を巡って、性行為の同意・不同意の問題で社会が揺れている。ターメリックや緑茶を用いた治療で行動面の改善が認められたと報告する研究に対しては、怪しい食事療法ではないかという懐疑的な声もあがっている。また、アルツハイマー型認知症に対する悪いイメージも懸念される。米国のカントリー歌手であるグレン・キャンベルは、自身のアルツハイマー型認知症との格闘を公表することでそうしたイメージと闘いたいと発言している。また、米国の女優であるジュリアン・ムーアは、「アリスのままで(原題:Still Alice)」という映画で、比較的若く魅力的なアルツハイマー型認知症患者を演じ、アカデミー賞主演女優賞を受賞した。 原題:Alzheimer Plague Is Price of Victory in War on Death: QuickTake(抜粋)> とある。
延びる寿命と膨らむ治療費、アルツハイマーはいまだ謎の病 Kanoko Matsuyama、Cynthia Koons/Bloomberg/2017.07.05 - 09:20
人間の寿命が延び、世界の平均寿命は2000年時点より5歳延びて71歳を超えている。だが、高齢化に伴う最大の疾患の一つであるアルツハイマー型認知症をどのように克服するかは、まだ解明されていない。脳を萎縮させるこの進行性の病は、公衆保健上世界最大の課題の一つに浮上している。研究でアルツハイマー型認知症の前兆が初めて確認されてから1世紀以上たっても、その症状の治療薬はまだ少なく、回復に向かわせる薬どころか、進行を遅らせる薬すらない。研究者は、認知症患者は世界全体で4680万人に上り、最大80%の病因がアルツハイマー型と推計している。予防や治療で医療上の突破口が見つからない限り、患者数は20年ごとに約2倍のペースで増加すると予想される。15年時点の認知症患者の治療費は約8180億ドルと推計されるが、これは世界の年経済生産の約1%に相当する。
状 況対策に取り組んでいる製薬会社は、かねてより、アルツハイマー患者の脳内に凝集するアミロイドタンパク質を標的にしてきたが、研究者は、アミロイドタンパク質がアルツハイマー型認知症を引き起こすのか、あるいは小さな誘因の一つなのかを解明していない。アミロイドタンパク質を標的にする医薬品の臨床試験結果は期待外れで、ごく軽度のアルツハイマー型認知症患者を対象とする試験に開発会社を傾かせている。その一方、新たな取り組み、特にタウタンパク質と呼ばれる異常型タンパク質に照準を合わせた取り組みへの関心が高まっている。アルツハイマー型認知症が進行するにつれ、タウタンパク質が脳内にまん延し絡み合って蓄積し、脳細胞を死滅させる。タウタンパク質を標的にした戦略の臨床試験を行っている製薬会社は、イーライリリー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、バイオジェン、アッヴィ、タウRxファーマシューティカルズなどだ。
背 景
ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマー医師が、1906年に初めて認知症と脳組織内のタンパク質の異常な蓄積を結び付けて考えた。後にアルツハイマー医師にちなんで名付けられたアルツハイマー型認知症の症状、原因、リスク因子、および治療に関する研究は、おおむねここ30年で行われているが、正確な化学構造はいまだにほとんど不明だ。通常、60代半ばになって初めて症状が現れる。ごく最近まで、特定の患者に対して医師ができるのは、アミロイドタンパク質が蓄積していないか患者の脳組織を検査することだけだった。検査時に患者は既に死亡していたため、特に役には立たなかった。ところが2012年に画期的な進展があった。米食品医薬品局(FDA)が、プラークを検出するためのスキャンで染料を使用することを認め、高い信頼性を持つ生体診断が初めて可能となった。スキャンすれば、医師は認知症の進行に伴う蓄積の増加状況を追跡調査すること、および患者の一部親族で、典型的な発症の約20年前から蓄積し始めることを観察できた。また、スキャンにより、他の型の認知症患者を医薬品の臨床試験から外して、より信頼性が高い試験結果を出すと同時に、プラークを使って医薬品の有効性を測定できた。
論 争
治療法を欠く中、20を超える国の政府が正式な認知症対策を明示している。それには、研究費の増額や在宅治療センターの開設、緩和策にすぎないという認識を高める取り組み、介護者向け倫理ガイドラインの立案などが含まれており、フランスが欧州で初めて、2001年に対策を発表した。米国も自国版を12年に発表した。アルツハイマー病対策を訴える団体は、心臓病やがんなど死亡者数がより多い他の疾患の関連団体と資源の確保で競い合っている。財源の問題は文化面の問題と重なる部分が多く、中国では、親孝行という儒教的価値観に従って、大半の患者が在宅治療を受けており、それが家族の負担になっているケースが多い。日本では、社会福祉制度の限界と高齢者介護義務が対立する事態になると懸念されている。米国では、アルツハイマー型認知症の妻をレイプしたとして夫が起訴された件を巡って、性行為の同意・不同意の問題で社会が揺れている。ターメリックや緑茶を用いた治療で行動面の改善が認められたと報告する研究に対しては、怪しい食事療法ではないかという懐疑的な声もあがっている。また、アルツハイマー型認知症に対する悪いイメージも懸念される。米国のカントリー歌手であるグレン・キャンベルは、自身のアルツハイマー型認知症との格闘を公表することでそうしたイメージと闘いたいと発言している。また、米国の女優であるジュリアン・ムーアは、「アリスのままで(原題:Still Alice)」という映画で、比較的若く魅力的なアルツハイマー型認知症患者を演じ、アカデミー賞主演女優賞を受賞した。
原題:Alzheimer Plague Is Price of Victory in War on Death: QuickTake(抜粋)
<高齢化に伴う最大の疾患の一つであるアルツハイマー型認知症をどのように克服するかは、まだ解明されていない。脳を萎縮させるこの進行性の病は、公衆保健上世界最大の課題の一つに浮上している> とあるが、いまや、人類の未来を脅かす病という点では、"がん" を凌駕しているのかもしれない...... (2017.07.06)
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