がん治療の一環として、"がん腫瘍内の血管新生" を阻止するというアプローチが、かねてより試みられている。
"血管新生" の阻止とは、"がん腫瘍" に栄養を供給するために新しく血管が形成されてしまうことを阻止するというものであり、いわば "がん腫瘍" に対する "兵糧攻め" とも言える治療なのである。
◆ 参照 当誌過去の "血管新生" 関連記事
(1) <岡山大学の妹尾昌治教授らの研究グループは、がん幹細胞が血管の細胞へ分化して腫瘍内で血管系を形成することを世界で初めて証明した。効果的な制がん剤開発につながると期待される......> ( "がん幹細胞"による腫瘍内血管系の形成を世界初証明!効果的な制がん剤開発に(岡山大)/当誌 2016.10.05 )
(2) <"がん組織" は、自らの増殖のために "毛細血管" を作り出す( "血管新生" )と見られている。 そこで、この動きを封じることを "がん治療" の有効な方法と考える研究も進められている。> ( "新たな血管の形成"に関わる"特定の酵素"を働かなくして、"がんの転移"抑制!(近畿大)/当誌 2016.01.10 )
今回注目する下記引用サイト記事 : がんに栄養送らせない/肺がん治療最前線/日刊スポーツ/2017.08.15 - 07:57 は、 <肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。 【 血管新生阻害薬って何? 】 がんが大きくなって腫瘤(しゅりゅう)を形成するには、がん細胞に栄養や酸素を送り込む血管が必要になります。このような腫瘍血管などが新たにできることを血管新生といい、この血管の新生を阻害する薬が、血管新生阻害薬で分子標的薬の1つです。 また、血管新生阻害薬は新生された腫瘍血管を正常化し、併用する抗がん剤の腫瘍組織への移行を良くすることにより抗がん剤の作用を増強するといわれています> と解説している。
<......日本では血管内皮増殖因子(VEGF)に対する抗体であるアバスチンと、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-2)に対する抗体であるサイラムザが、非小細胞肺がんに対して承認されています。いずれの薬も、カルボプラチンとパクリタキセルやドセタキセルなどの化学療法と併用すると、抗腫瘍効果が増強します。 血管新生阻害薬を化学療法と併用することにより、腫瘍が縮小する割合、病気が悪化せずに生存できる期間、生存期間ともに向上することが示されていますが、副作用も増強します。アバスチンは肺からの出血の危険性があり、扁平(へんぺい)上皮がんの患者さんには使用できません。血管新生阻害薬を併用すると抗がん剤の副作用である白血球減少、血小板減少、貧血などの血液毒性が少し増強します。それ以外の血管新生阻害薬による副作用として、出血、高血圧、タンパク尿、腸管穿孔(せんこう)、血栓塞栓(そくせん)症などが出現する可能性があります。 特に高齢の患者さんの場合は、担当医とよく相談の上、血管新生阻害薬を併用するかどうかを決めてください。 ◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。柔道6段。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本体育協会公認スポーツドクターでもある。> とある。
がんに栄養送らせない/肺がん治療最前線/日刊スポーツ/2017.08.15 - 07:57
肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。
【 血管新生阻害薬って何? 】
がんが大きくなって腫瘤(しゅりゅう)を形成するには、がん細胞に栄養や酸素を送り込む血管が必要になります。このような腫瘍血管などが新たにできることを血管新生といい、この血管の新生を阻害する薬が、血管新生阻害薬で分子標的薬の1つです。
また、血管新生阻害薬は新生された腫瘍血管を正常化し、併用する抗がん剤の腫瘍組織への移行を良くすることにより抗がん剤の作用を増強するといわれています。
日本では血管内皮増殖因子(VEGF)に対する抗体であるアバスチンと、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-2)に対する抗体であるサイラムザが、非小細胞肺がんに対して承認されています。いずれの薬も、カルボプラチンとパクリタキセルやドセタキセルなどの化学療法と併用すると、抗腫瘍効果が増強します。
血管新生阻害薬を化学療法と併用することにより、腫瘍が縮小する割合、病気が悪化せずに生存できる期間、生存期間ともに向上することが示されていますが、副作用も増強します。アバスチンは肺からの出血の危険性があり、扁平(へんぺい)上皮がんの患者さんには使用できません。血管新生阻害薬を併用すると抗がん剤の副作用である白血球減少、血小板減少、貧血などの血液毒性が少し増強します。それ以外の血管新生阻害薬による副作用として、出血、高血圧、タンパク尿、腸管穿孔(せんこう)、血栓塞栓(そくせん)症などが出現する可能性があります。
特に高齢の患者さんの場合は、担当医とよく相談の上、血管新生阻害薬を併用するかどうかを決めてください。
◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。柔道6段。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本体育協会公認スポーツドクターでもある。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
眼を向けなければならないのは、<腫瘍が縮小する割合、病気が悪化せずに生存できる期間、生存期間ともに向上することが示されていますが、副作用も増強します。アバスチンは肺からの出血の危険性があり、扁平(へんぺい)上皮がんの患者さんには使用できません。血管新生阻害薬を併用すると抗がん剤の副作用である白血球減少、血小板減少、貧血などの血液毒性が少し増強します。それ以外の血管新生阻害薬による副作用として、......> に違いないと思われる。 今後の検証が待たれる...... (2017.08.16)
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