今回注目する下記引用サイト記事 : 大腸がん予防 内視鏡検査で新方針 ポリープ 小さくても切除/中日新聞/2018.07.10 は、 <日本では肺がんに次いで死亡数が多い大腸がんの予防のため、内視鏡検査時に行われるポリープ切除。ポリープが小さい場合は切除はせず経過観察とされてきたが、ここ数年、新たな技法で、小さなものも含めすべて切除する方針が一部の総合病院やクリニックで取られるようになってきた。効果を疑問視する声もあるが、切除したポリープからがんが見つかることがあるほか、切除後は当面、検査を受ける必要がなくなるなどのメリットがある。 (小中寿美)> と報じている。
<......ポリープ全切除の方針を四年前から取り入れている国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市中区)では、大腸内視鏡検査を受ける患者に事前に方針を説明。検査を受けるのは、便潜血検査で陽性反応が出た人や、下痢などの症状がある人で、二~三人に一人の割合でポリープが見つかっているという。 前日から検査用の食事や下剤を服用し、当日も腸管をきれいにする洗浄液を約二リットル飲む。内視鏡を挿入する際に痛みを感じる人もおり、楽な検査ではない。 六月中旬に初めて検査を受けた市内の女性(74)は、ポリープ一個が見つかり切除した。「取れて安心した」。経過観察の場合は年一回の検査を指導されることが多いが、次は三年後と聞いてホッとした様子だった。 ポリープの切除は、内視鏡の先端から器具を出して行う。医療連携部長で消化器内科の岩瀬弘明さん(64)によると、これまでは器具に電気メスを使い、高周波電流を流して焼いて切り取っていた。痛みは感じないものの、やけどした状態になり、出血や腸管に穴が開くなどの合併症が5~10%の確率で起きる。合併症を予防する点滴治療や症状が出た場合の対応のため、原則として二泊三日の入院が必要だった。 こうしたリスクや負担を踏まえ、がんになる可能性が低い小さなポリープは切除せず経過観察としていた。日本消化器病学会が編集した大腸ポリープの診療ガイドライン(二〇一四年)は、六ミリ以上は切除、五ミリ以下の隆起したポリープは経過観察を推奨している。 しかし近年、高周波電流を使わず、スネアと呼ばれる輪の形のワイヤで締め付けて切り取る「コールドポリペクトミー」という技法が新たに開発され、状況は大きく変わった。 痛みがないのは従来と同じで、やけどにならず合併症が起きにくいため日帰りでの切除が可能になった。これを受け、同センターは技法を導入。見つかったポリープは小さくてもすべて切除することにした。 今年四月までにコールドポリペクトミーで切除を行ったのは延べ千三百人。切り取ったポリープは二千八百個に上る。腹痛や発熱、血便などの合併症が1%あったが、治療が必要になったのはわずか0・3%。「良好な結果。患者の負担は少なく、切除後にがんが発生した人は今のところ一人もいない」と岩瀬さん。切除したポリープはすべて一センチ未満で、組織を調べた結果、既にがんになっていたケースが二十一人にあったという。 ◇ 慎重論 根強く 治療の方針転換を後押ししたのは、米国で約十年かけて行われた臨床研究。ポリープを全切除した人は、76~90%が大腸がんにかからず、かかった場合でも死亡数を減らす効果があったと報告された。 ただ、国内では研究が始まったばかり。ポリープ全切除の効果はまだ分からないとして慎重論も根強い。 愛知県がんセンター中央病院(同市千種区)は六ミリ以上のポリープを切除している。内視鏡部の田近正洋部長(53)は、五ミリ以下を対象としない理由を「欧米では切除するのが主流だが、小さなポリープががんになるとは限らず、経過観察で十分では」と説明する。 一方、岩瀬さんは「大腸がんの多くがポリープから発症することは分かっており、すべてのポリープを取れば、予防につながるのはある意味当然。もっと普及してほしい」と話している> とある。
大腸がん予防 内視鏡検査で新方針 ポリープ 小さくても切除/中日新聞/2018.07.10
合併症少ない技術導入 陽性の例も
日本では肺がんに次いで死亡数が多い大腸がんの予防のため、内視鏡検査時に行われるポリープ切除。ポリープが小さい場合は切除はせず経過観察とされてきたが、ここ数年、新たな技法で、小さなものも含めすべて切除する方針が一部の総合病院やクリニックで取られるようになってきた。効果を疑問視する声もあるが、切除したポリープからがんが見つかることがあるほか、切除後は当面、検査を受ける必要がなくなるなどのメリットがある。 (小中寿美)
ポリープ全切除の方針を四年前から取り入れている国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市中区)では、大腸内視鏡検査を受ける患者に事前に方針を説明。検査を受けるのは、便潜血検査で陽性反応が出た人や、下痢などの症状がある人で、二~三人に一人の割合でポリープが見つかっているという。
前日から検査用の食事や下剤を服用し、当日も腸管をきれいにする洗浄液を約二リットル飲む。内視鏡を挿入する際に痛みを感じる人もおり、楽な検査ではない。六月中旬に初めて検査を受けた市内の女性(74)は、ポリープ一個が見つかり切除した。「取れて安心した」。経過観察の場合は年一回の検査を指導されることが多いが、次は三年後と聞いてホッとした様子だった。
ポリープの切除は、内視鏡の先端から器具を出して行う。医療連携部長で消化器内科の岩瀬弘明さん(64)によると、これまでは器具に電気メスを使い、高周波電流を流して焼いて切り取っていた。痛みは感じないものの、やけどした状態になり、出血や腸管に穴が開くなどの合併症が5~10%の確率で起きる。合併症を予防する点滴治療や症状が出た場合の対応のため、原則として二泊三日の入院が必要だった。
こうしたリスクや負担を踏まえ、がんになる可能性が低い小さなポリープは切除せず経過観察としていた。日本消化器病学会が編集した大腸ポリープの診療ガイドライン(二〇一四年)は、六ミリ以上は切除、五ミリ以下の隆起したポリープは経過観察を推奨している。
しかし近年、高周波電流を使わず、スネアと呼ばれる輪の形のワイヤで締め付けて切り取る「コールドポリペクトミー」という技法が新たに開発され、状況は大きく変わった。
痛みがないのは従来と同じで、やけどにならず合併症が起きにくいため日帰りでの切除が可能になった。これを受け、同センターは技法を導入。見つかったポリープは小さくてもすべて切除することにした。
今年四月までにコールドポリペクトミーで切除を行ったのは延べ千三百人。切り取ったポリープは二千八百個に上る。腹痛や発熱、血便などの合併症が1%あったが、治療が必要になったのはわずか0・3%。「良好な結果。患者の負担は少なく、切除後にがんが発生した人は今のところ一人もいない」と岩瀬さん。切除したポリープはすべて一センチ未満で、組織を調べた結果、既にがんになっていたケースが二十一人にあったという。
◇慎重論 根強く
治療の方針転換を後押ししたのは、米国で約十年かけて行われた臨床研究。ポリープを全切除した人は、76~90%が大腸がんにかからず、かかった場合でも死亡数を減らす効果があったと報告された。
ただ、国内では研究が始まったばかり。ポリープ全切除の効果はまだ分からないとして慎重論も根強い。
愛知県がんセンター中央病院(同市千種区)は六ミリ以上のポリープを切除している。内視鏡部の田近正洋部長(53)は、五ミリ以下を対象としない理由を「欧米では切除するのが主流だが、小さなポリープががんになるとは限らず、経過観察で十分では」と説明する。
一方、岩瀬さんは「大腸がんの多くがポリープから発症することは分かっており、すべてのポリープを取れば、予防につながるのはある意味当然。もっと普及してほしい」と話している。
"ポリープ全切除" 方針への移行の流れは、<近年、高周波電流を使わず、スネアと呼ばれる輪の形のワイヤで締め付けて切り取る「コールドポリペクトミー」という技法が新たに開発> されて、"合併症" が回避できるようになったことや、<米国で約十年かけて行われた臨床研究。ポリープを全切除した人は、76~90%が大腸がんにかからず、かかった場合でも死亡数を減らす効果があった> との報告などに負っている、という...... (2018.07.13)
コメントする