今回注目する下記引用サイト記事 : がん免疫チェックポイント阻害剤、副作用の対応が課題 大岩ゆり/朝日新聞/2018.08.08 - 06:00 は、 <がん細胞が免疫にかけているブレーキを解除して、免疫の攻撃力を取り戻す「免疫チェックポイント阻害剤(薬)」は、4年前に国内で最初に発売されて以降、種類も対象となるがんも増えた。一方、副作用が従来の抗がん剤と異なるため、患者や家族への注意喚起や、がん治療にかかわることの少なかった診療科との連携が重要になっている> と報じている。
<......東京在住の男性(81)は2016年12月、歯科の受診がきっかけで上あご歯肉に悪性黒色腫(皮膚がん)が見つかった。上あごを全摘する手術は体調などから難しいと判断され、都立駒込病院(東京都文京区)で免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」の治療を受けることになった。 17年4月、入院して最初の点滴投与を受けた。男性は妻(74)と一緒に、起こる可能性がある副作用や副作用に伴う体調変化について詳しく教わった。2回目の投与からは外来で行うため、看護師らから「こんな症状が出たらすぐに病院に連絡して下さいね」と、息苦しさや発熱など20項目以上の体調変化を記録する手帳も渡された。 2週間ごとの投与を13回受けた10月、治療前に真っ黒だった上あごの歯肉が肌色に戻った。が、妻は、夫の食欲が低下し、だるそうな顔をしているのが気になり、主治医の吉野公二・皮膚腫瘍(しゅよう)科部長に相談した。 血圧や血糖値などを調整する副腎に障害が起き、副腎からホルモンが出なくなっていた。気づくのが早かったので重い症状には至らず、オプジーボの投与も1回休んだだけで継続できた。今もホルモン補充療法を続けながらオプジーボ投与も受けている。「2年前より体重が約4キロ増え、体調がいい」と男性は話す。 従来の抗がん剤は種類によっては、がん細胞のほかに正常な細胞も攻撃してしまい、正常な細胞が傷ついて副作用が生じる。ただ、毛根や腸など傷ついた細胞の周期に応じて、3週目以降に脱毛など、いつどのような症状が起きるかほぼ予測できる。 これに対し免疫チェックポイント阻害剤は、著しい効果を発揮するケースがある一方、従来にない形で副作用が生じることがある。免疫ががん以外の細胞も攻撃してしまい、自己免疫疾患のような症状が出る患者がいるのだ。 「いつ、どこに、どんな障害が起きるのか予測が難しい。投与後1年以上経って起こることもある」と吉野さんは指摘。早期発見、早期治療が重要で、「患者さんや家族は体調の変化に敏感になってもらいたい」と訴える。 日本で承認を受けた免疫チェックポイント阻害剤は6種類。対象のがんも悪性黒色腫や非小細胞肺、腎細胞、頭頸部(とうけいぶ)、胃のがんなどに広がった。国内では最も早い14年に販売が始まったオプジーボだと、重篤な有害事象(副作用)は今年6月末までに6149件報告があった。発生頻度は従来の抗がん剤より低いが、種類は間質性肺炎、大腸炎、劇症1型糖尿病、副腎や甲状腺などの内分泌機能障害、重症筋無力症など多岐にわたる。 このため、主にがん治療を担う皮膚科や呼吸器内科、腫瘍内科などに加え、副作用への対応で協力が必要な診療科や看護部、薬剤部などがチームを作って治療する病院も増えている。 九州大学病院(福岡市)は16年、免疫チェックポイント阻害剤の委員会を立ち上げた。呼びかけ人の中西洋一教授(呼吸器科)は「自分の専門外の領域で起こる副作用の最低限の知識を持ってもらい、複数の診療科がスムーズに連携して迅速に対応できるようにするのが狙い」と説明する。 委員会は、副作用ごとに検査や治療の流れをまとめた対応ガイドを作った。患者が来院時、がん看護外来の坂本節子がん専門看護師らが詳しく体調を聞き取って重症度を国際標準に従って数値で評価、調査表に記入して外来の診療室や化学療法室に持参してもらう。 「調査表は一目で見てわかるので、忙しい医師や薬剤師と、患者の体調についてきちんと情報が共有できる」と坂本さんは話す。 今後、複数の免疫チェックポイント阻害剤の併用や、既存の抗がん剤などとの併用も広がる見込み。中西さんは新たな副作用が起こる可能性があるとして、「病院全体で速やかに対応する体制が一層、必要だ」と強調する。 <アピタル:もっと医療面・がん> http://www.asahi.com/apital/healthguide/iryou/ (大岩ゆり)> とある。
がん免疫チェックポイント阻害剤、副作用の対応が課題 大岩ゆり/朝日新聞/2018.08.08 - 06:00
がん細胞が免疫にかけているブレーキを解除して、免疫の攻撃力を取り戻す「免疫チェックポイント阻害剤(薬)」は、4年前に国内で最初に発売されて以降、種類も対象となるがんも増えた。一方、副作用が従来の抗がん剤と異なるため、患者や家族への注意喚起や、がん治療にかかわることの少なかった診療科との連携が重要になっている。
東京在住の男性(81)は2016年12月、歯科の受診がきっかけで上あご歯肉に悪性黒色腫(皮膚がん)が見つかった。上あごを全摘する手術は体調などから難しいと判断され、都立駒込病院(東京都文京区)で免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」の治療を受けることになった。
17年4月、入院して最初の点滴投与を受けた。男性は妻(74)と一緒に、起こる可能性がある副作用や副作用に伴う体調変化について詳しく教わった。2回目の投与からは外来で行うため、看護師らから「こんな症状が出たらすぐに病院に連絡して下さいね」と、息苦しさや発熱など20項目以上の体調変化を記録する手帳も渡された。
2週間ごとの投与を13回受けた10月、治療前に真っ黒だった上あごの歯肉が肌色に戻った。が、妻は、夫の食欲が低下し、だるそうな顔をしているのが気になり、主治医の吉野公二・皮膚腫瘍(しゅよう)科部長に相談した。
血圧や血糖値などを調整する副腎に障害が起き、副腎からホルモンが出なくなっていた。気づくのが早かったので重い症状には至らず、オプジーボの投与も1回休んだだけで継続できた。今もホルモン補充療法を続けながらオプジーボ投与も受けている。「2年前より体重が約4キロ増え、体調がいい」と男性は話す。
従来の抗がん剤は種類によっては、がん細胞のほかに正常な細胞も攻撃してしまい、正常な細胞が傷ついて副作用が生じる。ただ、毛根や腸など傷ついた細胞の周期に応じて、3週目以降に脱毛など、いつどのような症状が起きるかほぼ予測できる。
これに対し免疫チェックポイント阻害剤は、著しい効果を発揮するケースがある一方、従来にない形で副作用が生じることがある。免疫ががん以外の細胞も攻撃してしまい、自己免疫疾患のような症状が出る患者がいるのだ。
「いつ、どこに、どんな障害が起きるのか予測が難しい。投与後1年以上経って起こることもある」と吉野さんは指摘。早期発見、早期治療が重要で、「患者さんや家族は体調の変化に敏感になってもらいたい」と訴える。
日本で承認を受けた免疫チェックポイント阻害剤は6種類。対象のがんも悪性黒色腫や非小細胞肺、腎細胞、頭頸部(とうけいぶ)、胃のがんなどに広がった。国内では最も早い14年に販売が始まったオプジーボだと、重篤な有害事象(副作用)は今年6月末までに6149件報告があった。発生頻度は従来の抗がん剤より低いが、種類は間質性肺炎、大腸炎、劇症1型糖尿病、副腎や甲状腺などの内分泌機能障害、重症筋無力症など多岐にわたる。
このため、主にがん治療を担う皮膚科や呼吸器内科、腫瘍内科などに加え、副作用への対応で協力が必要な診療科や看護部、薬剤部などがチームを作って治療する病院も増えている。
九州大学病院(福岡市)は16年、免疫チェックポイント阻害剤の委員会を立ち上げた。呼びかけ人の中西洋一教授(呼吸器科)は「自分の専門外の領域で起こる副作用の最低限の知識を持ってもらい、複数の診療科がスムーズに連携して迅速に対応できるようにするのが狙い」と説明する。
委員会は、副作用ごとに検査や治療の流れをまとめた対応ガイドを作った。患者が来院時、がん看護外来の坂本節子がん専門看護師らが詳しく体調を聞き取って重症度を国際標準に従って数値で評価、調査表に記入して外来の診療室や化学療法室に持参してもらう。
「調査表は一目で見てわかるので、忙しい医師や薬剤師と、患者の体調についてきちんと情報が共有できる」と坂本さんは話す。
今後、複数の免疫チェックポイント阻害剤の併用や、既存の抗がん剤などとの併用も広がる見込み。中西さんは新たな副作用が起こる可能性があるとして、「病院全体で速やかに対応する体制が一層、必要だ」と強調する。
<アピタル:もっと医療面・がん>
http://www.asahi.com/apital/healthguide/iryou/ (大岩ゆり)
<免疫チェックポイント阻害剤は、著しい効果を発揮するケースがある一方、従来にない形で副作用が生じることがある。免疫ががん以外の細胞も攻撃してしまい、自己免疫疾患のような症状が出る患者がいるのだ。......「いつ、どこに、どんな障害が起きるのか予測が難しい。投与後1年以上経って起こることもある」> と。
このため、<主にがん治療を担う皮膚科や呼吸器内科、腫瘍内科などに加え、副作用への対応で協力が必要な診療科や看護部、薬剤部などがチームを作って治療する> ことが肝要だとされる...... (2018.08.09)
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