今回注目する下記引用サイト記事 : 約1万6千人が認知症で行方不明 家族だけで探すのが危険なワケ/AERA dot./2018.09.28 - 07:00 は、 <認知症による行方不明者が増え続けている。早期発見や行方不明の予防のため、本人や家族だけでなく、地域の住民や事業者も取り組めることがある。医療ジャーナリストの福原麻希氏が、全国調査で明らかになった実態などをもとに報告する。 ―― 中略 ―― 警察庁によると、2017年の行方不明者は約8万5千人。うち認知症(またはその疑い)の人は約2割の約1万6千人。9割は70歳以上だった。470人の死亡が確認され、200人余りは生死不明。「どこかで生きていて」。そう願い続ける家族が各地にいる> と解説している。
<......行方不明者は「名前も住所も言えないほどの認知症」と思うかもしれない。しかし、東京都健康長寿医療センター研究所の「認知症の徘徊による行方不明者の実態調査」をみると、そうとは限らないとわかる。 認知症の進み具合の評価法「FAST」でみると、論文で分析対象となった行方不明者の4分の1は、7段階の3以下(正常と認知症の境界状態以下)だった。 つまり、認知症と診断される前の段階から行方不明になる可能性が明らかになった。 論文では、生存者と死亡者に分けて分析しており、以下の三つの実態が明らかになった。 (1)生存者は普段の移動範囲より遠く(含む他県)で見つかることが多い。2日目までに約9割が見つかった。 死亡者は生活圏内で見つかる事例が半数ほど。推定死亡時期は当日約4割、4日目までで7割に達した。 (2)死因は溺死約4割、低体温症約3割、事故約1割、病気約1割だった。 (3)見つけた人は捜索関係者が半数、それ以外の偶然見つけた人が半数だった。 認知症やその疑いのある人が行方不明になったとき、家族だけで捜そう、翌日まで待ってから警察に届けを出そうとする人がいる。だが、調査結果の「死亡者の約4割が当日亡くなる」「生存者は2日目までに他県を含めて約9割見つかる」可能性は、当日の警察と地域を巻き込んだ捜索が、いかに重要かわかる。 調査論文の著者で、研究所の福祉と生活ケア研究チームの菊地和則さん(社会福祉士)はこう話す。 「普段移動する範囲より遠方で見つかる人は、公共交通機関やタクシーに乗った可能性がある。その場合は周囲の目に触れ、保護されやすくなると考えます。また、認知症が軽度な場合は身の危険を回避しながら歩き続けますが、重症だと行方不明後すぐに事件や事故に巻き込まれる可能性があるのでしょう」 溺死は、生活圏内の池・川・用水路などでの事故が考えられる。低体温症は寒い地方だけでなく、歩き回って身体が疲弊して体温が奪われることでも起こる。 社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センター研究部の永田久美子部長はこう指摘する。 「雨風をしのぐため、店舗の裏側や資材置き場、神社の境内で見つかった人もいます。歩き疲れてひと休みするとき、人目につかないところに入るからでしょう」 人気のない藪の中や、自宅敷地の裏側で遺体が見つかった事例も。認知症の人は捜索者が思いも寄らぬ場所へと入り込み、出られなくなっていることもある。 身元不明者が病気や外傷で病院に運ばれた場合、病院が役所に生活保護を申請することが多い。この際、生活保護課の身元不明者リストに名前が載ることもある。高齢者施設が地域の一時救護施設に指定され、保護されることもある。警視庁は毎年9月、身元不明・行方不明者相談所を設置している。 認知症の人が外を歩くことはこれまで「徘徊」と呼ばれ、あてもなくウロウロ歩き回ると思われていた。しかし、実際は違うと考えられている。 何かを思い出して目的地に向かう途中、何をしようとしていたかを忘れたり、風景が記憶と異なって混乱したりする。それで道に迷う。徘徊とは呼ばず、「ひとり歩き」と表現を変える動きもある。 ―― 以下略 ―― > とある。
約1万6千人が認知症で行方不明 家族だけで探すのが危険なワケ/AERA dot./2018.09.28 - 07:00
認知症による行方不明者が増え続けている。早期発見や行方不明の予防のため、本人や家族だけでなく、地域の住民や事業者も取り組めることがある。医療ジャーナリストの福原麻希氏が、全国調査で明らかになった実態などをもとに報告する。
神奈川県内に住む80代女性は今春、昼2時ごろに家を出たきり姿が見えなくなった。自宅からわずか200メートル先のコンビニへ出かけたはず、だった。
女性は軽度の認知症があり、要介護2(日常生活の動作で部分的な介助が必要)の認定を受けていた。外出時のカバンには、運転免許証を返納したときの運転経歴証明書と夫の名刺を入れている。普段はGPS機能つき携帯電話を持ち歩くが、この日は近場への外出のため、置いていった。
警察庁によると、2017年の行方不明者は約8万5千人。うち認知症(またはその疑い)の人は約2割の約1万6千人。9割は70歳以上だった。470人の死亡が確認され、200人余りは生死不明。「どこかで生きていて」。そう願い続ける家族が各地にいる。
行方不明者は「名前も住所も言えないほどの認知症」と思うかもしれない。しかし、東京都健康長寿医療センター研究所の「認知症の徘徊による行方不明者の実態調査」をみると、そうとは限らないとわかる。
認知症の進み具合の評価法「FAST」でみると、論文で分析対象となった行方不明者の4分の1は、7段階の3以下(正常と認知症の境界状態以下)だった。
つまり、認知症と診断される前の段階から行方不明になる可能性が明らかになった。
論文では、生存者と死亡者に分けて分析しており、以下の三つの実態が明らかになった。
(1)生存者は普段の移動範囲より遠く(含む他県)で見つかることが多い。2日目までに約9割が見つかった。 死亡者は生活圏内で見つかる事例が半数ほど。推定死亡時期は当日約4割、4日目までで7割に達した。
(2)死因は溺死約4割、低体温症約3割、事故約1割、病気約1割だった。
(3)見つけた人は捜索関係者が半数、それ以外の偶然見つけた人が半数だった。
認知症やその疑いのある人が行方不明になったとき、家族だけで捜そう、翌日まで待ってから警察に届けを出そうとする人がいる。だが、調査結果の「死亡者の約4割が当日亡くなる」「生存者は2日目までに他県を含めて約9割見つかる」可能性は、当日の警察と地域を巻き込んだ捜索が、いかに重要かわかる。
調査論文の著者で、研究所の福祉と生活ケア研究チームの菊地和則さん(社会福祉士)はこう話す。
「普段移動する範囲より遠方で見つかる人は、公共交通機関やタクシーに乗った可能性がある。その場合は周囲の目に触れ、保護されやすくなると考えます。また、認知症が軽度な場合は身の危険を回避しながら歩き続けますが、重症だと行方不明後すぐに事件や事故に巻き込まれる可能性があるのでしょう」
溺死は、生活圏内の池・川・用水路などでの事故が考えられる。低体温症は寒い地方だけでなく、歩き回って身体が疲弊して体温が奪われることでも起こる。
社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センター研究部の永田久美子部長はこう指摘する。
「雨風をしのぐため、店舗の裏側や資材置き場、神社の境内で見つかった人もいます。歩き疲れてひと休みするとき、人目につかないところに入るからでしょう」
人気のない藪の中や、自宅敷地の裏側で遺体が見つかった事例も。認知症の人は捜索者が思いも寄らぬ場所へと入り込み、出られなくなっていることもある。
身元不明者が病気や外傷で病院に運ばれた場合、病院が役所に生活保護を申請することが多い。この際、生活保護課の身元不明者リストに名前が載ることもある。高齢者施設が地域の一時救護施設に指定され、保護されることもある。警視庁は毎年9月、身元不明・行方不明者相談所を設置している。
認知症の人が外を歩くことはこれまで「徘徊」と呼ばれ、あてもなくウロウロ歩き回ると思われていた。しかし、実際は違うと考えられている。
何かを思い出して目的地に向かう途中、何をしようとしていたかを忘れたり、風景が記憶と異なって混乱したりする。それで道に迷う。徘徊とは呼ばず、「ひとり歩き」と表現を変える動きもある。 ―― 以下略 ――
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
<約1万6千人が認知症で行方不明> という事実の足元には、以下のような新たな気づきがあったようだ。
<認知症やその疑いのある人が行方不明になったとき、家族だけで捜そう、翌日まで待ってから警察に届けを出そうとする人がいる。だが、調査結果の「死亡者の約4割が当日亡くなる」「生存者は2日目までに他県を含めて約9割見つかる」可能性は、当日の警察と地域を巻き込んだ捜索が、いかに重要かわかる。>
<認知症の人が外を歩くことはこれまで「徘徊」と呼ばれ、あてもなくウロウロ歩き回ると思われていた。しかし、実際は違うと考えられている。
何かを思い出して目的地に向かう途中、何をしようとしていたかを忘れたり、風景が記憶と異なって混乱したりする。それで道に迷う。徘徊とは呼ばず、「ひとり歩き」と表現を変える動きもある> ...... (2018.09.30)
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