今回注目する下記引用サイト記事 : 海外では「切らなくてもいいがん」も日本では「手術で治す」/NEWSポストセブン/2019.01.09 - 07:00 は、 <日本のがん治療といえば「手術で治す」イメージが強いが、医療法人社団進興会理事長の森山紀之医師によれば、海外では「手術はしない方がいい」とされているがんも多いという。 「日本では根治思想が根付いているため、医師がすぐに手術をしたがる傾向があります。放射線治療が適していると思われるがんでも、根こそぎ取り除く手術を何時間もかけて行う病院は少なくありません> と報じている。
<......たとえば胃がんの場合、"進行すればリンパ節に飛ぶ可能性がある"と言ってリンパ節も一緒に切除しますが、海外ではリンパ節は取りません。取った方が本当にいいのかどうかというエビデンス(効果があることを示す証拠や臨床結果)がないからです」 食道がんも日本では手術がメイン。食道を摘出した後、胃を筒状にして引っ張り上げ、食道を再建するという難しい手術だ。 「その手術は体への負担が大きいうえ、食べ物をうまくのみ込めず、手術後に肺炎を起こして亡くなる人が少なくない。そのためドイツやフランスでは手術ではなく、放射線治療と抗がん剤による化学療法を併用するのが一般的です。 また、男性に多い前立腺がんも、摘出手術を行うのは日本くらいのもの。前立腺を取ると2人に1人が尿漏れを起こし、日常生活でおむつが必須になるからです。その点、放射線治療であれば、手術と違って副作用はほとんどなく、しかも手術と同等の確率でがんを消滅できることが明らかになっています。これらを受けて、日本でも放射線化学療法を行う施設が増えてきています」(森山さん) 女性に多い乳がんも、日本では切除手術が当たり前だが、女性にとっては乳房を失うという精神的なショックも大きい。さらに、化学療法の副作用は生活の質を下げることがある。海外では初期の乳がんなら最近では、手術後の化学療法さえ行わないケースも増えているという。 「アメリカでは、『オンコタイプDX』と呼ばれる遺伝子検査によって、術後の再発リスクを検証し、化学療法の必要性を調べる方法が主流になりつつあります。乳がん患者の約半数は、『ホルモン受容体陽性』か『HER2陰性で腋窩リンパ節転移陰性』という2つのタイプに分けられます。 このタイプの乳がんでは、"遺伝子検査で約7割が化学療法は必要でない"という報告もあります。今後、遺伝子検査を取り入れて、不必要な化学療法はやらないといった『個別化医療』がますます進むでしょう。ただ、高価なこともあり、日本ではあまり浸透していません」(米国在住の大西睦子医師) 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんによれば、乳がん検査「マンモグラフィー」も、最近、アメリカではあまり行われていないという。 「乳がん検診は重視されていますが、マンモグラフィーの有効性への疑問から、"それよりも触診や日々の自己チェックが大切"という考え方が基本になっています。日本のように"マンモグラフィーさえ受ければいい"という考えでは、かえって発見が遅れてしまいかねません」(室井さん) 女性のがん死亡率トップの大腸がんもすぐに手術する日本とは違い、欧米では手術の前後に放射線治療や化学療法など、がんを小さくする治療が行われるのが一般的だ。 さらに最新の研究ではこんな驚きの結果も出た。聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座准教授の砂川優医師が言う。 「遺伝子的な解析によって、大腸がんには左右差があることが明らかになっています。右側の大腸がんは薬の効きも予後も悪いことがわかってきました。それを意識して抗がん剤を選ぶといった治療法は、世界から発信され日本にやっと浸透しつつあります」 がん治療において、日本は内視鏡をはじめとする手術そのものの"技術"は世界でもトップクラス。しかし、余計な手術や治療をせずに患者の負担を軽くするとか、最先端の研究成果を取り入れるといった"意識"の面では、海外に遅れを取っているようだ。 ※女性セブン2019年1月17・24日号> とある。
海外では「切らなくてもいいがん」も日本では「手術で治す」/NEWSポストセブン/2019.01.09 - 07:00
日本のがん治療といえば「手術で治す」イメージが強いが、医療法人社団進興会理事長の森山紀之医師によれば、海外では「手術はしない方がいい」とされているがんも多いという。
「日本では根治思想が根付いているため、医師がすぐに手術をしたがる傾向があります。放射線治療が適していると思われるがんでも、根こそぎ取り除く手術を何時間もかけて行う病院は少なくありません。
たとえば胃がんの場合、"進行すればリンパ節に飛ぶ可能性がある"と言ってリンパ節も一緒に切除しますが、海外ではリンパ節は取りません。取った方が本当にいいのかどうかというエビデンス(効果があることを示す証拠や臨床結果)がないからです」
食道がんも日本では手術がメイン。食道を摘出した後、胃を筒状にして引っ張り上げ、食道を再建するという難しい手術だ。
「その手術は体への負担が大きいうえ、食べ物をうまくのみ込めず、手術後に肺炎を起こして亡くなる人が少なくない。そのためドイツやフランスでは手術ではなく、放射線治療と抗がん剤による化学療法を併用するのが一般的です。
また、男性に多い前立腺がんも、摘出手術を行うのは日本くらいのもの。前立腺を取ると2人に1人が尿漏れを起こし、日常生活でおむつが必須になるからです。その点、放射線治療であれば、手術と違って副作用はほとんどなく、しかも手術と同等の確率でがんを消滅できることが明らかになっています。これらを受けて、日本でも放射線化学療法を行う施設が増えてきています」(森山さん)
女性に多い乳がんも、日本では切除手術が当たり前だが、女性にとっては乳房を失うという精神的なショックも大きい。さらに、化学療法の副作用は生活の質を下げることがある。海外では初期の乳がんなら最近では、手術後の化学療法さえ行わないケースも増えているという。
「アメリカでは、『オンコタイプDX』と呼ばれる遺伝子検査によって、術後の再発リスクを検証し、化学療法の必要性を調べる方法が主流になりつつあります。乳がん患者の約半数は、『ホルモン受容体陽性』か『HER2陰性で腋窩リンパ節転移陰性』という2つのタイプに分けられます。
このタイプの乳がんでは、"遺伝子検査で約7割が化学療法は必要でない"という報告もあります。今後、遺伝子検査を取り入れて、不必要な化学療法はやらないといった『個別化医療』がますます進むでしょう。ただ、高価なこともあり、日本ではあまり浸透していません」(米国在住の大西睦子医師)
医療経済ジャーナリストの室井一辰さんによれば、乳がん検査「マンモグラフィー」も、最近、アメリカではあまり行われていないという。
「乳がん検診は重視されていますが、マンモグラフィーの有効性への疑問から、"それよりも触診や日々の自己チェックが大切"という考え方が基本になっています。日本のように"マンモグラフィーさえ受ければいい"という考えでは、かえって発見が遅れてしまいかねません」(室井さん)
女性のがん死亡率トップの大腸がんもすぐに手術する日本とは違い、欧米では手術の前後に放射線治療や化学療法など、がんを小さくする治療が行われるのが一般的だ。
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さらに最新の研究ではこんな驚きの結果も出た。聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座准教授の砂川優医師が言う。「遺伝子的な解析によって、大腸がんには左右差があることが明らかになっています。右側の大腸がんは薬の効きも予後も悪いことがわかってきました。それを意識して抗がん剤を選ぶといった治療法は、世界から発信され日本にやっと浸透しつつあります」
がん治療において、日本は内視鏡をはじめとする手術そのものの"技術"は世界でもトップクラス。しかし、余計な手術や治療をせずに患者の負担を軽くするとか、最先端の研究成果を取り入れるといった"意識"の面では、海外に遅れを取っているようだ。
※女性セブン2019年1月17・24日号
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
<がん治療において、日本は内視鏡をはじめとする手術そのものの"技術"は世界でもトップクラス。しかし、余計な手術や治療をせずに患者の負担を軽くするとか、最先端の研究成果を取り入れるといった"意識"の面では、海外に遅れを取っている> という指摘のシビァな実態がもっと公表される必要がありそうだ...... (2019.01.10)
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