今日は「防災の日」(1923年9月1日午前11時58分に発生した関東大震災を忘れることなく災害に備えようと、1960年に制定)ということだ。
ちなみに、最近の調査で「関東大震災」の被害状況が再把握されたようだ。
死者・行方不明者は「10万5千余」、「住家全潰10万9千余、半潰10万2千余」、「焼失21万2千余(全半潰後の焼失を含む)」だということで、当初に公表されていた数字よりはやや小さくなったらしい。が、それにしても膨大な被害であり、なおかつ、この災害が再来する可能性が高いということになれば、やはり暗澹たる思いとさせられる。テロも恐いが、自然災害はさらに恐い。
それにしても、つい先頃の米国ルイジアナ州のハリケーン(台風と同じで、発生地がことなるだけらしい)「カトリーナ」の猛威には驚かされた。
報道によれば、
<大統領は会議後、「米国史上最悪の天災の一つ」と記者団に語り、「復旧には数年かかる」との見通しを示した。死者数は「数千人に上る」(ニューオーリンズ市長)との見方も出ており、01年9月の同時多発テロ以来の被害規模になりそうだ。>
<被害総額は …… 数兆円規模という見方も出ている。>
<ハリケーン被災地で略奪・撃ち合い 住民避難で治安悪化>
などという悲惨な状況が伝えられている。( asahi.com 2005.09.01 )
自然災害であることは間違いないわけだが、それだけで済ますにはちょっと釈然としない気持ちも残る。二つの点で引っかかるのだ。
ひとつは、<カトリーナは過去最大級の強さに発達し、大きな被害が予想されたにもかかわらず、大統領の対応が鈍かったという批判が広がっており、政権の危機管理能力が問われていた。>(同上)という点に関係している。
ハリケーン自体の猛威を制圧することなどできるわけがないとしても、地震災害に較べると多少の「時間」的余裕というものはあったはずではないかと考える。つまり、地域住民たちの「避難」であり、そのための「誘導」という点である。
現在では、発達中のハリケーンや台風の実態はかなり性格に把握する科学技術が進んでおり、これだけの猛威を振るう規模が予想されたなら、事後対策以前に、事前対策こそが打ち出されて然るべきなのではないかと……。こんな場合にこそ、米軍が危機に曝された住民たちを可能な限り救出すべきではなかったのか……。
もう一点は、ややロングレンジの話である。
このところ、日本でも台風に対する警戒度はにわかに高まってきたようだ。これは、気温上昇やその他の異常気象とあわせて、地球温暖化傾向に伴うものではないかとささやかれていることと無縁ではないと思う。
ちょうどそんな折り、以下のような報道記事が目についた。
<温暖化進むと…日本は集中豪雨、中国・米国は渇水も
地球温暖化が進むと、豪雨は全体的に激しくなる一方、年間降水量の変化は地域差があり、北米や中国などで渇水と水害の危険性が同時に高まる地域もあることが29日、国立環境研究所の江守正多室長の研究で分かった。
日本は年間降水量が10%、豪雨の強度は20%も増加すると予測され、集中豪雨による水害の危険性が高まる。……
降水量は日本を含む中・高緯度地域と熱帯の一部で増え、亜熱帯で減る一方、大気中の水蒸気が増えることで豪雨は広い地域で激しさを増すことが分かった。降水量に比べて豪雨強度の変化が特に大きい北米の中、南部や中国南部、地中海周辺などは、一時期に雨が集中するため、水害とともに渇水の危険も高まる。>( 読売新聞 2005年8月30日4時12分 )
というものである。
今回のハリケーンが、地球温暖化現象とどの程度深い関係を持ったものだったのか、そうではなかったのかは定かではないが、多くの科学者が、決め手を欠いた歯がゆさを抱きながらも、異常気象現象と地球温暖化現象との因果関係を睨んでいるのは常識化しつつあるのではなかろうか。
地球温暖化現象に対する国際的対応としては、CO2 の排出規制を定めようとした「京都議定書」の動きがあった。温室効果ガスの排出量を先進国全体で2008年から2012年までに5.2%削減することが約束された、という。
ただ、この動きに対して、米国のブッシュ政権が反対を表明し続けた事実は、世界中の多くの人々の理解を苦しめたはずではなかったか…… (2005.09.01)