梅雨と夏のはざ間の、置き去りにされた気候とでもいうのだろうか。あるいは、あくの強い両巨頭の間の谷間に生まれた凡庸な天候とでもいうべきか。昨日、今日の空模様のことである。
昨夜もかなり涼しいと感じた。今朝などは寝冷えをしたかと思うほどの気温であり、今日は一日中、この時期としては涼しく過ごしやすい状況であった。
こんな日は本来、何かにつけて調子を上げてのめり込み、やはり過ごしやすい天候の際には計(はか)が行くもんだ、とか何とか言って満足できるのでなければならなかった。
しかし、どういうものだが今日は一日中ぱっとしなかったようだ。
起床の仕方に問題があったのやもしれない。そんなに神経質になることもないのだが、深い眠り(ノンレム睡眠)の最中に起きてしまうと、どうも意識の方がしっくりとこないようだ。今朝の起床がこれであった。
大分以前のことだが、いろいろと体調をくずしていた頃、「半落ち」ならぬ、この「半起き」状態の不快感をいやというほど味わったことがあった。
その際の自覚症状としては、一方で、メイン意識は眠りへと傾いているからであろうか、外界を遮断して受けつけない様子なのである。また、他方では、知覚そのものはアクティブとなってはいても、メイン意識がオーソライズしようとしないからなのか、きわめて環境に対する実感に欠けた気色悪さそのものなのである。ただ、この辺の感覚の事情はまさに個人感覚的なものであるため、ちょっと説明が難しい。単に寝ぼけているのだと言われればそれまでのことだが、ちょっと違うかもしれない。
これに類似した感覚があるとすれば、あの「金縛り」が相当するかとも思える。あれもなかなか気色の悪いものである。寝返りなりの身体の動きをとろうとする意識が、まったく身体の感覚へと繋がらないからであり、一瞬パニック状態になりかけるものだ。ただ、この場合の意識というのは、どうも覚醒した状態ではなさそうであり、眠りの範疇にありそうな気がする。つまり、夢の延長と言えそうだ。
それに対して、上記の「半起き」状態というのは、限りなく意識は覚醒していながら、その意識が「内向き」となって、外界を遮断し続けるようであり、この状態にはまるとちょっとやっかいな気分となってしまう。やや焦りがちともなってしまうが、この焦りの感覚が生じると事態はますます不快感を増し、挙句に奇妙な「孤独と恐怖の感覚」に落ち込んで行くのである。いわゆるパニック症候群と呼ばれるものに近いかもしれない。だから、高が「寝ぼけ」だと侮れない感覚を持ったものだった。
たぶん、自律神経失調プラス睡眠障害と思しき、そんな体調不全に陥っていたのが原因であったのだろうと思い、その後気をつけてきたものであった。
今朝の「症状」は、かつての気色悪さのそれとは区別できる心理的なもののようではあったが、それでも、気分は冴えない状態がずっと尾を引いていたようだった。
この「不完全燃焼」をなんとかすべし、というところであろうか…… (2006.08.01)