今日、「下落した数字」が二つ伝えられた。
ひとつは、<中国株、上海総合株価指数が約8%安で取引終了>( jp.reuters.com 2007.06.04 )である。詳細は以下のとおりだ。
<[上海 4日 ロイター] 4日の中国株式市場で上海総合株価指数(.SSEC: 株価, 企業情報, レポート)が大幅続落し、暫定値で8.24%安の3671.101で取引を終了した。上海総合指数は1日としてはここ10年で最大の下げを記録。中国政府は先週、投機抑制のため、株取引にかかる印紙税率を引き上げている。
4日付の政府系新聞各紙は、株式市場の見通しは依然として明るく、印紙税引き上げは過剰な投機を抑制することが狙いだとの社説を一面に掲載し、投資家の不安払しょくに乗り出した。
ただブローカーによれば、投資家はこれを全く無視する形でパニック的な売りに出ていたという。>(同上)
先月末(05.30)にも大きな下落があったばかりだ。その時は、印紙税引き上げによる冷却作用によるものだと伝えられた。今回はどう説明されるのであろうか。
投資家たちはとかく過剰に反応するものだと言われるのかもしれない。しかし、考えてみれば、これまでの中国株式市場の株高自体も、投資家たちの「過剰な反応」によって生み出されて来たはずである。株式市場における「過剰な反応」というのは当たり前の現象なのであって、今日のこの下落に対して言い訳的な過小評価をすべきではなかろう。
さて、これを踏まえた米国市場がどうなるのかが見ものと言えば見ものである。いつものとおり、「ハッタリ的」な強気を示すのかもしれないが……
「下落した数字」のもうひとつは、<内閣支持率最低 30% 政権運営手詰まり感>( asahi.com 2007.06.04 )である。
庶民にとって、気にせざるを得ない「年金問題」で、ずさんと言えばあまりにもずさんな対処をしてきた政府に、寛容さこの上ない国民もさすがに「堪忍袋の緒が切れる」といった姿勢を示したと言えようか。
<安倍首相の政権運営が危険水域に近づいた。参院選に向けた朝日新聞の第4回連続世論調査(2、3日。電話)では、内閣支持率は30%で前回(5月26、27日)の36%からさらに下落し、政権発足後最低を更新。不支持率は前回の42%から49%に上昇した。ずさんな年金記録問題への政権の対応や、自殺した松岡利勝前農林水産相をめぐる「政治とカネ」の問題への批判が集まった。政府・与党は年金問題に迅速な対策を取ることで政権を立て直す構えだが、参院選公示を約1カ月後に控え、首相の政権運営には手詰まり感も出始めている。>(同上)
ただ、もうひとつなるほどと思えたのは、次の数字なのである。
<政党支持率は自民28%(前回29%)、民主17%(同18%)などで、無党派層は50%(同47%)だった。>
つまり、自民党支持率減が、民主党支持へとリンクしていないということだ。端的に言えば、「同じ穴のむじな」ということであろうか。これじゃ、参院選となったとしても、ドラマチックな展開は期待できないということなのかもしれない。
ところで、安倍内閣への支持率下落には「年金問題」とともに、<自殺した松岡利勝前農林水産相をめぐる「政治とカネ」の問題>が横たわっているわけだが、民主党が今やるべきなのは、この松岡農水相の自殺の真相を徹底的に追及することであるように思われる。これくらいの「外科手術」ができないでは「次期政権」はおぼつかないだろう。
その原因はほとんど国民に伝えられていないわけが、もちろん<事務所の光熱水道費問題の不正申告問題(ナントカ還元水問題)>なんぞの小さな出来事であるわけではなさそうである。
こうした疑惑問題を放ってはおけない性質の立花隆氏は、さすがに強い嗅覚を働かせて以下のように指摘していた。
< この大規模林道建設工事は、林道といっても、道路だけでなく水源林涵養と田畑などの農地開発を一体として行うという大事業で、熊本県だけで、総工費154億にものぼる大計画だった。
この大事業の主体となっていたのが、緑資源機構なのである。
――林道だけでない「154億円の大事業」の入札疑惑
松岡前農水相は、この熊本県に落ちる154億円の大事業の落札を全部自分が仕切り、各工区でそれを落札する業者から経営規模によって2〜3パーセントの上納金をおさめさせた上に、松岡氏の選挙区そのものである第6工区と第7工区では、自分の息のかかった地元業者に、「鞍岳建設」と「ひのくに建設」という架空の建設会社を作らせ、そこに入札を落としてしまうというとんでもないことまで行っていたのである。
先の林道談合事件で摘発されたのは、この大規模林道事業の本体部分の落札ではなく、そのとばくちの、調査事業と測量事業の部分だけである。それは事業全体が10億円規模だから、動いた金も百万円の単位でしかなかったのである。
しかし、本体部分は、その10倍以上の事業規模だから、松岡氏の懐に入る予定だった金額も、単純にパーセントで見積もって、3億〜4億円にのぼったものと見られる。そうなると、これは、一大あっせん収賄事件で、特捜部が乗り出して当然の事件であり、松岡逮捕も必至だったとみられるのである。>(立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」第110回 松岡氏らの自殺を結ぶ「点と線」 「緑資源機構」に巨額汚職疑惑 (2007/05/31) nikkeibp.co.jp )
これらについては、週刊誌の「週刊ポスト」「週刊文春」「週刊新潮」三誌が採り上げているらしいのだが、なぜか新聞の主要全国紙や、TV局はダンマリを決め込んでいる。だから、如何にマス・メディアが「肝心な事は報じない」という腐敗ぶりであるかということなのである。
これらが真相だとするならば、年金問題でのずさんさと言い、公共事業を食い物にする体質と言い、国民はどこまで蔑ろにされれば済むのであろうか…… (2007.06.04)