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"iCloud"と電子書籍の"クラウド"化/所有ではなく"読書をすること"自体に回帰? ......


 いよいよ "クラウド" 一色! の様相を呈してきた。米アップルが "iCloud" というかたちで、満を持したかのように "クラウド" へと舵を切ったというニュースである。

◆ 参照 <アップル、お前もか!/"クラウド"に舵を切るアップル/いよいよクラウド一色!(当誌 2011.06.08)>

 では、"電子書籍" が "クラウド" 環境の中へと深のめりして行くことの意味とは何なのだろうか?
 もちろん、"電子書籍のクラウド化" は、米アップル以前に Amazon や Google が、そして国内でも数々の "クラウド型電子書籍ストア" で実施されている既成事実である。
 今回の米アップルの "iCloud" は、言ってみれば後追いの参入である。しかし、多分、"電子書籍のクラウド化" の決め手となって行くに違いなかろう。

 何が一体どうなって行くのか、に目を向ける時、<「本のクラウド化、読書体験のクラウド化」>(<読書体験のクラウド化 川添 歩/Sociomedia>) という視点を提示している点が大いに参考となりそうだ。

<アマゾンが Kindle の発売によって実現したのは「持ち歩ける電子書籍」です。
しかし実はそれよりもはるかに重要なのが、同時に行った「本のクラウド化」です。
 Kindle の本が「クラウドである」理由は、購入した本をアマゾンが常にバックアップしているとともに、それにドッグイヤーをつけたり、線をひいたり、書き込みをしたりでき、その情報も保存されているという点にあります。つまり「購入した本」という本来固定化された情報を、自分で更新できるしくみがあり、その更新情報がネット上に保存されるという点です。
 アマゾンがバックアップしているのは「購入したときのまっさらな本」ではなく、書き込みをした(さらに書き込みができる)「自分の本」なのです。
 ......
 アマゾンは、その本のデータ(の複製)を売るのではなく、それを「参照する権利」と、データに「自分専用のデータを付加する権利」を同時に売っているのです。
 「本を所有すること」ではなく「読書をすること」そのものを売っているのです。
 したがって、本がクラウド化されたというよりも、読書体験そのものがクラウド化されたと言うべきでしょう。
>(同上サイト)

 ここでは、「読書をすること」の本質に目が向けられていることを注意したい。
 そして、この視点から、「読書をすること」のいわば象徴でもあろう<自分が書き込んだデータ>というものに視線を移動させ、以下のように叙述している。

<このことから、次の未来が見えてきます。
 現時点では、「自分の本」たらしめている自分の書き込んだデータは、自分自身だけが参照するものです。自分の読書は、自分だけに閉じられた体験です。
 その「自分だけのデータ」を公開できる機能が、いずれ登場するでしょう。
 それは、メタファーではない、文字通りの「ソーシャルブックマーク」です。
 読書体験の共有化です。
 自分が読んだ本を、ほかの人がどのように読んだのか、どこに線をひいたのか、それが分かるようになるのです。
 この機能の魅力は強力です。
 ぼくがアマゾンなら、知の巨人と言われる人や、政界・財界の重要人物に、下線を引いたりメモをしてもらいながら本を読んでもらい、それを公表させてもらいます。
 そうすれば、尊敬する知識人の下線やメモに興味のある大量の消費者を、アマゾンからの購入に惹きつけることができます。同じ本を購入すればそこに下線やメモが書かれている(または書かれていく)のですから、リアル書店はもとより、他のオンライン書店で「まっさらな本」を買う理由がありません。(もちろん、まっさらにして読みたければ、表示をオフにすればよいだけです)※1
 また、どのくらいの人がどのくらい線を引いたかということが、本の販売数とは別に、その本のよりリアルな価値を示す指標となるでしょう。>(同上サイト)

 つまり、"クラウド" 化の一途をたどる "電子書籍" は、益々その "無形の価値" ( "書き込み" があると価値が下がるんですが的な物的所有世界とは異次元!)を実感させながら、同時にネクストステージぶある<読書体験の共有化>という、いわば知的活動の根幹へと誘ってくれるのではないか、と主張されているようだ。
 さてさて、"電子書籍" 制作に携わる者たちは、こうした "うねり" の中でどう身構えれば良いのだろうか...... (2011.06.07)

2011年6月 8日 yasuo hirose | | コメント(0) | トラックバック(0)

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