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"電子書籍"ビジネスの突破口は、やはり"SNS/Social Network Service"に潜むか? ......


 この猛暑の最中、"電子書籍" イベントとしての "第15回電子出版EXPO" が開催されたらしい。自分は出向いたわけではなく、紹介サイトを吟味させてもらったに過ぎない。

 ◆ 参照 電子書籍めくり放題! 有明で"電子出版EXPO"開催/ASCII.jp×デジタル/2011.07.07

 全体としてさほど興味が持てないこの催しの中で、唯一、関心を惹いたのは、公表されていた "セミナー・イベント" でのテーマに、『ソーシャルネットワーク時代の「読書」の可能性』(NHK出版 学芸図書編集部 松島 倫明 氏)という演題があったことだろうか。
 その他に関しては、"日暮れて途(みち)遠し" という皮肉っぽい印象しか持ち得なかった。

 ◆ 参照 "電子書籍"ビジネスの関係企業は、"日暮れて途(みち)遠し"の困惑の最中なのか?( AdhocBlog 2011.07.10 )

 上記の『ソーシャルネットワーク時代の「読書」の可能性』という演題の講演内容は推定にしか過ぎないが、"視点の確かさ" だけはこの演題からも覗えそうである。
 現代の環境における「読書」(とりわけ "電子書籍" 読書)が、もはや "ソーシャルネットワーク" 環境、あるいは "SNS / Social Network Service" の環境に大きく依存していることは軽視できない。いや、重要な課題に転じているのではないかと思う。
 漠然とした "インターネット" 環境と言わずに "ソーシャルネットワーク" 環境と限定する点にこそ意を払わなければならない。
 "ソーシャルネット" 呼ばれるものが、比較的 "スモール" であり、"インフォーマル" であること、言ってみれば "無縁社会" と懸念される現在にあって、"新しい縁" 作りへの可能性が残された貴重なコミュニケーション・チャンネルだという点に着目する必要があろうかと思う。(まあ、同時に、この構えが悪用されて犯罪に結びつくリスクも潜んでいると言わなければならないが......。)

 ところで、"紙の書籍" と "電子書籍" との差異はいろいろと指摘できるが、"紙の書籍" の "孤立主義" (!?) 傾向 ―― かつて、『書を捨てよ、街に出よう』とアピールした詩人・寺山 修司は、読書が陥りがちな "非行動" を揶揄しただけでなく、"孤立化" 傾向をも警戒したのかもしれない ―― に対して、"電子書籍" は、その気がありさえすれば "ネット環境" を通して即座に "ソーシャル" な関係に踏み込める、そんなインフラ構造を携えたプロダクツだという点を見過ごしてはならないはずだ。
 "紙の書籍" は、どう見ても典型的な "オフライン" 的プロダクツであろうが、"電子書籍" はと言えば、インターネット環境と密着した位置にあり、特に、"ソーシャルネットワーク" 環境とは深くかかわっていそうである。

 ちなみに、本の読み手側がどんな本を読むのか言えば、どうであろうか、今どき "マスメディアでの喧伝" だけで読み始める人は少ないのではなかろうか。
 他の製品/商品でも、生産・販売側による "マスメディア動員" の "触れ込み" が奏功しにくくなっていて、消費者側での "商品情報吟味" の比重が高まっているのは周知の事実だ。
 まして、本、"電子書籍" は、読み手側のまとまった価値観(価値感)・世界観(世界感)と密着したプロダクツであろう。
 ではこうしたプロダクツへのアプローチは、一体どのような "影響下" でなされるのだろうか......。ここで着目されるのが、"ソーシャルネットワーク" だということになる。

 佐々木俊尚氏は、その著作『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァ一携書/2010.04.15)の中で、<本と本の読まれ方はいかに変わっていくか?>をリアルに問うている。
 そして同氏は、読み手側が読み手側として "再・受けとめ" し直すことを<リパッケージ>と呼び、以下のように解説している。

<(リパッケージとは)マスモデル的なパッケージではなく、
「自分にとって面白いか」
「いま興味あることに内容が近いか」
「自分の人生との接点があるか」
「自分が参加している場で盛り上がっているコンテンツか」
といったコンテキストだからです。そうしたコンテキストは、マスメディアやランキングではなく、小さな圏域でしか流れません。そういう小さな圏域でこそ、同じような好みの本を探しやすくなるのです。......
 そしてこのようなミニマム(最少)化した情報圏域は、いまや日本の社会にも大きく広がっています。
 それがソーシャルメディアです>
(同上)

 "電子書籍" の動向は、"ソーシャルメディア"/"ソーシャルネットワーク" の現実に深く棹(さお)さしており、この辺りの考察を抜きにして "電子書籍" の動向は語れない......、と言うわけだ。
 多分そのとおりだと自分も考える。だから、"電子書籍" 制作者たちは、技術論議も重要ではあるがそれらだけに拘泥している場合でもなかろうと思うのである。
 視野を広げるというよりも、視点を変換して、"電子書籍" を包囲している諸々の環境的事実に注意深く目を向けなければならないようである...... (2011.07.10)

2011年7月10日 yasuo hirose | | コメント(0) | トラックバック(0)

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