〈コンサマトリー〉時間感覚と、〈インストゥルメンタル〉時間感覚 ......

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 加齢の効用のひとつとして、<時に対する〈コンサマトリー〉(現時充足的)な>姿勢が強化されるという点がありそうだ。 "未来" のために "今" を〈インストゥルメンタル(instrumental)〉(手段的)に過ごさなければならない、というような "お仕着せ判断" が薄らぐからである。加齢=残される時間の減少という認識が、とにかく、 "今" を精一杯生きようという、 "正しい" 〈コンサマトリー〉(現時充足的)な自覚を促すということである。
 ただ、 "誤った" 〈コンサマトリー〉(現時充足的)な思い込みというものも、付随し得るのも確かだろう。 "未来" が乏しければ "今" だって碌なことはない、成り行き任せで過ごすに限る......、といった "諦念" (諦め)のことである。

 「三年寝太郎」という "怠け者" の民話がある。最終的には世の中に役立つ "灌漑事業" を成し遂げたらしいが、前段では、 "自堕落" であったそうな。寝てばかりいないで働け、と言われると、働くとどうなる? と言い返し、働けば富が得られるさ、と諭されると、富があればどうなる? とさらに口答えをする。まぁ、富があれば寝て暮らせるさ、と言い含められると、なぁに、今だってこうやって寝て暮らしているから余計なお世話だ......、と。 "誤った" 〈コンサマトリー〉(現時充足的)な思い込みの典型のような人物だったのかもしれない。
 だが、これはこれで、意外と "意味深長" な話であり、 "前段の寝太郎" を心底説得することは至難の業だったと思えるし、逆に、どんな根拠で "起きて働き" 世の中のためになることをする気になって行ったのかのプロセスについては興味が注がれるところだ。
 ところで、<時に対する〈コンサマトリー〉(現時充足的)な>姿勢を "ポジティブ" な視線で見つめたいのは、言うまでもなく、現在のわれわれの世界やその "時間の観念" が過剰に〈インストゥルメンタル〉(手段的)なロジックで狂奔させられているからなのである。
 今日、4日を "仕事始め" とする人々が少なくなかったはずであろうが、年末・年始の休暇とこの "仕事始め" の4日とを "仕分け" ているのは、まずは "自由時間" と "勤務時間" との差異であろうが、ここでの文脈に即して言えば、〈コンサマトリー〉(現時充足的)時間感覚と〈インストゥルメンタル〉(手段的)時間感覚との差異だとも言えそうだ。
 休暇中には、さし当たって当面の私的な目的のみで "今" をエンジョイすることができたのに対して、今日からは、概して、近未来に向けられた所属企業などの目的によって、個々人の時間は方向づけられ秩序づけられざるを得なくなるはずだ。 "今" という時間は、所属企業の近未来(の目的=収益増大!)によってことごとく "挿げ替えられる" ことになるわけだ。
 昨今の経済事情からすれば、この辺の "凄まじさ" は尋常ではなくなっていそうだ。
 と言うよりも、上述のような "仕分け" はもはや絵に描いた餅であって、 "自由時間" であろうが、 "勤務時間" ならもちろんであろうが、四六時中、いや人生のほぼ全面にわたって、会社の未来のためだとか、家族生活の未来のためだとか、よんどころない何々の未来のためだとかといった調子で、個々人の "今" という時間は、まさに〈インストゥルメンタル〉(手段的)時間感覚に徹頭徹尾 "置き換えられて" いそうである。
 ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学『モモ』を思い起こすのがきわめて当を得ているかと思われる。

 こんな状況の中で、場合によってではあるが、自分を含めた年寄りたちが〈インストゥルメンタル〉(手段的)時間感覚が "脱色" されて、〈コンサマトリー〉(現時充足的)時間感覚を取り戻す位置に置かれているのかもしれない。
 しかし、時間感覚(時間の観念)についてだけではなく、あらゆる領域において〈コンサマトリー〉な視点とそれによる行動が、〈インストゥルメンタル〉至上主義としか言いようがない現時点の環境に揺さ振りをかけるべきなのかと思われる。
 しかも、 "何々のため" ではない〈コンサマトリー〉な視点とそれに基づく支援だけが、増え続ける "自殺" を食い止める最後の処方箋なのだとも思える...... (2010.01.04)

<PS> 今夜、『ハッピー フィート』(NHK BS ハイビジョン)を〈コンサマトリー〉な気分で楽しめた......












【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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