"iPhone 4" , "iPad" が巻き起こしている昨今の Apple の動向から眼が離せないと思えるのは、この動向に、これまでの "コンピューティング" 、つまりコンピュータの使い方、使われ方の飛躍的変化が立ち現れつつあると見えるからなのである。
インターネットの普及によって、"コンピューティング" の中身は確実に従来の次元を超えて発展してきた。また、その後もインターネット環境での Web の進化(Web 2.0)などが新たな次元を切り開きつつ、 "コンピューティング" の中身もそれらに伴って次々に塗り替えられてきたわけだ。
そして今、こうした環境を踏まえて、 "iPhone 4" , "iPad" などによってPC側環境に投ぜられた斬新な変化が、 "コンピューティング" というものを画期的に様変わりさせつつある。いわばその "定義" をも更新させようとしているかのようなのである。
<――コンピューティングを再定義するApple
AppleはiPhoneとiPadによってPCからインターネット・パーソナル・デバイスへの質的転換を図ろうとしている。従来のPCの操作方法、実現できる機能の再構築、物理的な外観、ソフトウェアの流通、価格など全ての概念を再構築しようとしているのではないか。
PCは一部の専門家が仕事で使うツールとして今後も生き残り続けるだろう。しかし、一般的なコンシューマーユーザーが利用する操作方法や利用場所、必要な機能は既存のパソコンとは別のものだとAppleが再定義したのがiPhoneでありiPadなのだ。
「iPhone 4」は、その「真打ち」だと感じた。それが今回の高揚感につながっている。コンピュータがやっと普通の人が直感的に使える日常道具になったのではないだろうか。......>(デベロッパから見るWWDC -- 飛躍を遂げた新iPhone、設計思想は情報化社会の再定義か? 水野政司(クエリーアイ)/CNET Japan/2010年6月8日 21時13分)
これまでにも、 "PC" =専門家のツール/ "操作性の良いITデバイス" =一般ユーザ、とでも言うような "棲み分け分化" の指摘はあるにはあった。
だが、コンピュータをやっと<普通の人が直感的に使える日常道具>として定着させることになった "iPhone 4" , "iPad" などによってこそ、この "棲み分け分化" が見事に果たされたのだと思われる。その意味で<コンピューティングを再定義>するという表現が決して大袈裟ではないと受けとめられもするのだ。
なお、上記のレポートはここから生じる影響として以下の二点を指摘している。
1.<アマチュアからプロフェッショナルへ>
2.<アップルのテクノロジーはライフスタイルと市場経済を革新していく>
<――アマチュアからプロフェッショナルへ
iPhone 4はエンドユーザーがアマチュアでもプロフェッショナルな体験が可能になった。今回発表された「iMovie」が典型的だ。簡単に撮影できて編集し、HD クオリティのビデオを直感的に作ることができる。「iBooks」も電子書籍リーダとして更に進化しPDFの表示やコピー&ペースト、 iPhone/iPad間での購入書籍の同期化など「かゆい」ところに手が届くようになっている。
デベロッパーにとっては逆の見方もできる。今までのiPhoneはAppStoreの参入の容易さからアマチュアレベルのアプリも多々見られたのも事実だ。
しかし今後は状況は変わるだろう。iPadもiPhone 4もディスプレイは高精細、CPUはアップル製の高性能A4チップ。「iOS4」はAPIも多数追加され機能を充実させている。つまり、これらに沿ったアプリのクオリティレベルは相当高い。
エンドユーザーには容易にプロフェッショナルな体験をもたらし、デベロッパーにはプロフェッショナルなクリエイティブが求められる。これが iPhone 4なのである。......>(同上サイト)
<――アップルのテクノロジーはライフスタイルと市場経済を革新していく
AppStoreによってアプリの流通市場はグローバル市場のフラット化をもたらした。デベロッパーは世界へ挑戦する敷居が低くなり、エンドユーザーは圧倒的なタイトル数の中から自分に合った入ったアプリを安価に手に入れられるようになった。
iPhone 4は電子書籍市場であるiBooksが加わりiPadとあわせてAppStoreと同じような変革がおこるだろう。iBooksの登場は旧来の出版業界からみれば黒船であることは間違いない。
画面の高精細化やビデオカメラ機能、編集機能の増強はエンドユーザーのライフスタイルを変えて行く可能性は高い。......>(同上サイト)
"コンピューティング"・"情報化社会" の "再定義" におけるその本質と広がりとを如何に的確に掴むか、それが、ユーザであれデベロッパーであれどんな立場であったも重要な課題となっていることは間違いなさそうだ...... (2010.06.28)
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