"電子書籍" 制作のプロセスで、 "章や節" などの "頭出し" 表示を叶えるために、"改ページ" という技法が結構重要である点を昨日は書いた。
今日も、その文脈での話となる。
ところで、"改ページ" という技法に注目する時点というのは、作業工程で言えば、変換ソフトツールによって "ePub 変換" を行う前の "Text" 素材ベースの段階だということになる。これは "Word 文書" を素材とする場合でも同じことであり、"PDF" なり "ePub" なりへと変換する前の素材ベースの段階で、"改ページ" 技法を処理しておくことになるわけだ。幸い、"Word" には "ページ区切り" という機能も備わっている。
もっとも、昨日も書いたように、"Sigil" の "Chapter Break" 機能のように、"ePub 変換" のためのエディティング中に設定処理をする場合もある。
が、一般的には、"Text" 素材ベースの段階で、"Text" エディタが備えた "改ページ" 機能を使って "Text" 素材に "その機能" を書き込むことになるはずであろう。
さて、昨日、"i文庫HD" に言及した時に、<txtファイル>に関するベンダーの解説を引用しながら以下のように触れた。
「<txtファイルはShift-JISまたはUTF8形式で、改行はCR+LFとなります。
txtファイル内の装飾形式は、青空文庫準拠の形式となります。
青空文庫形式についての詳細は青空文庫のページを参照して下さい。
拡張形式として、以下の形式をサポートします。
<PBR> 改ページ
<IMG SRC="xxx.jpg"> 挿絵、同zip内の画像ファイルを挿絵として表示します。>(<使用できるファイル形式/i文庫HD/ベンダーサイト>)
ここで注目したいのは、"<PBR> 改ページ" という箇所なのである。しっかりと、"改ページ" という書籍編集上の基本が踏まえられている点なのである。」(昨日の当日誌より)
そんなことに触れた理由はというと、"青空文庫準拠の形式" とやらに興味を抱いたからであり、特に、<<PBR> 改ページ>と<<IMG SRC="xxx.jpg"> 挿絵、同zip内の画像ファイルを挿絵として表示します。>という箇所が気になってしかたがなかったからであった。
もし、この "タグ" を "Text" 中に埋め込んだなら、"Web スクリプト" 並みにその機能を果たすのだろうか......、と推測したものであった。
で、今日のメイン・テーマであるフリーの "ePub 変換" ソフトである "ChainLP" の話となる。なお、"ChainLP" 自体については <"Text 文書"を"ePub"化するのに効果的な"変換&編集"ソフト/"ChainLP"と"Sigil"( 当日誌 2010.08.15 )> を参照していただきたい。
なぜ、この文脈で "ChainLP" なのかというと、このソフトは、"青空文庫準拠の形式" と深い関係がありそうだと推定していたからなのである。いわば "勘" のレベルでしかなかったが......。
結論から書いてしまうと、"ePub 変換" を実行するこの "ChainLP" に入力する "Text" 文書中に、<<PBR> 改ページ>という "タグ" を書き込んでみると、その部分がしっかりと "改ページ" されて "ePub 変換" が処理されていたのである。
そればかりではなく、所定の箇所に書き込んだ<<IMG SRC="xxx.jpg"> 挿絵、同zip内の画像ファイルを挿絵として表示します。>という "タグ" の方も、見事に処理されていたのであった。自分の場合は、 "表紙" 画像を設定してみたのであるが、実に鮮やかに達成できたのは望外の結果であった。
なお、この "実験" は "iPad" の "iBooks/ブック" に向けて実際行ってみたその結果なのである。自分は、まだ "青空文庫準拠の形式" をスタディしておらず、何がどうなっているのかの説明はできない。が、とにかく、この結果には "瓢箪から駒が出る" といった印象を抱いたものであった。
ちなみに、同じ "ePub" ファイルを "御本家" の "i文庫HD" に転送してみると、どうも "無効" だとしか言いようのない乱れた表示になっていた......。
ところで、ここで "ChainLP" に話を戻す。事実に浮かれないために......。
"ChainLP" による "Text 文書" の "ePub 変換"、しかも "縦書き仕様" と言うと、実に "輝かしい事" のように受けとめてしまう。しかも、前述のような "操作" や処理が可能だとするならば、実に願ったり叶ったりであると......。
だが、相応の "穴" (?)があることを知っておかなければならない。
これまでにも、"縦書き仕様" の "ePub 変換" については縷々書いてきた。そして、結局、現段階でこれを望むことは、ほぼ難しいというのが自分なりの結論となった。
では、"ChainLP" の場合はどういうことなのか?
要するに、"ChainLP" による "Text 文書" の "ePub 変換" とは、要するに "自炊" の "PDF" や、それに基づく "ePub" と同様に "画像" ファイル(= "非" Text ファイル!)を作成する事なのである。 "jpeg" ファイルの連番方式で構成された "ePub" ファイルだということになる。つまり、検索やフォントサイズの変更は不可能だという難点があるわけなのだ。
それが許容できるのであれば、"Text 文書" の "ePub 変換" を、"iBooks/ブック" に向けて、それも "レイアウトの体裁" もまずまずの水準で処理できてしまうのであるから、決して悪くはなさそうである。
しかも、"ChainLP" による作業プロセスは実に "わかり易い"。変換のターゲットとする各種のブックリーダーのサイズにしても、一通り揃ったランンナップから選べばよいという "わかり易さ" なのである...... (2010.12.03)
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