今や "エネルギー" 問題は現代において喫緊の課題となっている。言うまでもなく主要な課題は、新しい "クリーン・エネルギー" の創造であろうが、もう一つの課題は、より効率的で使い勝手の良く、しかも大容量の "蓄電装置" だとされてきた。
電気自動車や携帯電話などのバッテリーのことや、あるいは災害時における緊急予備電力を思い浮かべただけで簡単に了解できることであろう。
そうしたニーズに応えるべく、かねてより、いわゆる "コンデンサー" と同じ原理を応用した "キャパシター" と呼ばれる蓄電装置が注目されてもいた。
◆参照 <キャパシタ【英】capacitor
キャパシタとは、1879年にドイツの学者ヘルムホルツ(Helmholtz)によって発見された「電気二重層」現象の原理が応用された蓄電池のことである。
電気を電気のまま(エネルギーの化学反応なしに)充放電することが可能で、原理的には半永久的に使用することができる、理想的な逐電装置と言われている。ただし、キャパシタの大容量化は現在のところ技術的に困難であるとされており、様々な用途に向けての実用化を目指し研究が進んでいる。>( BINARY IT用語辞典より )
この "蓄電装置" のボトルネックは、その "大容量化" だとされていたようだが、下記の記事のような "新しい動き" が生まれ、ますます注目度が高まりそうな気配である。
―――― <短時間で充電の蓄電装置開発
極めて短時間に充電が可能な「キャパシター」と呼ばれる蓄電装置の大容量化に茨城県つくば市の研究機関が成功し、充電する時間が課題となっている電気自動車や、携帯電話への応用が期待されています。「キャパシター」の大容量化に成功したのは、つくば市にある「物質・材料研究機構」の唐捷グループリーダーの研究チームです。「キャパシター」は、極めて短時間に充電を繰り返し行うことができることから、バッテリーに代わる蓄電装置として注目されていますが、蓄えられる電気の量が小さく大容量化が課題となっていました。研究チームはシート状の炭素を薄い層にして積み重ねることで、表面積を増やして電気をつかまえやすくする方法を開発しました。この方法を応用すれば、充電時間が課題となっている電気自動車のバッテリーに代わる新たな蓄電装置の開発が可能になったり、数秒程度で携帯電話を充電したりすることができるということです。「物質・材料研究機構」の唐グループリーダーは「キャパシターはレアメタルも使わず、コストも安いので、さらに開発を進めて、電気自動車や携帯電話への活用につなげていきたい」と話しています。>
( 短時間で充電の蓄電装置開発/NHK NEWS Web/2011.09.25 )
なお、この方法以前に、既に下記のような製品も作られているようだ。
―――― <■スーパーキャパシタとは
スーパーキャパシタは、電気二重層と呼ばれる固体と液体との界面に正負の電荷が蓄えられることを利用したエネルギー蓄積・供給デバイスです。活性炭粒の配合を最適化するによって、大容量かつ低等価直列抵抗(ESR)を実現。重金属を使用せず、環境負荷を軽減できる蓄電器です。 基本セル(キャパシタ素子)を複数接続することによって、使用電圧に応じたキャパシタを作ることができます。 ・充放電が原理的に無制限 ・秒単位の急速充放電が可能 ・低温環境に強い ・環境負荷が少ない ...... >( NEC TOKIN )
"新しい方法" の発見・開発から、その製品化までの道のりは決して短くはないと思われるが、それを待ち受ける環境は熟し切っているようだから大いに期待したいところである...... (2011.09.27)
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