現代が "情報過多" であるがゆえに、いわば "駆け込み寺" さながらに生まれ普及したのが "ソーシャルメディア" であろう。しかし、それでもなお、人は "情報洪水" さながらの状況で "情報迷子" になりがちの状態だ。
そこで昨今ますます注目されている発想が "キュレーション" だ。
「キュレーション【 curation 】 無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること。(佐々木俊尚『キュレーションの時代』/ちくま新書/2011.02.10)」
◆参照 SNSのマイクロインフルエンサーには何よりも"キュレーション"能力が求められる!( 当誌 2011.11.19 )
この "キュレーション" という "編集" 作業は、きわめて "資質と経験" に依拠するという点において、人の "情報関連スキル" や、何よりも "ヒューマン・スキル(人間技)" に負うところが大だと見なされている。
<自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え......>という作業は、まさに "ヒューマン・スキル" の発揮なくしては成就しない作業かと思われる。
だが、こうした点が強調されると、これを "自動化、システム化" しようと挑戦するのがビジネス世界の常なのかもしれない。
"人間技" の範疇と見なされる "キュレーション" を、"キュレーション・サービス"(※ 参照記事)で置き換えてみせよう! というワケだ。
そしてさらに、"キュレーション" 作業の中でも最も "人間技" だと目されている<新たな意味を与え......>という部分にまで迫る(?)意気込みをも見せる。
それが、下記引用記事の<誰もが編集者になれる時代~新しいキュレーション・サービス......>である。
ただ、その意気込みはそれとして、果たしてどこまでこの "難問" に迫っているのかは、下記記事からも今一つ定かではない。<意味付けをすることを奨励している点>が意味するところがよく見えない......。
<誰もが編集者になれる時代~新しいキュレーション・サービス、「Scoop.it」(スクープイット)が一般公開へ
今日新たにご紹介するのは、誰もがキュレーター、そしてオンライン・マガジンの編集者になることを可能にする、というキャッチフレーズで11月3日に一般公開された新しいキュレーション・サービス、「Scoop.it」(スクープイット)です。
このサービスの特徴は、自分が興味・情熱を持っているトピックを選び、無料で登録をしておくだけで、自動的にそのトピックやキーワードに関連する良質なコンテンツがシステム内で検索され、その中で重要と思えるものだけを選ぶことを可能にしている点です。さらに、コメントを添えて投稿し、その投稿を独自のオンライン・マガジンのように出版することが出来る点です。
ツイッターやFacebookのように他の様々なフロー情報のひとつとして共有し、すぐに埋没させてしまうのではなく、利用者が選び抜いたトピックに関し、一覧性のあるビジュアルな画面にストック情報としてまとめられる点が斬新です。
■ 「キュレーション」に求められる「3つのS」をサポート
キュレーションに求められるエッセンスとして、「Seek (情報を探し求めること)」、 「Sense ( Make-Sense:意味付けを与えること)」、 「Share (共有すること)」の3つのSが大事であると言われることがあります。実は今までも既に「Seek」や「Sense」に関しては数多くのソーシャルキュレーションサービスが存在しています。
私たちはTwitterやFacebook等を経由して信頼する友人から最新の情報をもらい、その他にも以前にご紹介した「Paper.li」や、iPad利用者に人気の「Flipboard(フリップボード)」や「Zite(ザイト)」等のサービスを利用することでアルゴリズムにより抽出された有益と思われる情報を、効率的に「Seek (情報収集)」することが可能です。
また「Share (共有)」の方法に関しても日本で人気の「togetter」「Naverまとめ」、海外でも存在感を増しつつある「Storify」等のいわゆる「まとめ」系サービス、その他にも手軽なブログプラットフォームとして爆発的な成長を続ける「Tumblr(タンブラー)」等を利用し、その上でTwitterやFacebookで拡散することで非常に多くの人に情報を発信することが可能になりました。
「Scoop.it」がユニークと思える点は、この情報収集と共有を一つのプラットフォームの中で容易に実現できること、そして何より、自分が興味や情熱を持っているトピックを絞ることで、そのトピックについての目利きとして、意味付けをすることを奨励している点です。
コンテンツにコンテキスト(文脈)を与え、そこに意味付け(sense making)を与える作業は、今まで一部の出版・編集に従事する人が長年の経験に基づいて行われて来たプロフェッショナルなスキルで、このスキルが誰にでも簡単に得られるようになるとは思いません。
ただ、今日、世の中の事象が今までの常識を覆すようなスピードで進化をし、多様な分野に国境すら越えて広がっていった際、個人があるトピックに対して抱く「興味」「情熱」、そこから生まれる知識、知見、その世界観は、その分野に限って言えば、プロ編集者顔負けのレベルに達することもあり得るのではないかと思います。
とはいえ、Scoop.itのユーザーは定期的にオリジナルのブログを書くレベルまでコミットすることを志向せず、Twitterとブログの間にある「手軽さ」を好むユーザーがターゲットのようです。オリジナルでコンテンツを創造しなくとも、特化したトピックに対する「情報収集力」と「目利き力」でどこまでの「メディア」が今後つくられていくことになるのか、注目してみたいと思います。
現在インターフェイスは英語とフランス後のみですが、日本語のコンテンツを収集・共有することは可能です。ご興味お持ちの方は是非お試しください。以下はScoop.it の紹介動画です。
>( 誰もが編集者になれる時代~新しいキュレーション・サービス、「Scoop.it」(スクープイット)が一般公開へ/現代ビジネス - ソーシャルビジネス最前線/2011.12.01 )
(※ 参照記事)
<『朝起きて最初に目にするメディア情報源は? 加熱するソーシャル・キュレーション・サービスの潮流』
......
世界中の多くの人が直面している「情報過多」に関する解決策として、最近注目を集めているのが、「ソーシャル・キュレーション」という考え方であり、そうしたことを効率化する様々なツールです。
■ 広がるソーシャル・キュレーション・サービス
普段TwitterやFacebookをご利用の方は既にお気づきだと思いますが、私たちはインターネット上に溢れる情報の中から自分が注意すべきものを見つける際、自分の信頼する人からのコメントと併せて紹介され、多くの人から「RT」されていたり、「いいね!」をされていたりするものを選択するようになりつつあります。
ただ、ここで問題なのは、沢山の人をツイッターでフォローをし、フェイスブックで多くの人と「友達」になる過程で、注目すべき情報の判断が難しくなりつつあることです。
( 『朝起きて最初に目にするメディア情報源は? 加熱するソーシャル・キュレーション・サービスの潮流』/現代ビジネス - ソーシャルビジネス最前線/2011.06.16 )
そこで最近注目を浴びているのが、効率的に「関連性」の高い、注目すべき情報をウェブ上の情報の海から抽出してくれるソーシャル・キュレーション・サービスです。 ...... >
大ブレイクしている "ソーシャルメディア" 環境ゆえに、"キュレーション" への注目度は否応なしに高まりつつある。また、その自動化ツールとされる "キュレーション・サービス" も矢継ぎ早に立ち上がる......。そこで、そうした "キュレーション・サービス" 林立で錯綜する状況自体を "キュレーション" しなければならないようでもある...... (2011.12.03)
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