血管の損傷を治療する "血管手術" では、血管を切り取り、人工血管に換えてしまう "血管外科手術(バイパス手術)" についてはよく知られている。
その際にも、"糸で縫い合わせる" というより高度な外科技術に頼らざるを得ないようである。
だが、あくまで素人考えではあるが、上下水道の配管工事のように "テープで補強する" といった治療方法が考案されないものと......。血管も細胞活動によって "修復/再生" される器官のはずだから、一定期間 "水漏れ" を防ぐ( "止血" )ことができれば、あながち無謀な治療法ではないのでは、と。
しかも、地震その他の災害時に、"出血多量" のリスクに見舞われた多数の怪我人が発生した場合、上記のような "糸で縫い合わせる" というより高度な外科技術に頼らざるを得ない外科手術では、とても、多くの生命を救い切れないに違いない......。
下記引用サイト記事:ナノばんそうこう:厚さラップの1000分の1/毎日jp/2013.05.18 は、こうした実情に対する "画期的治療法" 模索の最新動向を伝えている。
<厚さがラップの1000分の1程度の「ばんそうこう」を早稲田大と防衛医科大のチームが開発し、ウサギの大静脈の止血治療に成功した ...... 血管の傷の治療が容易になり、手術効率が改善できると期待される。数年以内の臨床応用を目指している>
なお、この<ナノばんそうこう> は、<カニの甲羅などに含まれる「キトサン」と昆布のぬめりの元の「アルギン酸」が原料。2〜3週間で体内で溶けてなくなる> というから、応急的な "血管の傷の治療" には適していると見受けられる......。
ナノばんそうこう : 厚さラップの1000分の1/毎日jp/2013.05.18
ウサギの大静脈の止血に成功したナノばんそうこう=東京都新宿区の早稲田大学先端生命医科学センターで2013年5月17日、藤野基文撮影
厚さがラップの1000分の1程度の「ばんそうこう」を早稲田大と防衛医科大のチームが開発し、ウサギの大静脈の止血治療に成功したと、17日付の国際血管外科学会誌(電子版)に発表する。血管の傷の治療が容易になり、手術効率が改善できると期待される。数年以内の臨床応用を目指している。大静脈の壁は0.2〜0.5ミリと薄いが、流れる血の量は多い。手術中に損傷すると、わずかな傷も急速に広がり、大出血につながる。現在は損傷部分を糸で縫い合わせるが、高い技術が必要だ。
研究チームは、6羽のウサギの腹部の大静脈に長さ7ミリの切り込みを入れ、厚さが細胞壁とほぼ同じ75ナノメートル(ナノは10億分の1)のばんそうこう1センチ四方を、出血場所に貼りつけた。その結果、2羽は1枚、4羽は2枚重ねて貼ると完全に血が止まった。
ナノばんそうこうは、カニの甲羅などに含まれる「キトサン」と昆布のぬめりの元の「アルギン酸」が原料。2〜3週間で体内で溶けてなくなる。このばんそうこうでは、肺の表面などに貼る動物実験で成果が確認されていた。
研究チームの木下学防衛医科大准教授(免疫微生物学)は「災害で多数のけが人が出た時など、血管縫合できる医師がいない場所での治療が可能になる」と話している。【藤野基文】
考えてみれば、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などのいわゆる成人病の基本的疾病は、みな "血管" の損傷に関係しているようだ。
上記の記事は "血管" の外部の損傷に焦点を合わせたものであるが、いずれにしても、現代では "血管" に関する医療技術の進展が大いに待ち望まれている...... (2013.05.19)
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