自分も、つい先日、はじめて経験する "全身麻酔" による手術を受けただけに、下記引用サイト記事:県立がんセンターの医療過誤訴訟:麻酔科医無罪判決 「不在に過失なし」 検察主張退ける /神奈川/毎日新聞/2013.09.18 - 地方版 は、他人事とは思えない微妙な心境にさせられた。
<県立がんセンター(横浜市旭区)で2008年、乳がん手術を受けた女性患者に麻酔後の対応ミスで脳障害などを負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた麻酔科医の男性(44)について、17日の横浜地裁判決は無罪とした。手術室を離れずに全身麻酔の患者を常時観察すべきかどうかが争点だったが、判決は医療現場の実態を踏まえ「国内の麻酔担当医が絶え間なく観察しているとは言えない」と判断した。
判決によると、麻酔科医は女性に全身麻酔を施した後、同時に行われていた他の手術室で研修医を指導・補助するために退室し、何かあれば連絡するよう看護師に声をかけていた。その後、手術中に酸素を供給する管が外れ、執刀医や看護師らも異変を知らせるアラームに気づかず、女性に18分間、酸素が送られなかった>
自分の経験に引き寄せて言うなら、自分が少なからぬ "不安" を抱いたのは、"執刀"(胆嚢摘出手術)と言うよりも "全身麻酔" の方であった。
まさに、上記記事のような "ミス" に見舞われる "不安" が、はじめての経験だということもあって、拭い切れないでいた。幸い、自分の場合の "全身麻酔" は、「お見事!」と讃えたいほどの完璧な首尾であったため、取り越し苦労であったようだ。
しかし、元より、昨今は様々な時代現象を見せつけられることから、"人為的ミス" というものは "想像以上に起こり得る!" というような心境にもさせられていた。だからこそ、一身上の "全身麻酔" にも気が気ではなかったのである。
ところでこれは、患者の多くが経験することであるが、ちょっとした手術などの際には『 ~ 承諾書』というものへの "サイン" を迫られるのが通常であろう。"執刀" に関しても、"全身麻酔" に関してもである。
これが、逆に、"不安を逆撫でする" かのようである。もし、取り返しのつかない "ミス" に見舞われた時、この『 ~ 承諾書』が独り歩きするのではなかろうか......、と。
さて、当該のサイト記事に戻るが、自分が了解に苦しんだ点は、<日本麻酔科学会の指針> を巡っての "検察側 vs 弁護側" による攻防である。
そして、結局、"判決" では、"弁護側" が主張する<指針はあくまで努力目標> となった、と読める。つまり、
<全身麻酔を施した患者の状態を適切に維持・管理する役割があり、常時在室して観察すべきだ> という<日本麻酔科学会の指針> は、<指針は学会としての望ましい姿勢を示すもの> であり、<指針はあくまで努力目標> だというわけなのである......。
どうも、<医療現場の実態>、<医師不足の実情に加え、麻酔科医が当時、院内の手術全体を調整する立場だったこと> などが、"判決" を支える判断材料となったようである。
とするならば、時代の<医療現場の実態> がさらに劣化して行くならば、何が、"医療上のミス" を "抑制" して行くことになるのであろうか?......。
ふと、そんな疑問が脳裏を過ぎるのだった......。
県立がんセンターの医療過誤訴訟:麻酔科医無罪判決 「不在に過失なし」 検察主張退ける /神奈川/毎日新聞/2013.09.18 - 地方版
県立がんセンター(横浜市旭区)で2008年、乳がん手術を受けた女性患者に麻酔後の対応ミスで脳障害などを負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた麻酔科医の男性(44)について、17日の横浜地裁判決は無罪とした。手術室を離れずに全身麻酔の患者を常時観察すべきかどうかが争点だったが、判決は医療現場の実態を踏まえ「国内の麻酔担当医が絶え間なく観察しているとは言えない」と判断した。
判決によると、麻酔科医は女性に全身麻酔を施した後、同時に行われていた他の手術室で研修医を指導・補助するために退室し、何かあれば連絡するよう看護師に声をかけていた。その後、手術中に酸素を供給する管が外れ、執刀医や看護師らも異変を知らせるアラームに気づかず、女性に18分間、酸素が送られなかった。
県警は11年1月、麻酔科医と執刀医を業務上過失傷害容疑で書類送検。執刀医は容疑不十分で不起訴となり、麻酔科医だけが略式起訴され、その後に正式裁判となった。
検察側は麻酔科医が手術室を不在としたことが過失に当たると主張。日本麻酔科学会の指針を挙げ「全身麻酔を施した患者の状態を適切に維持・管理する役割があり、常時在室して観察すべきだ」と訴えた。弁護側は医師不足の実情に加え、麻酔科医が当時、院内の手術全体を調整する立場だったことから「指針はあくまで努力目標」と反論した。
毛利晴光裁判長は判決で「指針は学会としての望ましい姿勢を示すもので、検察側の主張は論理が飛躍している」と指摘。「不十分な捜査のまま起訴したのではないかという疑問がある」と検察側に苦言を呈した。
ただ、手術当日の医師間の連携不足なども問題視。この点は病院側も調査報告書で認め、麻酔担当医が持ち場を離れる際のチェックを強化している。
判決を受け、麻酔科医の弁護人は「主張が認められて良かった」とコメント。横浜地検の中村周司次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議の上、適切に対応したい」と話した。【飯田憲】
自分の経験のために、"全身麻酔" について若干調べたりしたのであるが、部外者の目からすれば、その "プロセス管理" はとてつもなく複雑であるようだ。
要するに、一方で "覚醒" してしまい "痛みの自覚" が生まれないように、また同時に、"麻酔" によって "休止" させている "呼吸機能" に代わる "血中酸素補給" が不足しないように......、と。
種々のメーター(心拍数、血中酸素量......)の "数値" を凝視しながら、まさに "面倒見い見い" の専門的操作が必須だとあった。
まあ、患者自身は、"点滴" によってあっと言う間に深い眠り(何時間もの眠り)に落ち、そしてスッキリと目覚めた時に、手術はすべて終わっていて、手術台に横たわったのがつい先ほどのことのような記憶しかない、そんな経緯なのではあるが...... (2013.09.19)
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